photo by volvo
write by takumi


これは３歳の七五三で訪れた女の子の写真です。
来店されて、30分のお着付けの間に何があったのでしょう。
もともと可愛らしい顔立ちの女の子が来たのはわかっていたのですが。
こんなにも着付けとヘアメイクが世界観を創り出すとは思いませんでした。
 
着付けが終わり、衣装室に言った僕は素直に「この撮影で良かった。」と思いました。
 
彼女は何度か来店経験があるらしく、ポーズを付けたり、お話しするのがとても楽しそうでした。
なので無理にはしゃいで緊張を解いたり、遊んだりとせず、コーディネーターとして彼女の可愛いところを探そうと努めました。
 
彼女の特徴は目だと思いました。
とても大きく見開かれた目、そして長いまつげは強い女性の印象を与えていました。
もう１つは輪郭、
大きく凛としている目とは対照的に3歳らしいほほのふくらみ、肌の質感と感じます。
 
この二つを持った彼女をバランスよく撮るにはどんな角度で、どんな光で撮るのが最善でしょうか。
 
目を伏せる。
よくライフスタジオの75cutの中で見られるポージングの一つです。
これによって一人でいるようなシチュエーションを再現したり、
何か物思いにふけっているような、
子供らしさとは反対に成長を感じるような、少し大人びた姿を残すことが出来ます。
この写真でも彼女に斜め下を向いてもらい、大きく集中させる目を少し閉じ、大人びた印象を残しながら、着物や髪、表情までずべてに目が行くように配慮されています。
また大人びた目元に合わせ、顔の角度を少し落とし、本来より細く、顔を見せています。
それによって顔の全体的なバランスを整えていることが分かります。
 
バランス
この写真のバランスは被写体の彼女だけに撮られたものではなく、構図の中で1枚としてのバランスにも配慮が見られます。
それは被写体と対称に置かれた掛け軸です。
この掛け軸があることによって、写真としてのバランスを整えています。
 
次に光のバランス
この写真には縦に長い前ボケを作っています。
これによって、
手前：暗い
被写体：明るい
奥：暗い
と互い違いにすることで、被写体に集中することが出来る写真になります。
 
このいくつかの要素を組み合わせて出来ているこの写真には、1人の女性への配慮が見られます。
もしかしたらこれが撮影中に最も大事な人との関係の構築ではないかと思いました。