Photogenic


所沢店
scrollable

Starly Night

投稿日:2020/7/20

3371 16

Tokorozawa Photo

Photographer: Kudo/ Coordinator: Rempei

 

“感性は、生きる力。

感性を磨くには、感動体験を味わうこと。

感動体験を味わうには、人に接し、自然に接し、本物に接すること。“

この言葉は、私が好きな言葉の一つです。

 

最近は、写真を撮る方法が明確に、明快に、誰でも知ることができ、その方法さえ知れば誰でも綺麗な写真を撮ることができるような素晴らしい世の中になってきました。インスタグラムや、ピンタレストでもいろんな写真であふれ、元の写真をより引き立たせるような美しい加工もできるようになってきました。その方法さえ踏めば、自分で見つけるよりも簡単に技術をショートカットできます。科学と技術の進歩も似たような過程を通じて、より便利で手軽に私たちにできることを増やしてきました。だから、このような写真の進歩はとても喜ばしいことだと思っています。美しいものを自らの手で創る快感は、かつて芸術家の領域のように考えていましたが、今や知識と技術があればそれが可能となり、写真を撮る楽しさも誰しもが感じるようになりました。写真の知識や技術を解説するHow Toを知ることが容易にできるようになり、写真の技術レベルも向上しているような気がしています。分かち合えるものは、分かち合う。そのことが、写真を撮る人たちの間で文化となっていると感じる今日この頃です。

 

同時に、大切なことも思い出す今日この頃です。私は絶えず、「なぜ写真を撮るのか?」と自分に問いかけながら撮影をしています。その理由はいくつもあります。人を笑顔にしたいから、とか、写真でその時の記憶を美しく留めておいてその時間を大切にしてほしいから、とか、家族と自分自身を美しいと再認識してほしい、とか、私自身が人間を美しく見たいと思っているからとか、挙げてみれば個人的で独善的で自分勝手なものも、たくさん出てきます。(笑)理由なんてその時によって言い方も感じ方も変わってしまうけど、結局はこの一言に尽きるのかもしれない。

 

その一言とは、「感動したいから」。

 

ファインダーを覗いているとき、何よりも目の前の人に集中します。目の前の人をどのように撮ったらより美しく写るのか、ということは、その人の特徴を捉えることが不可欠ですが、身体的な特徴のみではなく、内面や人となり、今何が好きなのかとか、何に心を動かされるのかとか、そういった特徴も見ることが必要だと感じています。そういった感覚的なことは、もちろん個人差がありますし、タイミングによってはなかなか出にくい時もありますが、なるべくその人の表面的なものだけではなく内面的な深さを少しずつでも出しやすい空間と関係性を、撮影をする前や撮影をしながら作っていきます。その際に必要なことが、尊重と感動だと思います。その人を構成している要素一つ一つを見逃さず、観察して、印象を受け入れていく過程は、一種の感動だと思っています。目の前の人に、心を動かされていき、その人の印象を構築し、表現しながら更新していく過程を75カットとして表現する。それは決して撮影者の独善的なものではいけないと思っています。私から見た一方的な視点というよりは、コーディネーターからの視点や、家族からの視点も不可欠です。いろんな人と接し、その人の側面を見ていくことは、その側面のひとつひとつに心を動かされ、美しいと感じることが重要だと最近特に感じています。

 

この写真は、被写体である彼女の今一番好きなものを写したいというママさんの言葉から思い浮かんだアイデアがもとになっています。ママさん曰く、彼女は今、宇宙が好きだということでした。天文の学習本も持ってきていて、本当に宇宙が好きなのだということが伝わってきます。一緒に入ったコーディネーターのれんぺいも、彼女の宇宙の話を引き出そうとたくさん会話をしてくれていて、宇宙のことを話す彼女は最初少し恥ずかしそうでしたが嬉しそうな表情を浮かべていたのが印象的でした。私は、宇宙が好きな彼女のためにどんな写真で表現すればいいのかを考えていました。限りあるスタジオの設備でプラネタリウムのような世界を表現することはできません。考えていながら、彼女の様子を見ていると宇宙のことを考えているときは、きらきらとした表情をしていました。その表情に、どこか心が温かくなるような感覚を覚えたので、その表情から何か少し閃いた気がしました。そして私なりの宇宙空間を表現してみようと思いました。

 

所沢店には20面体のワイヤーオブジェがあります。それにはLEDライトが巻き付けてあり、そのライトを点けるとオブジェ自体が光るのでどこか幻想的な雰囲気になります。宇宙と聞いて真っ先にこのオブジェが思い浮かびました。彼女の写真を撮る空間を作っている最中にこのオブジェをたくさん持ち寄って、廊下にソファを置き、廊下の照明を消し、奥のオレンジライトと、ライトボックスのみを点けて、夜っぽい空間を作りました。オブジェのうち3つはソファに置き、一つは天井から吊り下げました。撮影でLEDライトをよく使う店舗もあるかと思いますが、LEDのライトを前ぼかしに使うときらきらとした玉ボケになります。この効果を利用して暗闇の空間に星のように光るように、セッティングしました。そしてメイン光でありライトボックスの横には、彼女に座ってもらい、暗闇に浮かび上がるような明暗差を付けました。レンズは望遠150㎜にして、距離感を圧縮します。そうすると、夜に星が輝くような幻想的な空間に見えるような気がします。

 

技術的には大したことをしているわけではないのですが、写真を撮るときの根源は、「何に心を動かされたか」ということだと思っています。たった一瞬でも心を動かされたことを受け入れ、誰が見ても「そう」だと思えるように、表現をしていく。その表現に必要なのが知識や技術であり、それは写真に深さとボリュームをくれるものです。表現方法にのみ固執せず、常に原点に戻りながら先へ進むことがライフスタジオの撮影者の使命だと常に感じます。

 

ママが彼女のことをいとおしいと思う気持ち。

彼女が、キラキラした瞳で心を躍らせること。

れんぺいが、一生懸命一緒に作ってくれるこの空間。

そのすべてに心を動かされたとき、心を動かしてくれたいろんなことに感謝をして、私はシャッターを切りました。

それは人に触れて、心に触れて、心を動かすこと。

幸せだなぁと思う、今日この頃なのです。

 

今回も、良い時間をありがとうございました。

 

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美しさを表現し、思い出を記録する、楽しい遊びの空間

人生の写真館ライフスタジオという名前に込めた想い。
それは、出会う全ての人が生きている証を確認できる場所になること。
家族の絆とかけがえのない愛の形を実感できる場所として、
人を、人生を写しています。

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