Photogenic
所沢店
意識
投稿日:2018/11/30
1913 1
Photo by Kudo
Write by HIRO
ー所沢店の写真とはどんな写真か?ー
この問いは毎月行っている所沢店のベストフォトのチェックを工藤さんとおこなっている時に、工藤さんからいただいた質問だ。
いつも所沢店で写真は撮っているけど、いざ言葉にしようとしてみると難しい。
いろいろな規定の仕方があるかもしれないけど、
そこでの話し合いで一つ所沢店の写真の規定として、
「四隅全てまで意図がある、統一感のある写真」
という言葉で規定できるんじゃないかということになった。
よく統一感ある写真という話を所沢店ではする。
別の言い方をするとそつがない写真とも表現したりする。
写真の中に極力、違和感が生まれないようにするということだろう。
そういった統一感のある写真であり、なお且つそこにフォトグラファーの意図がどれだけ含まれているのかということがポイントとなってくる。
まずは、統一感ということについて考えてみる。
上にも書いたように統一感のある写真とは何かは、逆説的に考えるとわかりやすかもしれない。
統一感のある写真の反対にあるものは、違和感のある写真ということになるだろう。
例えば、この写真のような洋風なインテリアなのに、夏休みの虫取り少年のような姿をした男の子が虫取り網を持っていたら大きな違和感が生まれることは、誰でも容易に想像できるだろう。
違和感を感じた時に写真と人の心の間に抵抗感が生まれるようになる。
表情や光は感動的なのに、状況と衣装が全く合ってなくて心に響く前にその違和感が気になってしまって心まで届かないこともあるかもしれない。
逆に表現したい内容に適切に構成要素が含まれていれば統一感が生まれ抵抗なく心に届きやすい。
以前所沢店の写真主題で取り組んだ、「ストゥディウムとプンクトゥム」という内容にもこの統一感という言葉が当てはまる。
みんなが共通に認識できるストゥディウムを適切に組み合わせることで、胸に刺さるような痛み、プンクトゥムを生む可能性がより高くなるのだ。
次に四隅全てまで意図があるということについて考えてみよう。
スタジオでは毎日同じ環境で撮影を行うので、長年撮影をしているとどこで撮ればどう写るとか、こう撮れば原本の質をある程度下げないで保つことができるなどわかるようになる。
そうするといつのまにか自分の中に慣れというものが生まれ、いつのまにか写真の中に自分の意図が少なくなっていく。
そうすることで慣れでは写真は撮れるかもしれないが、写真への注意力が低くなり写真に違和感を生むものに気付かなくなる可能性も高くなる。
そして何より、それは写真を撮る人間にとって知らず知らずのうちに忍び寄る病気のようなものかもしれない。
いつのまにか写真を撮ることの楽しさを忘れさせ、写真を撮ることがただのルーティンになってしまう。
四隅全てまで意図を持って撮ろうとすると、ファインダー越しにアンテナを張って注意深く見なければならないし、自分の中の感性のアンテナの感度を高くしておかなかければならない。
その積み重ねが感性のトレーニングになり、写真の質を高めていくことに繋がる。
今回の写真を見てみよう。
この写真を写真分析してみようと選んだのは四隅まで意図があることで統一感が生まれ、一枚の写真から伝わる物語がすごく感じられたからだ。
光はちょうど被写体をこの写真の中で主役にしてくれるように当たっていて印象的にしてくれている。
顔に当たる光も窓の影と合わせることで、露出的に上げても顔が白飛びしすぎないようになり、他の暗い部分も暗く潰れることのない露出にできている。
被写体の仕草、表情も撮影者や周りから見ている人を感じさせない外を一人で眺めているような表情になり、この写真の世界観を作り出している。
足もクロスさせることで女の子らしい可愛い感じで違和感なくまとまっている印象だ。
窓の外にうっすらと緑も入れていることで窓から差し込む光と合わさり、さわやかな印象にしてくれている。
前ボケもただ入れているのではなく、ちゃんと意図を持って使われているのがわかる。
写真の左半分は前ボケがなければ、ライトボックスと梯子がはっきりと写されるので、この写真の世界観をそのままでは崩すことになってしまう。
なのでこの前ボケをつかってそこに意識がいかないようにしている。
統一感を出すためには何かを入れるだけでなく、このように何かをどかしたり隠して引き算をすることも重要だ。
写真の質を高め、よりその被写体の魅力が引き立つ表現を探していくことは、写真館ならばもちろんお客さんのために必要なことである。
でも、そうやって意識を持って撮影をしてくことは何よりも自分自身のためなのだろう。
そういう意識で撮影を積み重ねていくことができたら、もっと自分もまだ知らない写真の世界に深く入ることができ、プンクトゥムを生むような写真と出会っていくことができるのだろう。
そんな写真を撮れるよう、「四隅全てまで意図のある統一感のある写真」をこれからも取り組んでいきたいと思う。
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