Photogenic
所沢店
こういう写真
投稿日:2020/7/21
1962 3
LIFESTUDIO TOKOROZAWA
Photo:Volvo
codi:Sheena
どうしてもこういう写真が撮りたくなる時がやってきます。定期的に。
何が良い写真か?というのを考え始めて9年が経ちましたが、答えなんてのは
簡単なようにも思う時もありましたし、難しすぎてわからないような時もあります。
そもそもそんな問いに答えなんかないような気もしてしまう事もやっぱりあります。
私たちがライフスタジオの撮影者としてお客様から求められている写真はこの写真ですか?
と言われれば、YESと答えるのには少し時間が必要な気もしますし・・・。
もっと求められている写真というのはたくさんありますよね。
例えば笑顔の写真であったり、カメラ目線であったり、非現実的なインテリアが写っていたり。。
しかし・・・
私はどうしてもこういう写真が撮りたくなる時がやってきます。定期的に。
自分自身でも葛藤する時があります。
撮影が終わり、写真を分類しながら
「この写真より、もう一枚笑顔の写真を入れたほうがいいのではないか?」とか
「独りよがりのエゴになっているのではないか?」とか思ったりもします。正直。
このような写真が、一体どんな部類に入るのかはっきりとはわかりませんが
いわゆる「雰囲気写真」?みたいな感じでしょうか。
こうした葛藤に悩まされるカメラマンは少なくないと思いますが
大抵の場合は悩みに屈し、自分の中にある葛藤(撮りたいもの)を封印し
求められているものをしっかりと撮っていく方向を目指します。
無理もないと思います。
私達は商業写真に分類されますから。
ところが私達はただの商業写真カメラマンではなく、ライフスタジオのカメラマンでもあります。
会社の理念のひとつにあります「自由にまっすぐに」
そしてその理念のもと設定されている原本CDの枚数、、75枚という数字。
私達はただ思い出の記録を残す為の、シャッターを押すだけの人ではなく
「表現の自由」を与えられたカメラマンであるという認識を
忘れないことはライフスタジオのカメラマンとして必要なことのひとつであると考えています。
しかしこれもまた引っかかる部分ではあるのが「独りよがり」という言葉です。
ではどうしたら独りよがりにならずに表現の自由を享受できるのか?
私の考えは「どんな写真でも、撮影する目的が写真を受け取るご家族の為である事」だと思っています。
カメラマンの表現の自由が発揮できない理由は
こういう写真を撮ろうとすると上記の目的がぶれてしまう為だと思います。
雰囲気重視の写真というのは目的がついついカメラマン側に存在してしまい
ただ撮りたいだけの写真になってしまうので、これではいけないという商業写真館としての責務が
自分を押し殺させ、表現の自由を封印させていってしまいます。
ポイントは「撮影してくれたご家族の為にこういう写真を撮る」
それによって責任と権限を両立させることができるのだと考えます。
ていっても、簡単な事じゃないですよね。
私がこういう写真を撮るときに必ず入れるように心がけている構成要素は
「被写体のクセが入ること」です。
それが入っていなければシャッターを押さないぐらいです。
クセというのは特徴とも言い換えることができますが、親御さんがみたときに
「そう、これこれ!」だったり「こんなうちの子みた事ない」というような
感覚を持ってもらえたらいいなと思って写真を撮ります。
なぜこれに気をつけているかと言うと、こうした雰囲気のイメージ写真を
撮るときに起きてしまいがちなのが「見た目の雰囲気だけに集中しすぎて
写ってる被写体が誰でも同じになる」写真が生まれてしまうからです。
こうなってしまうと「撮影してくれたご家族の為にこういう写真を撮る」ことができなくなり
独りよがりな雰囲気写真が生まれます。
彼女との撮影は2回目でした。
ハーフ成人式で来てくれた今回は、2回目ということもあり和やかで彼女自身も慣れた表情をしていました。
もちろん撮影も上手ですし、笑ってもくれます。
まあ、そう言うとき私は大体こう思います。
「楽しんではくれているだろうけど、素ではないだろうな」
こんな考えがめくりながら素な表情、素な動きを探していきます。
常に笑顔で写ろうとしてくれる彼女が素になれる瞬間は「写真に写ってる」という感覚をなくす事でした。
「足で砂に絵を描いて」
こんな不可思議なお願いに彼女は少し動揺しました。彼女は動揺した時、体が動きます。
え?と言いながら足元の砂を見た時、両手が上がりました。
これが彼女の作らないポーズ、いわゆる素の状態だと思い、シャッターを押しました。
両手の高さの違い、指先の開き具合、これらが素の状態で表現された彼女の「クセ」だと思ったからです。
こうした瞬間の押したシャッターで作られる写真に写るのは、私の表現したい思いと、彼女にしかない
「クセ」そして家族に残されるこの時しかない思い出なのではないでしょうか。
だからこういう写真を撮りたくなるのかもしれません。
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