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概念の蓄積
投稿日:2017/10/6
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photo by volvo
coodinated by Kudo
今の自分に足りないものは何か?
それを最近すごく考える。
自分の撮りたい写真を撮れているのか?
撮りたい写真を実現させるスキルがあるのか?
むしろ撮りたい写真ってなんなんだ?
いつもほぼ日フォトでは自分自身で撮影した写真を分析しているので、毎月の課題となっている2枚の写真分析ではなるべく1枚は他の人が撮影をした写真を分析しようと思っている。
他の人が撮影した写真からはたくさんの客観を得ることができる。
その1枚に選ぶ写真の基準はいつも決まっている。
自分に何が足りないものなのかを教えてくれる写真だ。
今月の写真分析の主題は、今まで取り組んできた写真大辞典のまとめ。
観察・形象化・抽象化・パターン・類推というように毎月取り組んできた写真大辞典の主題を振り返ってみるということだったので、それを踏まえて今月の写真分析の写真を選んでいた。
今回写真分析に選んだこの写真はその中で目に止まった一枚だった。
きっとこの写真には今自分に足りないものがあるはずだ。
そう思い、主題の今までの写真大辞典の主題を元にしながらこの写真について考えてみた。
観察というのは、
見慣れたものを見慣れたように見ないということである。
いつもと同じだと思い、本当はそこにある美しさを見逃していることが多い。
この車での撮影の場合、この角度で撮影を行うことは少ない。
多くの場合は車を写したり、車の窓やミラー、フロントなどを使って車と絡めた写真を撮ることが多い。
髪の毛に対してもよく観察して表現に繋げていると思う。
この写真でポイントになっているのは、七五三のヘアメイクでクルクルとカールさせた髪の毛だ。
いつも通り何も気にせずに撮影をすれば、髪の毛を活かすとしても顔が写るように撮影をするだろう。
しかしこの写真の場合は、後ろ姿のアップ写真になっている。
もしこの子の髪の毛がストレートだったらただの後ろ姿になってしまっていたかもしれない。
クルクルとカールした髪の毛に光が当たり立体感が生まれ、風になびかれることによってそこにストーリー性が生まれて表現として成立している。
ただ後ろ姿を写そうとなんとなく考えたのではなく、
カメラマンがこの子の特長はなんなのか?
髪型の持つ特長はなんなのか?
光や風など今の条件で表現できるものはなんなのか?
そういったことをしっかりと観察した結果として生まれた写真だということがわかる。
これはパターンでも同じだ。
いつものパターンに当てはめてただ撮影を行っていたら、このカットを撮影しようと思わないだろう。
被写体に合わせてパターンを変える柔軟性のある思考が必要だ。
形象化・抽象化では表現しようとしたことが、その被写体を表しているかどうかがポイントになってくる。
思い描いた表現を形象化したり、抽象化したりしてもそれがただどんな被写体だろうと構わずにそのイメージを当てはめるだけだったら、自己満足の表現になってしまう。
フワフワっとしたカールヘアーに、この子が表れている表現として髪の毛を選択したのだろう。
特にこの写真は顔が写らない抽象的な写真になっている。
抽象的な写真の場合、よりそこに写っている一つひとつが持つ意味合いが強くなるので、被写体を表すために構成されたものでなければならない。
今回は葉っぱの前ボケが大きく入っていることがよりストーリー性を表すポイントになっている。
風にそよぐ葉の間から顔を出す、風になびくような髪の毛。
その効果で止まっている写真ではなく、動きのある写真になり、それが彼女を表現するストーリーとなっている。
類推では、異なった要素を組み合わせてイメージを想起させてくれる表現ということで、表現したいイメージにどんな構成要素を組み合わせるかということが重要だ。
今回の写真では、風×カールヘア×緑の葉という組み合わせが元気だけども女の子らしい一面を表現していて、彼女の内面が表されているのではないだろうか。
こうやって写真を見ながら学んできた内容を考えると、そこに写真に対する概念の積み重ねてが見えてくる。
今自分に何が足りないかということを考えるが、やはり一朝一夕に何か変えることはできないのだろう。
概念を学び、それを実際に表現するための技術を学び、そしてその結果を検証し、また次に活かす。
その繰り返しの蓄積が、一つずつ写真に深みをもたらしてくれるのだろう。
結果ばかりを考えれば焦りも出てくるが、それで目の前のことが見えなくなってしまっては意味がない。
一つずつを大切に。
これからもまっすぐに写真と向き合っていきたい。
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