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所沢店
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彼女の中にあるもの。

投稿日:2018/9/30

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3人姉弟の長女である彼女と会うのは今回で2回目。

みんなでいる時に私たちに見せる彼女の顔はなんとなく遠慮をしているようで、まさに「長女」という感じだった。

 

彼女には3つの表情があると思った。

1つは家族でいる時の顔。家族写真の時などは先に述べたように妹たちに何かを譲ったり、こちらが何かをお願いしたときは真っ先に理解を示してくれた。

2つ目は姉弟3人でいる時の顔。無邪気に妹たちと遊び、はしゃぐ。だがやはりリードをとってくれるのは彼女だった。長女としての表情が見えた。

3つ目は、成長過程の女性としての顔。みんなといる時には決して見せない、1対1で向かい合った時に見せてくれる表情だった。

 

彼女のソロ撮影が行われたのは撮影の一番最後だった。

家族みんなには部屋で待っていてもらい、彼女とカメラマンの工藤さんと3人だけで撮影場所へ向かう。

去年彼女が自分で選んだ衣装はふわふわのスカートだった。しかし、今年は彼女に何が着たいか聞くと「ズボンが着たい」と答えた。

この答えにママと私は少し驚いた。私もママも彼女はスカートを選ぶと思っていた。この1年で彼女の何かが変わってきているのだと私は思った。

 

私が彼女に提案したのは真っ白なオーバーオールだった。

インナーには白いタンクトップを選び、彼女の魅力である長い手足を強調できるようにした。

 

ソロ撮影中に彼女はこれまでで一番子供らしく、女性らしかった。

「私はこんなポーズがしたい!」とアピールしてきたり、わざと変な顔をしてきたり。我慢していた部分をさらけ出しているようだった。

 

しかしこの横顔はどうだろう。彼女の中の女性としての部分が垣間見えるように思える。

彼女の最も魅力的な表情は「無理をしていない、自然体な時」だ。無理に決めたり、表情を作らなくてもいい。ただありのままが彼女の魅力の最たるものだと思った。

 

彼女の魅力を引き出している要素の大きな1つは工藤さんの選択した固い前ボケにあると思った。

撮影時は台風が近づいてきていたこともあり、自然光は少なく暗い状況だった。そういった際には色味の強い前ボケよりも金属などの固い前ボケが適切になる。

そこで工藤さんが選んだのは椅子の背もたれだった。

しかし、これが実にこの情景の彼女に合っていたのだと思う。

 

背景は光、彼女は白い衣装を着ていて、光が柔らかく感じられる。その手前に固い前ボケ。しかし重くはならない。この曲線が実にいい働きをしているのではないだろうか。

 

空間を埋める役割をしっかりと果たし、そのうえでこの曲線が彼女の色々な表情を演出し、こちらに彼女の内面を考えさせてくれるのではないかと私は思った。

写真分析にこのような抽象的なことを書くのは正直間違っているのかもしれない。しかし、この写真を見たときに私は「この写真で彼女への思いと書きたい」と思ったのだ。

 

写真を撮るには被写体把握が一番大切である。被写体である「人」はどういった人間なのか、何を思い何を感じるのだろうか、その人はどういった思いをこの撮影で抱くのだろうか。

1枚1枚の写真を説明できるように。ストーリーが写真に存在するように。

これらは写真を撮るうえで一番大切なことであり、私が一番難しいと思っていることだ。

 

毎日撮影をしているとその点が無意識に薄くなってしまうことがある。目の前のことだけに夢中になってしまうのが私の悪いところだ。

だが、彼女に再開して彼女の成長を感じ、この写真を見てこの文章を書いている今、その思いを再確認することができた。

 

衣装、インテリア、光、前ボケ。様々なもので「人」の形を演出する。見えない部分を形に残す。

これが私たちにできることの1つだと改めて思った。

 

また来年、彼女たちに会うことがすごく楽しみな自分がいる。

きっとまた、新しい表情を見せてくれるのだろう。

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それは、出会う全ての人が生きている証を確認できる場所になること。
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