Photogenic
所沢店
靴を履く行為
投稿日:2018/4/30
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photo by sakai takahiro
ライフスタジオの写真は商業的であり、記録的であり、芸術的である。
僕個人的にライフスタジオのこの規定がとてもしっくり来て好きです。
だから写真分析は毎回それにのっとって書いて来ました。
実際写真を撮るときも、来てくれた人たちの成長を一緒に喜び、持って来てくれた記念の形式を大切にし、自分の主観を通して残す心がけをしています。
なによりそこに生きがいを感じている一人が僕なのです。
靴を履く行為
朝起きて顔を洗って、ヒゲを剃って、髪を整えて、カバンの中身を整理して、気持ちを整えて、靴を履く。
人が当たり前にする行為でしょう。
いつからそれが当たり前になったのでしょう。
人はまずこの世に生まれたことを喜ばれる、大きな泣き声を喜ばれる、寝返りをうって喜ばれる、最初に立ち上がったときに人は泣くほどの感動を与える。
でもいつの間にかそれは当たり前となるのでしょう。
でもその一つ一つの記念を残しに来るのが写真館なのであると思っています。
そしてライフスタジオでは75枚の写真でその記念を切り取っています。
それは些細な記念を余さずに残すことが出来るということです。
商業的に記録的に芸術的に。
この写真の彼女は靴を履いているもしくは履き直している最中でしょう。
靴を履く理由は主に「外に出るため」でしょう。
常に守られた場所であるお家の中から出て、色んなことを経験する。
危ないことも覚えるし、知らなかった遊びも覚えるし、守らなきゃいけないルールも覚えて来ます。
彼女はそんな冒険に出かける準備をします。
彼女が外の世界を歩き出そうとしている姿、こんなにも前向きな記念はないでしょう。
そんな記念を撮り逃さないのがカメラマンであり、写真館の人間であると考えます。
そしてカメラマンはその記念を残すために光を選択し、ポージングを選択し、シャッターを押します。
光はお出かけの朝のように窓から突き刺すように入っています。
そして被写体には半逆光で入っています。
これによって幼い彼女の柔らかい頬の感触を表現しています。
次に前ボケの用意です。
前ボケは直線で入るカーテンの前ボケが使われています。
カーテンの素材によって柔らかく優しいイメージはありますが、直線に敷くことによって、壁や柱のように被写体と写真を見た人の間に視覚的な距離を生んでいます。
これは一人で準備して、自ら外へ向かおうとしている彼女の姿を表すための材料として成り立っているように見えます。
そんなにオシャレしてどこにいくの?
つい声をかけたくなるような写真。
見た人にそんなふうに思わせる写真には必ずカメラマンの意図があって、意図には伝えたい思いが込められています。
ライフスタジオのカメラマンがシャッターを切るとき、分類中に写真を残すとき、そこには思いがたくさん込められています。
僕らはそれを生きがいにしているし、それを求めて人は写真を残すのだろうと思います。
僕はこの写真を残したカメラマンをよく知っています。
彼はライフスタジオのカメラマンであり、所沢店の人間であり、僕の同期です。
彼が残す写真に多くの人が涙を流して来たことを知っています。
でも彼は自分が「人に深く入る」ことが出来ることをあまり知りません。
でも写真はその人を知らなければ残すことは出来ない厄介なものです。
しかし彼はその厄介な写真の世界で生きています。
そしてシャッターを切れる人です。
つまり自分の知らぬうちにそれを成しています。
それは人に関心を持っているということです。
写真はただ綺麗なものでは何の価値も生まれません。
写真の中で生きる人、そこに出会った人、それを見守る人、それぞれの人生を結んだときに残るものと僕は信じます。
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