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美しさを切り抜く
投稿日:2017/10/6
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昔、ブライダルの写真を撮っていた時によくリクエストをいただいていたのは「女性らしい写真が欲しい」というものだ。
だがブライダルの写真において「女性らしさ」とはわかりやすくすでに表現されている。ウェディングドレス、ヘアメイク、ヴェールetc。つまり彼女たちの言う「女性らしさ」とは飾っている以外の部分、本来自分が持っているものを引き出してほしいという意思の表れなのだ。
大人ならば前述のように意思表示ができる。だが、まだ幼い子供たちにはそれはできない。
だから私たちがいるのだ。
先日、写真サークルで社長が言っていた言葉に「ママの理想と同じものを生み出すことができれば100%。だがママの理想以上のものを生み出すことができれば100%以上の感動が生まれる。」というものがあった(多少言葉尻は違うが…)。
それは例えば、「この子、こんな表情もするんだ!」というママパパからの言葉がそうである。
つまり私たちは、その子たちが持っている魅力をその子やママパパが知っている以上に引き出し、表現し、伝えていかなければならない。
その表現手法(撮り方)の1つとしてクローズアップがあると思う。
前にブライダルでの話を取り上げたが、そこでもクローズアップ、特に睫毛に重きを置いた撮影を行ったことがあった。
大人になれば女性は睫毛や目元の化粧に力を入れる。アイライン、マスカラ、果ては今ではまつ毛エクステまである。
それだけ睫毛というのは女性らしさを象徴する部分なのではないだろうか。
余談ではあるが、現代の子供たちは私たちが子供の時よりも睫毛が長く生まれてくるらしい。
・大気汚染のため目を保護できるように長くなる
・栄養環境がよくなったため睫毛にまでしっかり栄養がいきわたるようになったetc…
と、多々仮設が立てられているらしいが、明確な理由はわからないらしい。
話しが逸れたが、つまり、「目元」というのは大人、子供に限らずその人を象徴する一部なのだと私は思う。
この写真を選んだのにはいくつか理由がある。
ただ目元のクローズアップが撮られているからではない。この写真の被写体(なっちゃん)には目元に泣きぼくろがあった。
くしゃっと笑うときはいたずらっ子を演出するように、少し疲れて息をつくときはアンニュイな雰囲気に、微笑むような笑顔を見せてくれたときは少しお姉さんのような演出を。この泣きぼくろは彼女の様々な感情を私たちに見せてくれた。
この1枚はただのクローズアップではなく、表情や、情景を彷彿とさせるものがある。
きっとその立役者はトリミング角度にもあるだろう。
寄りすぎるでもなく、引きすぎるでもない。口元やふっくらした頬を残し、頭全体を入れないよう寄って抽出する。
この四角形の中に彼女らしさがつまった、意味深い1枚であると私は思う。
いつも写真分析を書く時に「美しさとはなんぞや」と思いながら臨むのだが、この1枚に少し答えが見えた気がする。
少なくともこの写真には、「彼女のその瞬間の美しさ」が詰められている。
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