Photo by Satsuki , Coordi by Yoko

 

「今」を残し、伝えること。
それが私たちにできることであり、使命なのだと思います。
 
ライフスタジオでお客様にお渡しする写真は75cut。
その75cutの中には被写体である子の物語があります。
全てがバラバラな写真なのではなく、1枚1枚に意味がある。
その子の、その時のストーリーが75cutの中に込められています。
 
不思議そうにカメラを見つめていたり、
笑顔でカメラを見つめていたり、
何かに夢中になって遊んでいたり、
コーディネーターとおしゃべりをしていたり、
時には泣いていたり。
 
全てがその子の「今」であり、「思い出」です。
それを私たちは75cutという限られた写真の中に思いと一緒に込めています。
 
 
この写真を見た時に、私はまさしくこの子自身の今が残されていると思いました。
この写真の、この後ろ姿から「伝わるものがある」と確かに思いました。
 
まだおぼつかない足取り。
おもちゃが入ったカバンを大切そうに両手で持って、一生懸命に歩く後ろ姿。
2歳という年齢だからこそ残すことのできる瞬間。
 
ああ、この時はこうだったな。
なんていつかこの子が大きくなった時に家族みんなで思い出すことのできる姿。
 
「今」でなければ、残すことのできない瞬間なのです。
 
 
 
私は普段撮影練習をしていて「この瞬間を逃してしまった」と悔しい思いをする事があります。
 
その子の「今」は一瞬で通り過ぎて行くもので、
例えば私がピントや露出を合わせたりするのを待っていてくれるものでは当然ありません。
 
ライフスタジオでカメラマンを目指す以上は、
・常にアンテナを張り、
・頭の中に半分は冷静さを持ち、
・その子の中に入ること
を、無意識にもできなければならないと私は思っています。
 
今だった、なんて悔しい思いをしたくない。
私の目指すべきところにそれはあります。
 
 
工藤さんに以前、「75cutの写真、1枚1枚を説明できるくらいに」と言って頂いた事がありました。
今の私にはそれがまだできません。
シャッターを切り、次を考えることに頭をフル回転させてばかりで、
「意味」に頭が追いついていないのです。


本来であれば、「意味」が先に来なければならないのに、です。
 
 
この1枚の写真は、私の目指すべき写真の中の1枚です。
今この瞬間の意味を残すこと。
1枚の意味、そして、75cutの中の1枚としての意味。
 
 
それを伝えられる人になりたいと、私は思います。