Photogenic


所沢店
scrollable

写真を構成する工程

投稿日:2018/6/24

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Photo by Volvo
Write by HIRO


自分の店舗での役割として、
所沢店で撮影された写真の中からベストフォトを選ぶ役割を今も続けている。
前にも写真分析で書いたが、選んだ写真を工藤さんに見てもらってそこから選別してもらったり選ばなかった写真を追加してもらったりしていて、そこで気づきをもらうことが本当に多い。

今回写真分析を行おうと思ったこの写真も、
その中で自分の写真と向き合うまた一つのきっかけをもらえた写真だった。
この写真は自分では選ばなくて、工藤さんが選んでくれた写真。
自分がこの写真を選ばなかった理由は、クローズアップの綺麗に収まった写真の中の一つだと思い、
ベストフォトの中には選出をしなかった。
もちろん綺麗な整った写真だと思ったが自分の視点ではよく撮られているクローズアップの中の1枚とおもってしまっていた。

「この写真にはたくさんの工程が詰まっている」
この写真を選んだ工藤さんの言葉を聞いて自分の写真を見る視点の浅さに気付かされた。
この写真を撮るに至るまでに考えられている工程がたくさんあり、この写真が構成されているということだ。
そして自分の撮っている写真に対してもハッとさせられる内容だった。
どれだけ写真の中に自分の意図を入れることができているのか。

いい写真の定義は様々あるが、その中の一つに意図のある写真というのがあると思う。
構成要素をどうするかを自分自身で決定してそれを写真の中で実現できるように導く。
構図や光、ポーズ、表情など。
綺麗に見える写真の中にもそこにどれだけ意図が詰まっているかでその写真の深みが変わってくると思う。
流れの中でも撮れたり、あまり深く考えなくても綺麗にまとめられるような写真は、
パターン化やそれを再現することは簡単かもしれないが、
それだけでは写真に深みを持たせられることはできないなと思った。

他の写真ではその写真を撮るに至る工程が5個くらいだったら、
この写真の中には工程が30個くらいあるだろう。
そう工藤さんは話してくれた。

そう考えてこの写真を見てるみると確かに何も意図を持ってなくては、
この写真に至ることができないというのが見えてくる。
それでこの写真をもう一度自分の視点で見つめ直して、写真分析を行ってみようと思った。

まずはトリミング。
上は帽子がわかるように鍔まで入るようにし、帽子を被っていることをしっかりとわかるようにしながらも、
画面上部の余白がなくなるように大胆にトリミングされている。
また帽子は切りながらも画面下部の手は画面いっぱいでちょうど切れないようにし、鏡を持っている状態が不自然にならないようにしている。
鏡を手に持ち、顔の近くに持って行かせることでこのトリミングができるようにされている。
画面全体の重心のバランスも帽子と腕の位置で整えられている。
帽子で上の四隅を埋め、テーブルの上についた両腕で下の四隅にも重心を置くことによって安定感が生まれている。
顔の角度も重要だ。
真正面を向くのでなく、少し顔を反らしながら首を曲げることによってカチッと決まっている中にも動きを出すことができている。
またこの子の顔の可愛いい角度も適切に捉えられているのだろう。
ピントが合っている方の目にはキャッチライトが入っていて、よりそこに注目が行くようになり、目の輝きで可愛く写されている。
また、前ボケもバランス良く配置されており、体の部分にだけかかるようになっていて顔に集中がいくようになりながら、前ボケの効果でただクローズアップを撮っただけでなく幻想的な雰囲気を作ることができている。
この前のカットでは前ボケは入っていなかった。
この写真を撮るために事前に考え、入れられていたのだ。
前のカットの流れからも、この写真が考えて意図を持って撮られていることがわかった。
普通にそのまま寄っていればきっと自分ではこういうポーズや角度、構図で撮らないだろうなと思った。

この手の位置に持ってくるにはテーブルが必要だし、ただ手を乗せるだけではこのバランスは取れない。
そのまま流れで撮ってしまえば、首の角度も傾けることもないかもしれない。
またバランスをよく構図が取られているが、意図がなければ無駄な余白を生み出したり、重心のバランスを崩してしまうだろう。
それらを調節するために多くの工程の上にこの写真が出来上がっていた。

もう一度自分の写真を振り返ってみると、
自分で説明できる明確な工程が少ないなと思う。
ある程度綺麗な写真は安定的に撮ることができるかもしれないけど、
そこからもっと深みのある写真を撮るためには、自分の中で説明できる意図を持って、
その写真の中に工程を詰め込めるようにならなければいけない。

なかなか撮影の中では工程を考えている余裕は持てないかもしれない。
でもそれを意識し、挑戦して行くことで自分の中の蓄積が生まれて瞬発的にその工程を作り出すことができるのだろう。
これからももっと意識をして撮影に入れるようにしたい。
もっと深みのある写真にたどり着くために。

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