Photogenic
所沢店
整理された写真
投稿日:2016/12/19
1437 0
Photo by Kudo
Written by HIRO
75カットの写真を一枚一枚見ながら、その中でも「おっ」と何か心を掴まれ目が止まる瞬間がある。
それは時に表情であったり、色であったり、光であったりするのだが、その中に整理された写真というものがある。
整理された写真からは安定感が醸し出され、見る者の心にもスッと入り込み、安心感のような感覚をもたらしてくれる。
美術館に行き洗練された美しいアートを眺めている時に感じる心地よさは、この「整理された」ということが大きな影響を与えているだろう。
整理されているものを見た時に人は、そこから美しさを感じるのだ。
整理されたという言葉をもう少し考えてみたいと思う。
整理という言葉の意味を調べてみると
①乱れているものをそろえ、整えること。
②不必要なものを取り除くこと
とされている。
乱れているものを整える、不必要なものを取り除くというのは、要するに本来あるべき位置に戻し、本来あるべき形にするということ。
写真を構成する要素にも、その構図の中にそれぞれの要素があるべき位置があり、あるべき形がある。
それがうまく構成され、整えられた時に整理された写真が生み出されるのだ。
この写真の原本75カットを見ていた時に、この写真に惹きつけられ目が止まった。
一枚の絵やポスターのような印象を受け、見ていて心地よい感覚になった。
この写真を見ながら整理された写真について考えてみたいと思う。
まず1つ目は構図である。
構図の美しい写真といわれてまず思い浮かぶのがフランスの写真家、アンリ・カルティエ・ブレッソンの写真だ。
彼の写真は小型カメラを使用し撮られた街のスナップ写真なのだが、構図が決定的に美しい。
天才的な構図で何の変哲もない街の風景を芸術的な世界へと変えてしまう。
レンズも50mmから変えず、シャッタースピードも固定して撮影していたらしく、全ては構図とその一瞬に100%集中するためだったようだ。
何を写すかも重要だが、それをどう配置し構成するのかはとても重要になってくる。
この写真では構成要素がうまく配置され構図が整理されている。
まずは写真が縦に2分割されていること。
被写体側とライトボックス側がちょうど画面の半分で構成され整えられた印象になっている。
次に被写体の位置だ。
上下に画面を3分割した左下にちょうど収まる大きさとバランスで配置されていることにより安定感がもたらされている。
余白とのバランスも保たらているので被写体が自然とインテリアと調和されている。
また右下にくまのぬいぐるみが配置されているが、これにより左右の重心のバランスが保たれている。
左に被写体と飾られている絵があるので全体的に左側に要素が多くなっているので、右側にもオブジェクトを配置することにより構成要素の比重を整えている。
ライトの配置は画面構成を縦に二分し、そこにかかっているカーテンの前ボケもちょうどライトの上にかかり画面を2分割している。
前はデザインの仕事をしていたこともあったのでその時にデザインを整える上でよく言われていたことに画面を構成するオブジェクトの形を丸や三角、四角など幾何学的な整理された形にすると全体がまとまって整理されるというものがあった。
この写真においても構成要素が幾何学的な形で構成されおり、それにより全体的にシンプルな印象を与え整えられた写真になっている。
もともとあるインテリアはもちろんだが、この写真では被写体の膝をくっつけさせて足の角度を開くようにし、三角形を作り出している。
これにより幾何学的ではない被写体をシンプルな三角形にでき、画面の中に収まっている。
写真を整理することによって写真一枚の美しさが大きく変わってくる。
その子には一生で一度しかないこの瞬間を残す大切な写真、一つ一つを注意深くみながら整理していくことでその大切な写真をより美しくその姿を残すことができる。
その大切な一枚のために少しの違いを考えながら画面を構成している要素をいかに配置し、いかにポーズを作らせるかなど一つ一つを注意深く見ていくことが必要だろう。
この記事をシェアする
サイト内投稿の検索
- トップ
- 店舗紹介
- 所沢店
- Photogenic
- 整理された写真