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向かい合うこと
投稿日:2018/2/27
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photo by kudo , cordi by yoko
ライフスタジオの写真の多くは逆光とサイド光、そして半逆光で構成されている。
その理由は多々あるが、例をあげるならば印象を左右する大きな要素が光だということではないだろうか。
これから写真教育が始まるにあたり、まず大切なのはやはり「光を読むこと」だということを改めて考えることになった。
単純な話、「朝と昼では光が違う」「夏と冬では光の色も違う」「ものの数分で光の角度も強さも変わる」。
そして何よりインテリアによっても光の印象は変わる。
では写真を撮る時に一番最初に何を見るべきなのか。
やはり光なのだろうか。それともインテリアだろうか。
どちらも正解で、間違ってはいないと思う。
しかしその2つと合わせて必ず念頭に置かなければならないことは「誰を撮るか」だ。
以前にも書いたことがある。
「七五三を撮るのか?それとも目の前にいる女の子を撮るのか?」
それはもちろん後者でなければならない。
誰もがやる構図、ポーズ、それが目の前にいる少年少女に必ず合うとは限らないからだ。
工藤さんはよくこう言う。カメラマンは常にアンテナを張ってフル回転に脳みそを使っていると。
本当にそうなのだと思う。
片っぽの頭では光を読みインテリアと合致させ、もう片っぽの頭では被写体に深く入り込む。
どちらが欠けてもそれは「いい写真」にはならないのだろう。
この写真は所沢店のガレージで取られたものだ。
彼女は大人に近づいている途中で、私たちと大きくはしゃぐことに少し恥ずかしさを感じ始める年頃だった。
だけど写真やおしゃれは好き。
撮影が始まるとどこかスイッチが入るような子だった。
彼女の長い髪の毛、綺麗な二重瞼、そして少し大人びた性格から私はこのコーディネートを選んだ。
大きめのベレー帽に大きめのメガネを合わせる。彼女の小さな顔が際立つように。
フォーマルジャケットにカジュアル目のカバンを合わせる。彼女の今が映るように。
コーディネートを伝えると工藤さんは「いい光になって来たからガレージへ行こう」と言ってくれた。
正直「待ってました!」と言わんばかりの気持ちだった。
時々こういうことがある。
「どこで撮って欲しい」と伝えていたわけではないのに、カメラマンとコーディの意見が合致するとき。
彼女への思いやイメージがお互いに繋がっているのだと思う。
こういう時、私は言い知れぬ喜びを感じるのだ。
ガレージに行き撮影が始まり、この1枚が生まれた。
ガレージは光が入りづらく、限定された状況の中でカメラマンはそれこそ頭をフル回転させて撮影を進めていく。
光はサイド寄りの半逆光。顎を少し引きつつも、目線は上へ。
ただ上を見ているのではなく、何か目的を持ってそこを見ている眼差し。
「今の彼女」がそこにはあった。
光と陰の陰影により輪郭が際立つ。
メガネのフレームで片目が隠れ、それによって左目にはより強い力を感じる結果となっている。
そして不用意な光や影が邪魔をしていない。
私はよく写真を見た時にその写真から違和感を探そうとする。
自分の見る目を鍛えるためというのが主な目的だ。
だがこの写真からは違和感を見つけることができなかった。
すごいなぁ、と本心からそう思う。
同じ環境で働く仲間だが、本当に尊敬する。
私のカメラマン研修においての最初の課題は「光」だ。
同じ環境、同じ光を前にした時、私はこのような1枚を生み出すことができるだろうか。
気づかずに終わってしまうのではないのだろうか。
目の前にいる子にぴったりのものを、私は見逃さないだろうか。
今はそんな恐怖感がある。
その恐怖感をなくすためのカメラ教育。
尊敬すべき人たちがいる環境で改めてカメラを学べることはとてもありがたいことだ。
これから出会う子たちの本質と今を見逃さないよう、今回書いたこの文章を忘れないよう、
しっかり刻んで私も進んで行きたいと思う。
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