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所沢店
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環境を利用する

投稿日:2018/1/11

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Photo by kudo,cordi by yoko

1枚の写真を撮るということ。それは単純にただシャッターを押すということだけではない。
いいカメラを使っているからといって、それはいい写真が撮れるということには繋がらない。
 
こと光のことだけをとっても、高さ、量、位置、数、当て方など、思考をめぐらすものは多数にある。
 
 
この写真が撮られたのはすでに日が傾いた時間だった。
自然光で撮るにはとてもではないが条件が厳しい。
 
カメラマンが選んだ撮影場所は「所沢店の廊下」だった。
 
小さな子を撮るときにはとてもではないが向いているとは思えない場所。
だが、少し大人に近づきつつある被写体の彼にはとても雰囲気があっていた。
 
 
今月に入りカメラマン練習を始めている私の課題は「所沢店のどこでも撮れる様になること」。
廊下での撮影が行われる回数は多くはなく、私にとってはその撮影を間近で見れるまたとない機会だ。
コーディをしつつ、工藤さんがどのように撮るのかがとても興味深かった。
 
 
被写体の彼は撮られる事がとても上手で、自分が置かれている位置や支持された場所がわかると自然と体が動くような子だった。
ママさんたちは「私たちが見てると恥ずかしがってやってくれないし、ちゃんと撮られてくれるか…」と心配していたが、それは杞憂だったのだと思う。
彼は自分から、自然と自分の「今」を私たちに見せてくれた。
 
 
 
このときに使用されたレンズは単焦点レンズだ。
単焦点レンズは普通のズームレンズとはちがい手元で焦点距離を変えることができない。
つまり、自分の足を使って構図を決めなければならないのだ。
 
そしてもうひとつの特徴としてはとても明るいレンズだということ。
f値をかなり下げることができるので、背景ボケも大きく効かすことができる。
所沢店の廊下にはオレンジ色の証明がある。
これは近くでとると光が強すぎてすべての色味がそちらに寄ってしまうのだが、この場合は被写体と証明の距離が適度に離れているということと、写真に向かって左側から光をあてることにより解消されている。
 
このときに、たとえば奥の照明を消していたとしよう。
もしかしたらそれはそれで味のある写真になったのかもしれないが、今回の場合はそこにオレンジの照明があったからこその1枚になったのだと私は思う。
 
オレンジ以外の照明を消し、白い壁や柱に夕陽のような色が反映する。
その光は被写体には影響を及ぼさず、被写体から距離を置きf値を1.8まで下げることによって副主体としての役割を果たす。
副主体が主体の邪魔をせず演出としての役割を果たす。これは重要なことだ。
存在感は大事だが、それは決してメインの邪魔をしてはならず、それでいて意味を持たなければならない。
それが果たされているのがこの写真なのだと思う。
 
 
まだ子供だけれど、着実に、確実に大人に近づいている。それが伝わってくるような写真だ。
メインライトが作りだす彼の顔の陰影も重要な役割を果たしているだろう。
 
 
私には圧倒的に勉強が足りない。
それを思い知る撮影、刺激的な1枚の写真だ。
 
 
被写体に入り込み、頭をフル回転させ、自分の持っているすべてをさらけ出す。
それを自然とできるカメラマンになりたいと思った。
 
 
冬の日が短い時期、それは長いようでいてあっという間だ。
それを避けて通るか、果敢に挑戦し修行をするか。
私は後者でありたいと思う。

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