Photogenic
所沢店
Make your story.
投稿日:2018/10/28
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Photo by HIRO
Coordinate by Volvo
物語の主人公になりたい。
そんな想いは誰だって一度は思い描く夢でしょう。
絵本や映画で見たお姫様のようになりたい。
テレビで見たヒーローのようになりたい。
大げさな夢じゃなくたって少なからず誰もが持っている願いで、
それは大人になっても変わらずあるものだと思います。
写真にはそんな想いを叶えてくれる力があります。
映画みたいに大掛かりなセットや壮大なシナリオがなくたって、
1枚の写真の中に物語の1ページを切り取って、その世界を作り上げることができる。
写真は被写体を物語の主人公にしてくれます。
でも、それはただカメラを構え、シャッターを切れば物語の主役にしてくれるわけではありません。
映画は監督がいてその世界を作るように、フォトグラファーがその物語を描かないとその世界は現れることはありません。
物語の主人公になる魔法をかけられる、それもフォトグラファーとしての力なのでしょう。
どうしたら物語のある写真を作り、被写体をその世界の主人公にしてあげることができるのでしょうか。
写真は真実を写すと書いて写真です。
実際に存在するものしか写すことはできません。
合成を行えば全く異世界を作り上げることもできるかもしれませんが、
特にスタジオでの撮影は加工も行わないのでそこに写るものが全てになります。
物語のある写真を生み出すには、そこに写るもの全てがその物語を彩る役割を持たなければなりません。
写っているもの、光、コーディネートとインテリアの組み合わせ、画角、構成要素の全てが意味を持ち、被写体を物語の主人公にする要素にならなければならないのです。
その精度が上がれば上がるほど、その物語の輪郭がはっきりとし、私たちの想像力の中に物語を広げてくれるでしょう。
この写真は所沢店では象徴的とも言えるインテリアで撮った写真で、
この部屋で撮る時にはこの逆光に包まれるようなイメージの写真を見ることは多いです。
でも、今回の写真を撮った時にはいつもと少し違った感覚を覚えました。
被写体の彼女を主人公にした、物語の1ページを感じることができたと思います。
誰かを楽しみに待つ小さなお姫様。
外から足音が聞こえ、嬉しそうに窓の外を覗き込む。
これから始まる物語の一瞬を表現しています。
彼女の横に置いた椅子は彼女が今までそこに座って待っていた象徴として、
物語を生み出すポイントになるように彼女の横に配置しました。
椅子だけでは少し寂しく物語に彩りを添えたかったので、
彼女の女の子らしい可愛らしさを表現するように花束を添えています。
この世界の中の彼女を少し遠くから見守るように前ボケを入れて距離感を保っています。
前ボケは光を通しやすい緑の前ボケを使うことで逆光の光と合わせて、
彼女の前後を光で包むような幻想的な世界観を作ってくれています。
また前ボケの位置も重要で、画面右は椅子とメインの被写体で全体の重心が重いので、
その反対側に前ボケを多めに入れて左右の重心のバランスもとっれるようにしています。
光は彼女の輪郭を包み込むような優しい逆光になるように露出を調整。
肌や小物、インテリアの立体感を出すために飛ばしすぎないよう露出を決めています。
被写体のポーズも物語を語る一つの大きな要素になります。
「外に猫とかいるかな?」そんな声をかけ彼女が本当に興味を外に示して窓際に身を乗り出している瞬間にシャッターを切りました。
写真はそこに存在するものだけを写す。
そこに存在するものだけが写るからある意味でものすごく現実的なものです。
でもだからこそリアリティのある世界で物語を作れるのでしょう。
現実的な物の中で作り上げられる非現実的なフィクション。
その曖昧な接点が、見る人の想像力に語りかけ世界を繰り広げてくれるのだと思います。
被写体を物語の主人公にする魔法を持っているのはフォトグラファーの特権です。
それは写真の持つ大きな面白さの一つでしょう。
物語のある写真を撮るには偶然だけではなかなか撮ることができません。
そこにはフォトグラファーの意思が必要です。
まだ出会ったことがない物語に出会うために、もっと日々向上していかないといけないなと思うばかりです。
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