Photo by HIRO

Coordinated by Takumi

 

自分の撮りたい写真とはなんなのか？

それが今自分自身の課題であり、担当している所沢の写真の方向性が定められない課題の原因になっている。

このライフスタジオでなぜ写真を撮っているのか？

どんな写真を残したいのか？

そしてそのためにどんなこだわりを持って撮影をするのか。

今の自分自身の一番大きな壁だ。

 

先日工藤さんとも写真の話をした時に、

写真を見たら誰が撮ったかわかる人がいるという話で、

実際に工藤さんやボルボさんの写真はどっちが撮ったか写真を見ればわかるし、

他にもライフスタジオの中でもたぶんこの人が撮ったんだろうなというように

写真から誰が撮ったかわかる人がいる。

それはその人の視点や写真に対する信念のようなものから生まれてくる個性なのだろう。

 

自分は果たしてどうなのか？

写真的にはもちろんライフスタジオのカメラマンとしてお客さんに提供する上で問題ない写真を撮ることはできて、満足してもらう写真は撮ることができると思っている。

でも自分の写真を見た時に誰が撮った写真かわかるかと言われたら

きっと自分が撮ったとはわからないだろう。

何が撮りたい？

何にこだわりを持って撮影している？

どんな信念を持って撮ってる？

こう聞かれた時に自分の中から出てくるものは正直なところまだない。

ないというと語弊になってしまうが、言葉にできないという感じだろうか。

人になんと言われようとこれだけは曲げられないこだわりがあったり、

これだけは絶対に撮りたいと思っているものがもしかしたら心の中にはあるかもしれない。

でも今の段階では簡単には答えることができなく、実際に写真にもその自分の意思は色として現れていないのは自分でもわかる。

 

ライフスタジオの写真とは？

所沢の写真とは？

 

こう聞かれると言葉としては「芸術的な写真」とか「統一感のある写真」とか出てくるかもしれないが、

自分の中でそれを体得して表現をしようとできていない。

このスタジオという環境の中でいったいどんな写真を撮りたいのか。

書きながらまとめようとも思ったが今の段階では難しいので、

これに関してはこれから考えていかなければない。

 

なのでまだ自分の中ではっきりと絶対にこれだけは信念として持ちたい！と言えるようなものではないが、

その中で自分の撮りたい写真とは？と考えながら写真を見返している時に、今回の写真が目に止まった。

この写真を撮った時には、

「よしっ！これは撮れた！」

と思ったのを覚えている。

 

被写体の子は下に妹がいる10歳の子で、今回はハーフ成人式ということで撮影のメインとしてきてくれた子だ。

すごく元気な子で、たくさん話をしてくれて撮影中もとにかく元気！という印象だった。

そんな中でこの子の10歳になる中で大人になっていく過程に見せる表情も残してあげたい、そう思いながら撮影をしていた。

その中でいい光を見つけ、大人っぽいポーズをしてもらった時に彼女のいつも見ない表情や雰囲気を見つけることができた。

少し前かがみになるように足を組んだところに肘をついてもらい、手は軽く顎の下へ。

そうすることによって体に自然な重心が生まれ、写真に動きが出る。

表情がわかる目が印象的になるように帽子のつばから覗くような形で配置。

トリミングは帽子を大胆に切るようにし、その対角線上の角も体で埋めることで帽子、顔のライン、手、左下の角と写真の中に流れを作ることができていた。

そういった技術的な面を整え、シャッターを切るとそこに彼女の見たことのない雰囲気が写真の中に表現されていた。

 

自分の撮りたい写真とは？と考えながら写真を見返し、この写真で目が止まったのは

「被写体の見たことのない顔」

を表現できた写真だったからかなと思う。

もちろんあまり彼女を知らない自分だからかもしれないが、

それがお父さんお母さんも、そして彼女本人も知らない顔がそこに現れていたらいいなと思う。

それが自分の中で撮りたい写真の一つなのかもしれない。

それを引き出せた瞬間はやはりポートレート写真の醍醐味なんじゃないかと思う。

 

「被写体の見たことのない顔が表現された写真」

というのは自分の中で撮りたい写真の一部ではあると思う。

まだまだ撮りたい写真、特にライフスタジオで撮りたい写真というのにたどり着くには先は長いが、

こうやって言葉にしていきながら自分の写真というものを見つけていきたい。