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『対比』

投稿日:2018/6/20

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昔書いたような気がしますが、10歳という年齢は1番撮影することが難しいのではないかと思っています。ある意味大人よりも。

もちろんみる観点によっては赤ちゃんの方が難しいと感じることもあるだろうし、大人の方がラインとか気を付けなければ行けないことが多いと思う事もあるでしょう。

 

しかし、それは写真を撮る上で、難しさのほんの一部分に過ぎないと思っています。

例えば、赤ちゃんは動きに合わせて撮らないといけないのならば、合わせて撮ればいい。

例えば、大人のポージングが難しいのなら、ポージングを学べばいい。

 

難しさの内訳を見てみると、赤ちゃんも大人もようは撮影する技術に焦点があっているのがわかります。

 

技術といっても、知識や経験、鍛錬などで出す事ができるいわゆる技術的な事。

設定であったりポージングであったり。

正直言ってそんなものは難しくはないと思っています。勉強すればできます。

 

例えば一流大学に合格するほどの学力の持ち主が社会に出てから苦労する時があるのはなぜでしょうか?

良い点を取る知識や技術があってもコミュニケーションとはあまり関連がないからです。

テストは勉強すればできますが、仕事やコミュニケーションは勉強だけでは補えないものがあります。

 

それが【人】としてみる事です。

ハーフ成人式の一番の難しさは人としてみることにあります。

え、人じゃん?て思うかもしれませんが、人を人として撮ることの難しさはライフスタジオのカメラマンなら誰もがわかる事だと思います。

私たちは一期一会で生きているとはいえ、慣習やルーティン、年齢分けなどすでに自分の中にある「傾向と対策」が存在し、一期一会に対応しようとします。

もちろんカメラマンにも準備が必要ですからそれが悪いわけではなく、準備そのものが難しいのがハーフ成人式です。

 

表向きは、子供と大人の間という表現ができますが、彼らはそんな簡単な年頃ではありません。

子供のように扱うわけにもいかず、大人のように扱うわけにもいかない。

写真に写ることに興味を持つことさえも一苦労ですし、大人のようにモデル心をくすぐるというのも人によります。

写真館に来る事自体に消極的な人もいれば、のりのりでやってくれる人もいます。

 

思春期の子供たちに大人が深く入るというのはとても難しい行為です。

 

その、子供と大人の中間地点にいるのが10歳であり、そこに大人を撮るよりも難しさが存在しています。

 

 

「明暗差」という言葉が、この写真を見ていると出てくるキーワードのひとつだと思います。

被写体の左部分の影と、右部分のハイライト。被写体後ろの柱に当たるハイライトと、柱にできる影。

明暗差のサンドイッチはポートレートを撮る上で基本中の基本ですが、案外できないのも事実であったり、子供に似合わなかったり

しますが、10歳男子といえばもう見た目は大人に近づいています。笑顔で明るいだけが似合う写真ではなくなってくる時期でもあり

その人の持ってるパーソナリティに合わせた表現をしていく必要が出てきます。

 

彼は、とても妹思いです。

妹が着物撮影を頑張っている間、ずっとわらせようと頑張ってくれました。

根っからの明るいキャラクターは、撮影の雰囲気を彩っていました。

しかし、なんだかそれだけではない雰囲気を持っていると感じたのは、彼が袴を着た時でした。

 

彼の面白さと冷静さ、10歳の大人の部分と子供の部分、明と暗。

そんないろんな対比がつまった瞬間でした。

この写真の次、最後のカットの時は

袴のきつさに根をあげて表情を崩しましたが、そんな姿をみるとやっぱり10歳だなあと感じる瞬間でした。

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