Photogenic
所沢店
意味で構成された写真
投稿日:2017/6/29
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photo by volvo
coodinated by Yoko Moriya
written by HIRO
最近自分の中で普段の撮影でテーマにしていることがある。
それは
「ちゃんと撮る」
ということ。
当たり前過ぎて何を言ってるんだと怒られてしまいそうだが、素直に最近一番意識していることだ。
もちろんいつも適当に気を抜いて写真を撮っていたとかそういう話ではない。
ちゃんと撮るということを別の言い方に変えると、
一枚の写真の構成要素の一つ一つに意味を持たせるということになる。
その一枚の写真にある光、色、構図、トリミング、ポーズ、表情、レンズ効果・・・など、
その一つ一つがその写真にとって必要である理由があるように、
できる限り考えて撮影を行おうと考えるようにしている。
そうやって一つ一つのことに神経を使い撮影をすることによって写真の違いが生まれてくる。
神は細部に宿るという言葉があるが、まさにその通りだと最近とても感じるようになった。
概念というよりは技術的な話かもしれないが、
その少しの違いが写真に命を吹き込んで行くのだろう。
今回写真分析に選んだ写真を見た時に、どこか心を握られるような息の詰まるような感覚を感じた。
写真の中には張り詰めたような緊張感がただよっている。
一つ一つの構成要素の均衡が少しでも崩れればその緊張感はなくなってしまうだろう。
シンプルなとても静かな静的な写真であるのだが、その緊張感ゆえにとても迫り来るような力強い印象を受けた。
始めに書いたような、一つ一つの構成要素がそこに存在するしっかりとした理由があるまさに「ちゃんと撮った写真」
であるのだろう。
まず一番始めに注目したのが、両端に配置されている障子の淵だ。
画面の両端に淵があることにより、画面全体のバランスがとられ安定感がもたらされている。
これがもし淵を入れずに中途半端なところでトリミングされていればこういった安定感が生まれないだろう。
逆に、入れる意味のあるものは入れているが入れなくれいいものは排除されてもいる。
障子の下には壁があるのだが、この写真ではちょうど縁のところで切り取られており、
下の壁の部分が写されていない。
これが下にもう少し画角が下がっていたら、無駄なスペースが画面下に生まれ、下に重心が取られてしまう。
また、障子と被写体のみの空間にすることにより、画面構成をシンプルにして被写体に注目がいくようにもなっている。
構図に関しては、縦にはニ分割、横には三分割構図が綺麗に適応されている。
写真の中の王道の構図であるが、画面がきれいに整理されることにより余白とのバランスで緊張感が生まれている。
余白の開け方は被写体の向いている方向とは反対にとっていることで、
被写体が何か物思いにふけっているようなそんな印象を与えている。
この時に目線は手に持つ扇子の方を見ていることが重要だ。
その表情と背後に開けられた余白が統一感を持っている。
光に関しては、この和室での障子の前でこの角度で撮影する時にはだいたい顔に光が当たるように、
この写真とは逆向きに被写体の向きを調整する。
しかしこの写真では、あえて顔には直接あまり光が当たらない方向にすることにより、
静的な写真の統一感を生み出している。
この時に完全なシルエット写真となれば表情はわからなくなってしまうかもしれないが、
顔に回り込んできた光がまぶたのライン、鼻筋、口ものと曲線を照らし出し、
輪郭がしっかりと浮かび上がるようになっている。
このことにより静かなアンダーな雰囲気の中にも被写体の表情がはっきりとわかるようになっている。
また、首筋に回り込んだ光もこの髪型の特徴である女性らしいうなじの美しさを表現してくれている。
レンズは70mm-200mmの望遠を使用して、焦点距離は140mmで撮影されているのだが、
望遠レンズで撮影されていることにより圧縮効果が生まれ、画面の中に迫力が生まれている。
少し斜めから撮られているので、奥の方はボケて、望遠特有の線が細くなる効果で、ピントが合っている被写体の方により注目がいくようになっているのも写真の存在感を高めてくれている要素だろう。
今回は静的な写真であったからより整えられたというのがわかりやすかいが、
動きのある写真でも同じであるだろう。
写真を構成する要素に一つ一つ理由が付与するように撮影することで細部に変化をもたらすことができる。
その変化は写真に大きな違いを生み出して行くのだろう。
もっとそんな細部に命を宿すことができるフォトグラファーになっていきたいと思う。
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