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所沢店
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一番、遠くから

投稿日:2019/6/27

2076 1

STUDIO:LIFESTUDIO TOKOROZAWA

 

photo by volvo

codi   by kudo

 

固定概念の中の最長距離・・・

 

ライフスタジオに撮影に来て頂いた方ならライフスタジオのカメラマンがどんな機材を持って撮影をしていたかなんとなく見たことがあるかもしれません。

私たちは基本的にはカメラが一台、標準レンズと望遠レンズの二本を駆使しながら撮影を進めている事と思います。

 

少し専門的な数字で現すと、2つのレンズを合わせた焦点距離は24mm~200mmとなります。

この数字は、低いほどより広く、高いほどより近寄って撮影することができます。

この焦点距離に関して少しだけ調査をした結果、真ん中ほどよく使われ、端っこほどあまり使用されていないことに気がつきます。

数字で表すと、ライフスタジオは50mm~130mm辺りで殆どの写真が構成されていることになります。

理由はいろいろあるとは思いますが、最も影響している理由は人が肉眼で確認して違和感を感じない距離感がそのあたりだからだと考えられます。

それ以外の、例えば24mmや200mmを使用すると、一般常識的な雰囲気よりもレンズの特性が強く出るので

普段肉眼で見ているこの世界にはありえないような状態が写し出され、写真は特徴的になり、違和感を感じてしまう可能性が高くなります。

 

商業写真において、違和感は天敵です。

 

だから使用する確率は自然と減っていき、違和感の無い写真を目指すようになっていきます。

 

ところが、実はその避けがちな

24mmや200mmにこそ写真の面白さが隠れていて、私たちをもっと自由にしてくれるツールだと思うのです。

 

この写真は200mmで撮影されたものです。言わなければ分からないかもしれませんが・・・。

 

望遠レンズを使用する理由は本当にたくさんあり、写真を魅力的にしてくれます。

しかし「200mmを使用する理由は何?」となると『??』が出てきます。

 

 

私の中で200mmとは『写真の中から撮影者を取り除いてくれる可能性の高い焦点距離』だと思っています。

もちろん使い方によって変わってはきますが、その可能性が高くなるものだと感じます。

 

みなさんにとって良い写真とはどのような写真をいいますか?

安い表現かもしれませんが、カメラを意識していない写真というのが私の好きな雰囲気のひとつです。

 

意識しているかどうかというのは、必ずしもカメラ目線だから意識してるとか、目線をはずしてるから意識してない

とかということではありません。カメラ目線でもカメラを意識していない写真もありますし、目線をはずしていても

どことなくカメラのことが頭にあるようなポーズをとってる写真もあります。

意識してるかどうかというのは、シャッターをきるその瞬間、被写体の頭の中に「撮影をしている」という考えがあるかどうかだと思っています。

 

赤ちゃんはわかりやすいです。

赤ちゃんは視野が狭いので、ちょっと離れればカメラマンは赤ちゃんの意識の外に逃れることができます。

コーディネーターに夢中になっている赤ちゃんを遠くから撮影すると、どことなく自然な姿に見えませんか?

 

基本的な論理はそれと同じです。

 

200mmという物理的距離感が生み出すのは、良い意味で被写体を独りにすることであり、被写体の頭の中から「カメラマン」が

いなくなる可能性が高いということです。

 

「可能性が高くなる」と書いたのは、200mmを使用したからといって必ずしもそうなるわけではないからです。

実際にやってて「200mmの特徴はなんだ?」と疑問を感じたことも多いかと思います。

 

200mmの特徴は、被写体の頭の中から「カメラマン」がいなくなる可能性が高くなること。

ならば、その可能性を高めるにはもっといろんな構成要素を付け足していかなければいけません。

そのひとつが「声かけ」です。

 

「カメラマンを意識させないようにするために、声をかける」

 

これがひとつの方法です。

声かけたらカメラマンが意識されてしまいますかね?違うと思います。

喋らない方が被写体は撮影であることを無意識に自覚します。赤ちゃんとは違います。

カメラを見なくても、頭の中には撮影がある状態から抜け出せません。

 

だから声をかけるんです。

カメラマンが声をかけるのが一番望ましいですが、200mmという距離もあるので

それは容易ではありません。そのためにコーディネーターがいます。

コーディネーターが声をかけるメリットもあります。

第3者が話しかけることでカメラから意識を遠ざける確率も高くなります。

 

声かけの内容も重要です。

カメラを意識しているかどうかの判断は「顔(目)」でできます。

被写体である人が、どのような表情になればカメラを意識していないような表情に見えるかは

その被写体や条件によって変わります。

絶対こうすればうまくいくという声かけはありません。

 

彼女の場合、もう子供撮影というよりは一人の女性を撮影しているのと同様でした。

「カメラを意識させない」状態を作るのは、年齢があがればあがるほど難しくなっていきます。

特に彼女はライフスタジオのほとんどを知り尽くしてるほど初期からきてくれている方で

撮影もお手の物です。だからこそ意識させないためには一工夫必要になります。

 

カメラを意識させないようにするには、完全に他のことに意識を向けてもらう必要がありました。

だから、わざと不安定になるように片足で立つようなポーズを要求しました。

そして彼女の特性上、笑った方が写真としての質が上がると思い、無理やりこの状態をキープしてもらう要求をしました。

 

目が隠れた方がいいか、出ていた方がいいかは2パターン撮影して決めました。

今回の場合、目が隠れていた方がよりカメラに無意識な雰囲気が強く出ているようでした。

 

200mmはひとつのツールであって、美しい表現を約束してくれるものではありません。

結局は撮影者である自分たちが、200mmというツールを使用して何をどのように表現したいかだと思っています。

自分の中で200mmを使う理由はこうだと規定ができればいいんです。

 

ただ言えるのは、200mmには、180mmには無い不思議な雰囲気があるということです。

狙って180mmを使う人はいません。だいたいの流れで使用する人が多いと思いますが、200mmは狙わなければ使わないです。

それは物理的な言葉だけでは説明しきれない部分でもありますが、本当に上手く使用した瞬間、

その写真に被写体である彼女以外誰も関与していないような、そこには誰もいないような

独特の空気が流れます。

 

写真と関係性はきっても切り離れないもので、それは撮影者と被写体の間に糸が一本つながっているようなイメージがあるのが

撮影です。しかし、200mmを上手く使用し、カメラを意識しなくなった瞬間はその糸をわざと切ったような空気が流れます。

一度繋いだ関係性をわざと切るような感覚です。

 

私たちは写真館の人間であることから、商業写真を撮影しています。

しかし私たちは芸術写真のように、商業写真を撮りたいと思っています。

だから違和感やリスクを避けて撮影していくのではなく、その違和感を武器に変える挑戦力と向上心こそライフスタジオ

ではないかと思います。

 

最後に、、固定概念の中での最長距離とかいた理由

私たちはなぜ24mmと200mmの間でだけ写真を作っているのだろうか?

それは、ただそこに決められた焦点距離があったからというだけではないだろうか?

レンズが2本しかないのもまた、私たちが自分で作り出した限界なのではないか・・・?

300mmでもあれば、写真はまた変わるだろうけど…挑戦は尽きない。

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