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所沢店
私がワクワクする瞬間
投稿日:2020/1/19
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Photo by volvo , coordinator by yoko
撮影が進む中でワクワクする瞬間が時々ある。
大体そういう時はなんとなく感覚でわかる。
「あ、これは面白いことが始まりそうだぞ」と、何かセンサーのようなものが働く時がそんな時だ。
そして、大体そんなことが起きる時は、被写体とカメラマンとコーディネーターが自由な時なのではないかと思う。
この写真が撮られた時、いや、撮られる寸前、カメラマンのvolvoさんのある行動が私の「面白そうセンサー」に触れた。
撮影場所は所沢店の奥のスペース。被写体の彼に座ってもらった場所は常日頃から撮影で使用される場所だ。
自然光が少なくなってきた時間帯ではライトが付けられ撮影が行われるそんな場所。
しかし、この写真が撮られた時間はまだ日差しが十分に入ってくる時間帯だった。
その時間帯にわざわざ彼をここに座らせる理由。それはまず光だろう。
縦の線として入っている光を利用する。恐らくそうなのではないかとコーディネーターの私は仮定し、volvoさんの「そこに座っていいよ〜」という言葉を聞いて彼に促した。
私の「面白そうセンサー」に引っかかったのはその時のvolvoさんの行動だった。
四角に抜かれている棚を利用し、そこを抜いて撮影をするのは良く見ること。
ただ、volvoさんは被写体とその棚の間に、徐にイーゼルを設置した。
「あー・・・、なんか普段しないことしてる・・・」
それを見た瞬間にただ漠然とそう思い、自分に高揚感が漂ったのを今だに覚えている。
何かを生み出そうとする時のカメラマンの目。閃いてから、整理して、レンズを覗きながら組み立てているカメラマンと同じ空間にいるのが私は好きだ。
その空間を整える手伝いをすることによって、コーディネーターも一緒に何かを生み出しているような気持ちになれるから。
そしてそのあとは写真の出来上がりを待つ被写体の彼の親御さんと同じように、「一体どんな写真が撮られたのだろう」とワクワクして堪らないのだ。
ご家族と一緒にモニターでお写真を確認し、「やはり」といった謎の確信を得る。
これはすごいな、好きだ。ただそう思った。
そしてこの写真を観察していく中で、なぜこの1枚が生まれたのだろうという疑問と、自分の足りなかった部分が浮かんできた。
ので、カメラマンであるvolvoさんに思い切って聞いて見た(思えばvolvoさんとゆっくり写真の話をしたのはとても久しぶりだったかもしれない・・・)。
まず撮影中、自分がこの写真が撮られる時に「いつもと違う」と感じた要因の「イーゼル」について。
これについてはやはり複数の理由があった。
一つは彼の表情をどこまで写すかというもの。こんなに大人っぽく写っている彼だが、実はとてもやんちゃなボーイ(そこが魅力でもある)。
お客様が我々に求めている写真、思い出の記録というのは普段の姿から非日常的なものまで様々だ。
この雰囲気の場所の1枚。メガネと帽子を使ったコーディネート。イーゼルを使って彼の表情を半分だけ隠すことによって非日常的な彼が演出されている。
これ以上隠れてしまっては彼らしさは消えてしまう。だが、少しだけ見える口元がわずかに笑って見えるのがとても彼らしく思える。
メガネをかけて、伏目の写真。それだけで終わらない表現がされている。
(ちなみに彼にこのあとメガネ外してみてと言ったら急いで外して近くの机に走って置きに行ってしまったところが何より彼らしくて愛おしい)
次に、写真の色味。
編集も加工もしていないのに、なぜかフィルターがかかったような質感に思える。
そして、この質感が写真の持つ「非日常感」を更に演出しているように感じた。
フレア的な何かでこの質感のようになっているのかと思ったが、これは薄く草(緑)の前ボケがかかっているとのこと。うむ、私、浅はか。
意味のある前ボケ。これはまさにそういうことだろう。気づかせないところが本当にすごい。
そして、自分に至らぬ点があったと思ったのが左下のピンクの花束だ。
角を埋め写真に安定感を持たせてくれているが、私としてはこれを撮影前にどかすか変えるかしてカメラマンに選択の幅を広げるべきだったという反省点に思えた。
このコーディネートの男子を撮るにあたり、もう少し場の整理をすべきだったと反省した。
ここに物があることが悪いのではない。私が少なからず違和感に感じたのは「ピンク色」だ。
気にしすぎなのかもしれないが、これがもし「ピンクではない別の何か」だったらまた違う1枚になっていたのではないか。そう思った。
しかしvolvoさんにとってはそれも計算されていて、だからこそ写真上部に瓶などの固いボケを入れ、緑色を写すことによってバランスをとったのだという。
いやもう、すごいというか、なんというか。
計算された1枚。まさにそう思った。
カメラマンが集中できる環境を作ること。それがコーディネーターの仕事の1つ。
そして、醍醐味だと私は思う。
こんな素敵な写真が撮られるお手伝いができて、何より、誰よりも先に写真の生み出される瞬間のワクワクを味わうことができるのだから。
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