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ひと夏

投稿日:2018/8/25

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ひと夏

 

photo by volvo

Write by Takumi

 

この写真を見て釘付けにされました。

自分の中の記憶が大きな声で「懐かしい」と叫ぶような、そんな感覚。

普段埼玉に住んでいる僕ですが、たまに実家の新潟に帰ることがあります。

新潟は冬の雪のイメージが強いですが、

じゃあ夏涼しいか?と聞かれると答えはNOです。

そんな夏、実家に帰ると蝉の声、近所の子供の声が聞こえてなんだか騒がしいような、

でも家の中一人で涼む静かな時のような、そんな不思議な感覚があります。

この写真を見たとき、その形容しがたい「懐かしさ」が蘇ります。

 

写真人文学という本に「プンクトゥム」「ストゥディウム」という言葉が出てきます。

絵画、写真などの芸術作品を見たとき、

いくつものストゥディウム(簡単に言うと構成要素)により、

プンクトゥム(胸を打つような衝撃)を生むと言うものです。

 

この写真にも沢山のストゥディウムが盛り込まれています。

 

例えば麦わら帽子、背景の緑、強い日差し、窓の反射から見える植物の影。

全てが夏に関連付けた構成要素と見え、そこには統一感があり、自分の過去を投影するように写真へ没入させます。

 

 

強い日差し

彼女の前進は若干のアンダー目に設定されており、ハイライトのシルエットが強い日差しを感じさせます。

外が明るいため電気は落とした田舎のおばあちゃんの家の窓辺のような雰囲気を感じます。

 

窓の前ボケ

窓の前ボケは外から彼女を見ているような感覚、

つまり彼女が一人でいる様を表しているように感じます。

「おばあちゃんこれからお昼ご飯作るから遊んで待ってるんだよ」

と言われたようなそんなイメージが伝わります。

 

ふとした表情

特に悲しかったり、嬉しかったり、とかではなく、

何か物が落ちてそれを拾おうとしているような、どこにでもあるような、自然な表情。

全く人の気配を感じさせない彼女の姿。

窓越しに一人のイメージを出して撮っているのにニコニコでカメラ目線というようなアンバランスなものではなく、

ちゃんとその設定が活かされる彼女の姿となっています。

 

こういう写真を撮ろうと狙うカメラマンの意図と彼女の自然な姿がピッタリと合わさった写真と感じます。

よく先輩に良い写真とはを聞くと「そつのない写真」と帰ってきます。

先輩の言うそつのない写真とは、違和感のない写真のことだそうで、

今まで頭では分かってても、しっくりこないような感覚でいました。

でもこの写真を見たときに納得しました。

 

こういう写真を撮ろうと狙うカメラマンの意図と彼女の自然な姿がピッタリと合わさった写真。

それがそつのない、ということだと。

 

伝えたいことを写真に構成するということはどういうことか学べた写真です。

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人生の写真館ライフスタジオという名前に込めた想い。
それは、出会う全ての人が生きている証を確認できる場所になること。
家族の絆とかけがえのない愛の形を実感できる場所として、
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