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所沢店
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響く

投稿日:2016/11/13

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Photo by Choi Eunpyo
Coordi by Lisa
 
 終始一貫して撮影中、笑っている彼女を見ていると私も知らないうちに自然に微笑みかけるようになった。
小さな石を投げたが、大きな波が帰ってくるような、私の一言一言に対する彼女の反応は大きな波が私に戻ってくるような感じだった。 「本を持って顔を隠してみてね」という私の指示に片目だけを隠して明るく笑っている彼女の反応に私も自然に笑みが出て、目が合った時には彼女が心から撮影を楽しんでいることが伝わってきて、嬉しさを感じた。
 
"響きを与える写真というのは何か?"について最近よく考える。
写真が与える魅力はいろいろある。 思い出を記憶する道具としての魅力があり、人と人を繋ぐ媒介体としての魅力などがそうだ。
 
そして写真は人に響きを与える魅力がある。
 
響きを与えるのはその写真を見て感じる何らかの強い感情とも言える。
しかし、写真を見て感じる感情は人それぞれである。 私がこの少女の写真を見ている感情とご両親が感じる感情は確実に異なるからだ。

このような感情を「プンクトゥム」と言う。

プンクトゥムはラテン語で“刺す”、“穴をあける”などの意味で、針で肌をこつんと刺すときの痛みのように、写真の中のある部分が作動して自分の感情を動かすことをいう。

私はこの写真を見ると、そのような「プンクトゥム」を感じる。 つまり、響きを感じたということだ。
なぜなら、片目を覆いながらいたずらっこのようなお茶目な表情で私を見ている撮影当時の彼女の顔が浮かんで、自然に口元に笑みが広がっているためだ。 そして、そのような感じが数秒間私の頭に強く残っている。
 
これは直接撮影をした立場から感じられる響きかもしれない。 しかし、必ず撮影現場にいる人ではなくても写真を見た誰にも響きを与え得ると考える。
 
それではそのポイントは何だろうか。
 
私が考える一つのポイントは、対象の感情を捕捉することではないかと思う。
対象の感情を感じながら、それを表現する相手の行動を観察してそれを写真で描くことだ。
そしてその感情とその感情を表現する行動が同時に写真の中のフレームに表現されてその写真を見て似たような感情と響きを感じるのではないかと思う。
 
それではこの写真での感情や行動は何か?

明るい窓辺に座って明るく笑った目と口から伝わった表情は楽しさを示している。
そしてその感情は本で片目だけを隠しながら、いたずらな行動で表われている。これが一枚の写真の中に含まれているため、誰が見て思わず笑みを浮かべてしまうような感情を感じさせているのではないかと思う。
 
これはどこまでも私の主観的な考え方であり、響きを与える写真という言葉自体が極めて観念的な言葉であるから、その人毎に観点は異なる可能性がある。
 
だからこそ、もっと多くの人に響きを与えることができる写真を撮るためにはどうしたら良いかを知って行きたいと思う。
 
少しでもその原理を知って整理することができるのであれば、偶然ではなく必然的な「響き」がある写真を撮ることができると思うからだ。

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