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光の詩
投稿日:2017/5/20
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Photo by HIRO
Coordinated by Takumi
光は語りかける。
あなたの存在はこんなにも美しいんだ。
こんなにも輝いて、
こんなにも尊いものなんだと。
光は照らし続ける。
あなたの輝きが暗闇に埋もれてしまわぬよに。
あなたの未来に希望が溢れるように。
光は語りかける。
詩を詠うように。
もしこの世から光が消えてしまえば、何一つ見ることはできなくなる。
むしろ何も存在することもできないだろう。
聖書の一節で有名な聖句がある。
「光あれ」
神が天地創造を行なった時に最初に言ったとされている言葉だ。
実際に科学的にもビッグバンからこの宇宙は始まったとされている。
全ては光が存在するところから始まったのかもしれない。
写真にとっても一番重要なものは光だろう。
光がないところでは写真は存在することすらできない。
写真と光は切っても切り離せない関係だ。
そんな光のことを考える時、光にも生命が宿っているんじゃないかと思わされる時がある。
青白く澄み切った早朝の光。
新しく始まる一日に、命の息吹を吹き込むように、私たちの心を優しく包み込む。
力に満ち溢れた白昼の光。
力強く進んだらいい。
胸を張って堂々と生きたらいい。
そんな気持ちを掻き立ててくれる。
世界を一色に染める茜色の夕日。
どこか儚くそれでいて美しく煌めく光の粒。
もうすぐやってくる一日の終わりを告げ、時の移ろいと儚さを教え、胸の奥をぎゅっと掴まれたような気持ちにさせる。
光は私たちの心の底にある感情の扉を叩き、その扉を開いてくれる。
私たちの心にいつも語りかけているのだ。
光を使って彼女を表現したいと思った。
夕暮れの色に景色が染まる前、
世界に一番強く光が溢れる時間帯。
日光の入射角が低くなり、目も開けられないくらい眩しくなる。
そんな時間帯に彼女に出会った。
三兄弟の長女で下に弟二人を連れた6歳の女の子。
元気いっぱいの弟二人の面倒を見るのに慣れたように、彼女はしっかりとした少し落ち着いた印象だった。
でもその雰囲気の中にも子供らしい可愛い笑顔が溢れていて、優しさと無邪気さを持ち合わせた魅力を持っていた。
そんな彼女の魅力は私の心をとても純粋な気持ちにさせてくれた。
彼女の魅力を三兄弟の姉としてではなく、彼女自身の女の子としての魅力として表してあげたい。
むしろこの子の魅力をより美しく表現しなければという使命感にも似た気持ちに駆り立てられていた。
彼女のソロ撮影も行うことに決まり、この時間帯の強い西陽の力を借りて、逆光をメインとして彼女を表現できる光を探した。
逆光の写真が持つ神秘的な雰囲気、
強く差し込む光が作るフレアの煌めき。
彼女のために準備されたかのようなその日の強く差し込む西陽が、きっと彼女の魅力を輝かせ、彼女が主役の舞台を作ってくれると思った。
光が彼女の魅力を輝かせてくれるそんな瞬間を探して撮影を進め、その瞬間は最後に訪れた。
ソロシーンの最後、彼女にぐっと近づき、アップの写真を撮ろうとして角度を探している時だった。
強い逆光を取り入れるために開けていた奥の窓から差し込む西陽が彼女を包み込み、ファインダーの中にその光が満ちるのを見つけたのだ。
そして、その光に導かれるようにシャッターを切った。
あなたの美しさはここにある。
こんなにも輝いてて、こんなにも美しい。
あなたの存在はこんなにも尊いんだ。
これから進む未来にはきっと希望の光が満ちているよ。
光は彼女にそんな想いを込めた詩を送っているかのようだった。
そんな光の詩に添えるように、彼女の内側にある美しさと華やかさを表現する花束で色味を。
瞳はそっと閉じ、彼女を象徴する長い睫毛に焦点を当てる。
瞳を閉じたその姿は、まるで光の中優しく未来に祈りを込めるかのようで、そこに彼女の持つ心の優しさが表れていた。
横の窓から入るサイド光と白い砂の部屋特有の光の反射が、強い逆光の中でも彼女の表情を照らし出し、その表情を写し出すのを助けてくれる。
そして彼女の純粋な想いと希望を、光が溢れる左側の余白に込めて。
いつかまた彼女に会えるだろうか。
光が教えてくれた彼女の輝き。
それはきっといつまでも変わらない彼女の輝き。
これから大人になっていく彼女の未来が、光に満ち溢れますように。
写真にとって光は不可欠な存在だ。
でも逆に光にとっても写真はとても重要なものだ。
きっと光が語る詩を残すことができる、それが写真なのだろう。
今日も光は語りかける。
まだ見ぬあなたにどんな詩を残せるのだろうか。
ファインダー越しに耳を傾けよう、私に贈られた光の詩を探しながら。
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