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ZOO1/乙一
投稿日:2017/6/6
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朝活続いてますよー。というもはや私の備忘録です。そして今日はTULLY'sです。
元々本を読むのが好きな親に育てられているので、私が休日に本を読んでいるのを知った父親が「あれも!これも面白かった!」と自室にある本を勧めてくれます。
が、父の読む本はなかなかこう…私と趣味がかち合わないというか…。真田忍法帖はまたの機会ということで…。
今回は乙一さんの「ZOO 1」。
2巻から連なる短編集です。ので、今回は上巻ということになるのですが、短編集なのでそれはそれ。むしろ1しか持っていない。
乙一さんといえばホラー作家として有名ですよね。余談ですが私はホラーが大っ嫌いです。だって怖いじゃないか。ホラー映画もお化け屋敷も意味がわからないいただけない。お金を払って怖い思いをしたいとはいかがなものなのか!
まぁでも短編集だし。お化け出てくるわけではなさそうだし。ホラー作家といってもミステリーサスペンスに近い感じらしいし。と思い、いざ。
結論、怖かったです。
なぜだ。お化けはいないのに。
や、短編集だから怖いのと怖くないのはあるんですが、むしろ乙一さんが怖い。
猟奇的な話の持っていき方というか、結末というか、痛いとこ突かれるというか。容赦ないなーって思うところがちらほら。
短編集なので、せっかくだからひとつひとつを順に追ってご紹介。
『カザリとヨーコ』
母親から虐待を受ける双子の姉のヨーコ。双子の妹のカザリは母親からの愛を受け仲良く暮らしている。そんな不条理な世界の物語。
「ママが私を殺すとしたらどんな方法で殺すだろうか」
こんな冒頭で始められたら「大丈夫かこの話」なんて私は思うわけです。だけどその時点ですでに私は著者の罠にかかっている。
先日読んだ「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」も冒頭部分ですでに興味を持っていかれていたし、小説において出だしとは大きな意味を持つものなのか、それとも私が単純なのか。
話の流れからどうしても虐待に目が行きそうになるが、読み進めていくとこれは決してヨーコの可哀想な話ではなく、むしろ逞しさに胸を打たれる。
もともと彼女は生きる過程で強さや逞しさを身につけていった(身につけざるを得なかった)のだろうけれど、1匹の犬と1人の老婆との出会いが更に彼女を変えるきっかけとなり、また環境をも変えるきっかけとなっている。
非現実的な内容の小説なのだけれど、そこは私達の生きる現実とリンクするのだなぁ、と。
物語最後の「『おっしゃー!』と思った」という文章。これはすごい。
読んでいただければわかるのだが、この一言に凝縮されるというか、この一言を言わすの為にこの話書いたんじゃないの?というか。むしろこの一言で話を締めくくろうと思った著者すごい。
ある意味では希望に満ち溢れた話だと思います。
『SEVEN ROOMS』
ある日突然、拉致監禁された姉と弟。
同じように監禁された人間のいる部屋が計7つ。1日に1回、監禁されて1週間経った者から殺されていく。
姉と弟、監禁されてからの1週間を描く物語。
率直に言います。
怖かっためっちゃ怖かった。
決してホラーではなくミステリーサスペンスなのですが。が!ハラハラ感が…この緊張感が心臓に悪い……。
話の説明だけ聞くと「なんて残酷な話なんだ!」と思うでしょう?いや確かに残酷なんですよ。理不尽のオンパレード。なんですが、が!描かれているのはそれだけではなくて、人間の優しさであったり、姉弟愛であったり(でもほんと私には怖くてですね…夜寝れないかと思った)。
ある日気がついたら知らない部屋に閉じ込められていて、「まさかここから出られないのでは?」と気がついてからの姉の行動力がまぁすごい。それについていく弟もすごいのだが。
普通だったら参るでしょ?訳わからない場所に閉じ込められて、しかも子供でしょ君達?私だったら絶対無理だわ~とか普通に思ってしまう。小説だから!と言われてしまえばそれまでなのだが、そんなのは本を読む上でナンセンス。
余談ですが、私にも姉が1人いまして。私が赤ん坊の頃の話を家族に聞くとなんとも面白いのです。
「お母さんの抱っこはようこにあげる。だから、お母さんの右手は私と繋いで。」と3歳の時に言ったという我が姉。すごい人だなぁと思います。多分、私の生きてきた人生の中で1番尊敬する人です。
現在は仕事で中国に在住なわけですが、それも彼女が夢を叶えた結果なのです。彼女が日本に帰ってくる前に中国に遊びに行けたらなぁなんて思いながら5年くらい経ちますね。ら、来年こそは…。
話を戻します。
とにかく、ラストに近づくにつれての緊張感はすごいです。姉の人間としての強さを感じる。
バッドエンドともグッドエンドともいえない後味の悪い結末。
ミステリー好きな方は多分気にいるのではないかと。
『SO-far そ・ふぁー』
並行世界の狭間に残された少年のお話。
父が死んだ世界と母が死んだ世界の仲介となりそこに幸せを見出すが、どちらかの世界を選ばなければならなくなる。
日常ってスバラシイナー。という感想。
やはり説明だけ聞くと暗い話なのか?と思いますが、まったく違います。
わりとほのぼの。
読んだ人の感想とか見てると、結構皆さん「オチ見えてました!がっかり!」的な人が多い様ですが、私はすいませんオチ見えてませんでした。
いやだって、乙一さんだからなんかあるだろ、みたいな。
そういう意味で言ったら何でもない結末だったので私としては「オチ見えてませんでした!でもなんかがっかり!」みたいな。過程は面白かった。
深くまで読み取ってみようとすると、大人が子供に与える影響は計り知れないということ。また、子供の順応能力や感応性というのは非常に強いということ。いい方向にも、悪い方向にも。
と、ここまで言ってしまえば勘のいいかたは結末がわかってしまうのではないでしょうか。
面白いは面白いのだけれどなんとなくがっかり感があるお話。
『陽だまりの詩』
「もうすぐ死ぬ自分を埋葬して欲しい」という願いを込められて造られたロボット「私」。
主人の手足となって生きていく中で「死」とは何かについて考えていく。
ここにきてまさかの心温まるお話ですよ。
どうした乙一さん乙一ワールドとはなんなのだ全く読めん。
やはりオチは読みやすいそうですが、私は「絶対オチこうだよー、わかっちゃったよこれイイハナシダナー!」なんて思って読んでたら全然オチ違ってすごいびっくりした。
私には物事を先読みする力が無いのかもしれない…。
しかしながらロボットが人間の「死」という概念を理解し、主人を看取るまでの様子は眼を見張るものがある。
そも感情とは何なのか。どこにあるのか。
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「きみは人間になりたいと思ったことはあるかい」
「窓の飾りが揺れる音を聞くと自分が人間だったらいいのにと思います」
風さえも飾りを揺らして音楽を作る。しかし私は何も生み出すことができないのだ。
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抜粋ですが、私の好きなやり取りです。
何かを作り出すというのは生きているものの特権であり、また、心をもつ者の特権でもある。私達が日々写真に記録を納めているのも然り。
このやり取りを踏まえた上で物語の終盤で「私」が吐露する気持ちを考えると胸が痛い。
タクミさんが好きそうだなー!と思ったお話です。タクミさん、読んだことあります?笑
『ZOO』
この短編集のタイトルを飾る作品。
毎朝ポストに写真が届く。写っているのは恋人の死体。
犯人を捕まえる。警察が彼女の捜索を打ち切った時に俺はそう胸に誓った。
だが決して俺に犯人を捕まえることなどできないだろう。
なぜなら俺が殺したのだから。
とまぁ、こんな話です。オチも何もあったもんじゃない。
最初に全部、俺が言っちゃう。
あとはもう猟奇的な備忘録。
主人公のイカれっぷりはまぁ面白いのですが、なんか、それだけ?みたいな感じ。
面白いは面白いのですが、なんか感じるものは特になかった。なんやこの人怖いなー、みたいな感じ。
まぁ、人間誰しも理想の自分やら状況やらがあって、どうしようもなく追い込まれると自分の理想郷に逃避して帰ってこれなくなる。
それに気付かせてくれて導いてくれる人がいるかいないか。
まぁ、主人公も最後は殺したはずの彼女に気づかされるのですが。
結論、あんまり好きな話じゃなかった。
以上、5つの話からなっている乙一さんの短編集、「ZOO」。
全て私主観の感想です。
最初はほんと怖い話ばっかなのかなーなんて思っていたけれど蓋を開けてみればそればかりではない。
希望を見出すかどうかはその人次第。物事の側面から裏まで読み取るかどうかですね。小説にしても、現実にしても。
この文章書いててそう思いました。
いずれにしろ、短編集なので読みやすいのではないかと思います。
ヒロさんに「砂糖菓子の~」をお貸ししたけれど、こっちの方が読みやすかったのではないかと悩み中。。
長くなってしまいました。
朝活おわり!(もう夕方や!)
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