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所沢店
景色の境界
投稿日:2017/8/30
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先月の写真分析と同じ被写体「わっちゃん」。
実はこの写真は私が先日工藤さんに「この写真の工藤さんの写真分析が見たいです」とリクエストしたものだ。悩んだ末に工藤さんから返ってきた言葉は「私はこの写真では書けない、ようちゃん自分で書いてみなよ」というもの。
私には無理だよー!と思いつつ、私も悩んだ末に今月はこの1枚をピックアップさせてもらった(工藤さんに背中を押してもらいながら。いつも本当にありがとうございます…。)
まずこの写真をモニターで見たときに感じたのは「これはどこだ?」ということ。
もちろんコーディネイターとして撮影に参加していたのでこの時の状況はわかっていた。リビングの棚の上に被写体に立ってもらい、カメラマンは外に出て窓越しにシャッターを切る。この行為自体はそう珍しいものではない。
ので、正直私はこの時も別段それを特別視していなかった。「撮りたいものがあるんだな」、という漠然とした意識だけだった。
しかしできあがりを見たときにハッとする。「こんな風に見えていたのか」という感動と驚き。見たとたんに「うわすげぇ!」と叫んでしまうくらいには驚いた。
その理由の大きいところにはやはり「ここはどこ?」と思わされてしまった事が大きい。
ではなぜそのように思ったか。それはやはり窓に反射して映った庭の景色とリビングの中の景色がうまく合わさっているところがあるだろう。
シャッタースピード1/200秒、ISO250、f/3.5。
昔カメラを知り合いに教えてもらっている時に「シャッタースピードとISOとf値の三角形の足し算引き算を体で覚えるように。頭の中で撮りたい絵ができたら、瞬時にその答えへの計算式ができて初めて描いたものが形になるんだよ」と言われたことがある。
この「瞬時に計算式をつくる」というのが私にはなかなか難しい(それ以前に撮りたい絵を頭に作り出すことも難しいときもある)。しかし工藤さんはこのスピードがものすごく速い。
なので、撮影中に工藤さんがいつもと違う場所や見たことのない構図で撮ろうとしている姿を見ると私もわくわくしてしまう。どんな絵が見れるのだろ
うと(単純に私は工藤さんの写真のファンなのだ)。
この写真に私が感じた魅力の1つが反射を利用した空間の使い方である。しかし、正直ただ反射したものを撮るだけならここまでの感動はないし、驚きもないだろう(あ、反射下の撮ったのね素敵ね、っていう写真はどこにでもある)。
外の景色と、中の景色が繋がって見えた。
抽象的な表現になってしまうが、私が感じた一番の魅力はこれに尽きる。
色でいうなら「白」。空、庭の柱、外の塀、中の棚、光が写真の中で同じ色味になることによって空間の境の違和感をなくしている。
それから左側に映りこんでいる柱が私の中では存在感が大きい。中の茶色い棚の終わりと合わさるように柱が入ることによって「ここは外?中?どこ?」とワクワクするような疑問を私に抱かせる。不思議空間。
ここをこうしたらこうなってこうなるから面白いかも、というような発想と冒険心を持ち合わせていない私には非常に魅力的な1枚だった。
しかし工藤さんは「まだゴールではない」という。
写真のどこに魅力を感じ、どこに「先」を見出し、何を追求していくかは本当に人それぞれで、だからこそ私は写真が楽しいと思う。自分にはない価値観や考え方が詰まっているのが写真だと思うから。
だから私は1枚の写真にどこまでも惹きつけられ、尽きるまで話をしたいと思うのだ。
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