Photogenic
所沢店
Unify the World View
投稿日:2020/8/20
2534 1
Tokorozawa Photo
Photographer: Satsuki Kudo
Coordinator: Yoko Moriya
ライフスタジオでなぜ写真を撮るのか?
ライフスタジオで撮る写真は、お家で撮るスナップ写真と何が違うのか?
撮影者である私が常々考えることです。
いまや、一眼レフカメラは普及し性能のいいミラーレス一眼も出ていて、綺麗な色味やボケ感も誰でも簡単に撮ることの出kる時代です。
写真のレシピというものも、インターネットで探せばいくらでも出てきますし、職業カメラマンでは無くても少し勉強すれば思い通りの写真が創れると思います。
それでも、ライフスタジオという写真館に来て写真を撮るということにどんな価値があるのでしょうか?
もちろん、ひとつは写真撮影の技術があるプロのスタッフがいるということでしょう。
自身で勉強して写真を撮るよりも、プロに撮影してもらいたいという私たちへの信頼もあるでしょう。
しかし、ライフスタジオに来て撮影するのは「このこと」を重要視しているからなのだと思います。
それは、
「日常の中の非日常。」
スタジオで写真を撮る意味のひとつはこれなのだと思います。
お家で撮影したり、公園で撮影したり、いつもの場所で撮影することもとても思い出深いものになると思います。
しかし、まるで絵本の中にあるような場所だったり、どこにもないようなオシャレな空間だったり、その中の世界の住人や、物語の主人公になっているかのような気分の中で、
いつもの姿とは少し違うけど、いつもは出せないようなその人自身の本当の姿を引き出せることも、魅力だったりするのかなと思います。
「日常の中の非日常」とは、日常とは離れたような非日常の空間でこそ引き出される本当のその人の姿のことを言うのだと思います。
いつもの場所だと、いつもの自分の姿から抜け出せずにいる。
私も思いたる記憶があります。家の中では家族から見た私にしかなれません。自分の内面が変化しようと、家族から見た私が変化することはそうそうありません。
私はそれが窮屈に感じることもあり、外にいる方が自由に感じた時期もありました。
外だと、柔軟に、自由に、自分のイメージを変化させることができ、変化して成長していく自分自身の姿を肯定することができました。
つまり、非日常の方が自分の内面を素直に表現することができたのです。
ライフスタジオという空間には、非日常を演出する不思議な空間があります。
その空間は、お家では創ることのできない空間。
どこか幻想的で、どこか洗練されて、どこか懐かしいような、そんな印象を受ける空間がほとんどなのかと思います。
その空間の物理的構造は、インテリアです。そのインテリアはすべて手作りです。
手作りの良さは、スタジオの作り手である人の想いが反映されやすいということです。
インテリアを作るときに、概念的なコンセプトももちろん大切にしますが、何よりも多くの人の目に魅力的に洗練されたように映ってほしいと思っています。
なので、美しさはもちろんトレンドを押さえたりしながら、世界観を入念に作っていきます。
世界観を作っていくには、まずはイメージです。どういう写真を撮るのかがまずあり、そこからインテリアやコーディネートを作り、写真を撮っていきます。
ここは所沢店の新インテリアです。
たくさんの花を配置し華やかさを出していますが、多くがドライフラワーのため派手になりすぎずくすんだ色味がベースになっていて、ナチュラルな雰囲気を壊すことはありません。
木目の床と、煉瓦とアイボリーがミックスされた壁。どこかアンティークな印象があります。
世界観で言えば、ヨーロッパの田舎の家のサンルームのようです。
そして今回は、コーディネーターと写真の共通主題である「シャーベットカラー」。
「シャーベットカラー」、最近ファッションでよく見ますよね。パステルカラーよりも、白に近い色味でその名の通りシャーベットのように冷たいような印象を与える色味。
ミントブルーや、ややくすんだ色味がそうですね。
以前、シーナが書いてくれたシャーベットカラーの記事も併せてお読みいただくとイメージが付きやすいかもです。↓
写真において、季節を感じさせようとする意識はとても重要です。夏には夏の光、冬には冬の光があるように、その季節に合わせて何もしなくても写真の質は変わります。
そして、いつ撮影したのかというのも写真で仄めかすのも、その時の記憶の記録には必要なことです。
その季節を感じさせる写真の要素で最も重要なのは、コーディネートだと私は思います。今回のコーディネーターはようちゃんでした。彼女はこの写真のコーディネートの意図を、以下のように考えていました。
”こちらのご家族と私の付き合いはもう3年になろうとしています。
どんどんお姉さんになっていく長女ちゃん、やんちゃに磨きがかかっていく長男くん、そして、2歳になるこの写真の次男くん。
この子達それぞれのコーディネートを考えているときに私が優先すること、じつはたくさんあったりします。
優先することというか、取り入れたい事というか、込めたい想いといいますか・・・。
この子たち自身が着たいもの、親御さんのご希望、私がこの子達に似合うと思うもの、この子達の「今」を記録するために提案したいもの、などなど。
この写真のコーディネートは、そんな気持ちを詰め込んだものになります。
まずはシャーベットカラー。これはただ取り入れればいいというものではありません。そこに意味があるから取り入れる、これが大事だと思います。
今年の流行であるシャーベットカラー(トップス)を取り入れることで昨年撮った赤ちゃんの頃からの成長の意味を。
そして、まだ残っている赤ちゃんっぽさも表現したいと思いゆったりしたシルエットのサロペットを選びました。
このサロペットはくすんだベージュ色なので、トップスのくすみ黄緑と合わせることでさらにシャーベットカラーコーデが深まります。
ひとつのコーディネートにもたくさんの意味があり、意味を持ったコーディネートはその写真にも意味を持たせてくれます。
「この子だから、このコーディネートを提案したい」。
そんな気持ちがコーディネーターには必要不可欠なのではないでしょうか。”
このような考えを以て主題に取り組んでいる姿は、この撮影のみではなく日々の撮影から見えていました。
今回の撮影も、「工藤さん!シャーベットコーディです!」と、いつもの元気な声色をさらに強めて伝えてくれました。
撮影者である私は、所沢店でシャーベットコーディを撮るにはどこで撮影するかは、なんとなく決めていました。
それはこの新インテリア。
常々、シャーベットカラーには補色であるくすんだ淡いグレーかベージュが必要だと考えていました。
シャーベットカラーの補色になり、なおかつ似たような色味を持つインテリアはここだと考えました。
ようちゃんが2歳のこの子に合わせてくれたのは、ミントカラーにくすみベージュ。これは文句なしのシャーベットカラー。
なおかつ、まだ赤ちゃんらしさが残る彼に合わせてぶかぶかのサロペットとクマのニット帽を合わせて可愛らしさを演出してくれました。
可愛らしく、どこか幻想的なイメージのコーディネートに世界観を合わせるには、このインテリアに自由に遊んでもらった方が違和感がない。
奥に配置されているドライフラワーの色味も、吹いてくれたシャボン玉も、シャーベットカラーのミントグリーンに合う色味。
まるで絵本の中の1ページのように演出する。それは、コーディネーターもカメラマンも共同で行うことなのだと思います。
シンプルな言葉で言うなら、「世界観の統一」と言ったところでしょうか。
写真の中は一つの世界だと思っています。それこそが日常の中の非日常であり、そこに必要なのはカメラマンとコーディネーター双方による世界観の一致なのだと思います。
それは、この2者の中だけではなく、カメラマンから見た被写体の情報と、何よりも一番その子と長い時間接しているコーディネーターから見た情報を基に創られていくべきものだと思います。
そうでないと、コーディネーターはスタジオのインテリアとその子自身に合ったコーディネートを考えることはできませんし、
カメラマンは、インテリアとコーディネート、そしてその子らしさを一致させた写真を撮ることができないからです。
この主題は、毎日カメラマンとコーディネーター、そして来てくれるご家族たちと一緒に、空間と写真を創っていく過程を再認識させてくれる主題だったのかもしれません。
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