Photogenic
所沢店
故きを温ねて新しきを知る。
投稿日:2024/1/15
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Photo by Yoko , Coordinator by Kurumi
少しだけ私の職歴のお話をさせてください。
私が初めてついた職業はスポーツインストラクターでした。まさかの。運動できないのに。
いわゆるスポーツジムでお客様のメニューを考えたり、身体の管理をしたり、自分の腹筋を6パックにする喜びを覚え毎日鏡の前でボディビルダーよろしくポーズをとってみたり。
でもそれはお仕事内容の1割くらいであって、残り9割は顧客獲得のための営業でした。
スポーツインストラクターをやりたかったわけでもなく、営業をやりたかったわけでもなく、ただなんとなく雇ってもらえそうなお仕事についた結果でした。もちろん、将来に展望は持てませんでした。
次についた職業はOL、総務のお仕事でした。
理由は、現場仕事は体験したから会社の中身を見てみたかったから。
あと、仕事で銀座に通うOLというのを経験してみたかった。笑
結論から言えば、私に椅子に座ってやる仕事は向いていないということ。笑
でも色々な経験をさせてもらいました。世の中の厳しさを一番知り、企業というものの違和感を一番体感しました。
もちろん、展望はありませんでした。
次についた職業は、カメラマンでした。ライフスタジオではなく、某大手写真館。
現場仕事と、事務仕事とやって、「好きなことを仕事にする」ことをまだやってみてないと思ったからです。
当時の趣味が撮影だったもので、家から一番近い写真館に務めてみることにしました。
たくさんの知識と経験を得ました。
お宮参り、七五三、成人式、マタニティ撮影、ウエディング。色々な撮影をさせていただきました。
趣味とは違う、型物写真の撮り方と楽しさと難しさ。お客様に写真を提供するという難しさと楽しさ。技術だけではなく、知識も必要なのだと思い知りました。
ここで着付けとヘアメイクのやり方も習い、今に活きています。
そしてここで出会ったヘアメイクさんにライフスタジオへの就職を勧められ、今に至ります。
とまぁ、なぜ長々と自分の職語りをしたかというと、この写真は、私の経験と知識から生み出された1枚だからです。
ライフスタジオの写真は商業写真なのか芸術写真なのかという問答は以前よりされることがあり、この答えがありそうでなさそうな問答は私の好きなものでもあります。
どちらの側面ももちろんあるのではと思いますが、どちらにおいても忘れてはならないのが、「カメラマンのエゴであってはならない」ということだと思います。
どんなに技術が詰め込まれ芸術的な写真が撮られても、それがお客様の希望や気持ちに全く沿うものでなければそれはプロのやる仕事ではないのではないかと。
同時に、どんなに想いがあっても技術が不足しているのであればそれももちろんプロのやる仕事ではない。当然です。
なぜ私がこの写真を撮ったのか。理由の1つはとても単純で、お嬢様とお母様から「ヘアメイク中の写真を残すことはできるか」というご相談があったことです。
スナップ写真のようにただ写真を撮るだけなら簡単かもしれません。
ただ、私はカメラマンとして、その選択をすることがとても難しく思いました。
条件を考えます。
ヘアメイク中の様子を”美しく残す”。これが私の絶対条件。
ヘアメイクをしている様子を撮るのか、演出するのか。インテリアを写すのか否か。自然にとるのか、不自然に撮るのか。「私には何ができるのか」。
答えはやはり私の経験の中にありました。
ウェディング時代に経験をした「紅差し」にヒントを得て、ヘアメイクさんでもなくご自身でもなくお母様に口紅を差していただく。
成人式撮影で紅差しなんて!というご意見もあるかと思いますが、お母様のお振袖を着用されているところとリンクするので、そこには想いが生まれるのではと。
場所とには非常に悩みましたが、最終的に「ヘアメイクの部屋で撮る」という選択をしました。
理由は、”余計なものはいらない”という取捨選択と、光です。
この写真はいわゆる一灯撮影。自然光ではなく、メイン光1つをスポットライトにして撮影をしています。
今回それを選択したメリットとしては、陰影が目立ちやすく、強調したい(伝えたい)ところが見る人の目に留まるのではという点です。
ちなみにメイン光でつかったライトはヘアメイク用に設置してあるリングライト。まさかこのようにして使う日が来るとは・・・。笑
普段壁にかけてある髪飾りを一心不乱に取り除き、壁を背景にする。(その様子はまさに”守屋ご乱心”で周りを驚かせたのではないかと反省。笑)
窓が一切ないヘアメイクの部屋の電気をすべて切り、リングライトだけをつけ、カーテンを閉めてほかの光が一切入らないようにする。
山吹色で光沢のある振袖が限られた光の中で色味が強調されたのはうれしい誤算でした。
職歴語りで「将来への展望」なんて言葉を使いましたが、私が彼女くらいの時にはそんなものはまったくなく、30歳超えるまでそんなこと考えたこともありませんでした。
二十歳、成人、未来のこと考えること。わくわくよりも不安のほうが大きく、いつまでが子供でいつからが大人なのかなんて本人にも周りにも不確かなことだと思います。
それでも二十歳で振袖を着るということが節目だということは紛れもない事実であり、その瞬間を写真という形で残すお手伝いができるということは私たち写真業界に携わる者の特権ではないでしょうか。
私の風変わりな人生で培ってきた経験、知識、技術を発揮する機会をいただけたこと、本当にうれしく思います。
故きを温ねて新しきを知る。これからもチャレンジし続けていきます。
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