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所沢店
scrollable

存在の煌めき

投稿日:2017/5/20

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Photo & Written by HIRO
Coordinated by Yoko

口紅で赤く染まった口元に、優しくスッと伸びた繊細な指先。
日の光を受けて、美しく輝く茶色かかった髪。
そして、一点を見つめ何かを語るように潤んだ瞳。


この写真を撮った瞬間、彼女の煌めきが光を放ち、それに吸い込まれるようにシャッターを切っていた。
ファインダーの中の四角い世界で彼女を見つめながら、どうしたら彼女の煌めきを引き出すことができるのかを探していたのだが、
この数秒前の画角は余白をもっと残して背景も写るようにしていたものだった。
しかし、ポーズを指示しながら一瞬彼女の煌めきが顔を覗かせた瞬間、

「この煌めきを写真という四角い舞台いっぱいに輝かせたい!」

そんな衝動に駆られ、200mmの望遠いっぱいまで焦点距離を伸ばし、彼女に引き寄せられるように更に自分も前に進んでいた。
そして微調整をしながら一瞬を狙い、シャッターを切った。

哲学で存在者と存在という概念がある。
簡単に言えば目に見える物理的なものを存在者、その内側にある目には見えない本質的なものを存在としたものだ。
言い換えれば現象と本質の関係だろう。
写真とは物理的に見れば、実際に存在する存在者をカメラという機械を通して残すものだ。
しかし、写真の価値はそれだけではないと信じている。
写真には目には見えないより本質的な存在を写し出す力があるのだ。
この写真と出会った瞬間、それはまさに7歳の女の子という存在者の中に、彼女自身の存在の煌めきがカメラを通して光り輝いた瞬間だった。


七五三の着付け中、初めて会った彼女はどこか少し不安そうな、どこか少し恥ずかしそうな表情を浮かべながら、着付けを行なっていた。
でもその中にメイクをし、美しく変身する自分に心踊る女の子の目の輝きを感じた。
彼女には3歳年上にお姉ちゃんがいて、どこかちょっと大人なお姉ちゃんのように自分もなりたいと憧れる女の子の気持ちだったのかもしれない。
七五三の緊張もあったのかもしれないが、まだ内側に秘めている想いを感じ、この子が持つ女の子としての個性を魅力的に引き出したいという想いがこみ上げた。

彼女の特徴をよく観察する中で、彼女の美しさが一番表れるのが横顔であることを発見した。
スッと伸びた鼻筋、クッキリした二重の目、長くハッキリしたまつ毛、そして笑うと印象的に上がる口角、そんな彼女の女の子としての美しさが一番横顔に表れていた。
横顔に集中して撮影することを決めて撮影を行なった。
この写真を撮ったのは七五三と兄弟撮影が終わり、最後のシーンだ。
最後のシーンでも変わらずに、どうしたらこの子の女の子としての魅力を引き出すことができるのか、横顔に集中して探し続けていた時だった。

窓から差し込む強い光は七五三でヘアメイクした後のクルクルと巻かれた印象的なロングヘアーへ。
照らされた髪は光の粒に包まれ、一本一本が輝き彼女の内側にある美しさが表れているようだった。
全体的にはアンダーなイメージの露出は彼女の表情に物語を与え、そこで煌めきを放つ髪の光はその物語に彼女のまだ内に秘めた美しさを解き放つ。

少し力の抜けた手首から口元にかけて伸びる指先は彼女の横顔が持つ女の子らしさを更に引き立てていた。
私の煌めきはここにあるのよ。
まるで自分の美しさを自分が一番わかっているかのように自然とそのポーズは彼女自身によって導かれた。
肘をつき口元をかくようにだけ指示をし、あとは彼女の動きに任せて自由を与えていたことが、彼女自身の自ら発する煌めきに繋がったのだろう。

少しうつむき加減な目線、でもその目にはしっかりと力強さを表す目の輝きが溢れていた。
その瞳の先には何があるの?
どんなことを想って微笑んでいるの?
彼女しか知らないストーリーの中に引き込まれるように、何故か胸をぎゅっと掴まれるような感覚に支配される。


よくカメラマンの話でシャッターを切らされたという表現を聞くことがある。
自分が意図して狙っていたその想像を、被写体から放たれた魅力が超えて返ってきた時、被写体に先導されるように写真を撮ってしまうのだ。
今回はまさにそんな感覚の撮影だった。
それは正しく存在の煌めきが表現として溢れ出し、カメラを通して出会う瞬間なのだろう。
目に見える存在者を撮っている時はその感覚には出会わない。
きっと目には見えない内側にある存在の煌めきが見えた瞬間に心は動かされるのだ。
そんな瞬間にたくさん出会いたいが、残念ながらそれは簡単には見えないものである。
その瞬間に出会う近道はないのかもしれない。
ただ真摯に目の前の被写体と向き合い観察して、丁寧に表現を試みるしか道はないのだろう。

彼女が内に秘めていた煌めき。
これからどんな出会いがあり、どんなことを感じ、どんな成長をしていくのか。
そしてそこから彼女が持つ煌めきがどんな煌めきとしてもっと輝いていくのだろうか。
彼女の目線の先には未来の彼女があったのではないかと勝手に想像する。
きっとたくさん輝きを放つ素敵な大人になっていくのだろう。

またいつか彼女の煌めきに出会える日を夢見ながら。

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