Photogenic
所沢店
scrollable
希望の視線
投稿日:2016/9/29
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photography by Satsuki Kudo
written by HIRO
ライフスタジオでは毎日多くの家族が訪れ、今しか残せない子どもの姿を残そうと写真を撮りに来てくださる。
数ある写真館の中からライフスタジオを選び、夜9時に予約競争をして、遠くから2時間以上かけて来てくださるお客様もいる。
それはきっと他の写真館にはない何かをライフスタジオに感じ、それを期待して来てくださるのだろう。
何を期待するのかはそれぞれのお客様で違うだろうが、きっと一つの大きな要素はライフスタジオでの写真を通して何かしらの「感動」を得るからだと思う。
ただ単に子どもを可愛くオシャレに撮りたいのであれば、可愛いインテリアを用意して可愛くライティングをしてあげればいいだろう。
それならそういったハウス型スタジオのような環境を用意できれば、ライフスタジオでなくてはならない必然性はない。
それでもお客様はライフスタジオを選び、毎年来てくださるのは心動かされる何か、「感動」を写真から感じるからだろう。
一体どんなことで親は子どもに感動を覚えるのだろうか?
無邪気な笑顔を見た時、
初めて言葉を発し、初めて立ち上がり子どもの成長を感じた時、
必死に涙をこらえ頑張る姿を見た時。
様々な場面で感動を覚えるのだと思う
私はまだ結婚もしていなく、自分の子どもはいない。
だから想像の域は超えないが、きっとその中の一つが子どもに未来への希望を感じた時なのではないだろうか。
この写真が私にそれを教えてくれた。
今月のフォトエッセイを書こうと写真を選んだときに、すぐにこのお客様の75cutの中から選ぼうと決まった。
光や構図、フレーミング、色などとても綺麗で、個人的にもすごく好きな写真が多かったからだ。
今回選んだこの写真よりも光や構図などが綺麗と思えるものはたくさんあり、始めは別の写真でフォトエッセイを書こうかと考えていた。
しかし、75cutの写真を見返しながらこの写真を見たときに私はドキッとさせられた。
この写真から力を感じ、この子に宿る未来への希望を感じたのだ。
【表情】
私もコーディネーターとしてこの撮影に入ったのだが、この女の子はよく笑顔を見せてくれる女の子だった。
75cutの中でも笑顔のシーンが多く、その笑顔がとても可愛い彼女らしさをよく表していた。
その中でこの写真の表情は笑顔ではなく、キリッとした表情で一点を強く見つめていた。
そこにはいつもは明るい彼女の中に、凛として未来を見つめ、そこに向かおうとする意思が表現されてると思った。
撮影中ではきっと「上に何かいるかなー?」などと声をかけたのだろうが、この表情をした瞬間にシャッターを切ったカメラマンは、きっと彼女の中の何か表現したいものを感じこの写真を残したのだろう。
それがきっと彼女の中にある未来への希望だったのではないかと思う。
【フレーミング】
この写真の中で特に良いと思ったのがフレーミングだった。
自分でも撮影練習を始めて実際に撮ってみて一番難しいと思ったのがフレーミングだった。
どこまで入れるのか、どこは切るのか、被写体をどれくらいのサイズで配置するのか。
撮影の中では一瞬で判断してシャッターを切って行かなければならない。
この写真ではこの子が持っている鞄まで入れられた寄りの写真になっている。
この鞄を持っている部分まで入れることにより、未来への希望が良く表現されている。
まるで「私はこれから未来に向かって旅立ちます」と旅に出発するかのようなストーリーを思い描かせてくれる。
もしこれが鞄の部分は入れず、上半身だけだったらただ上を見つめる少女の写真になっていただろう。
【構図】
被写体を左肩が切れるくらいに左側に配置し、右側に大きな余白を空けている。
それにより彼女が見つめている先になにかあるようなイメージを想起することができる。
それがこの写真にストーリー性を付与してくれているだろう。
また、被写体の上部にも余白を空けることによって上を見つめる視線の先に余白を空けることができている。
頭ギリギリで切ったら上を見つめているのに何か窮屈さを感じる写真になっていただろう。
【光】
この写真は多くな窓の向こうから差し込んでくる自然光が逆光となり、全体的にソフトな印象にしてくれている。
表情はキリッとしているが、彼女が持つ本質はやはり可愛らしい女の子。
それを逆光で表現している。
また、左側からのサイド光があることによって髪や服に立体感が生まれ、のっぺりとした写真にならないようにしてくれいる。
【レンズ】
EF70-200mm f/2.8L IS USM 焦点距離:200mm
望遠レンズを使用することによって背景を大きくぼかすことができ、背景に何が写っているかわらないようになっている。
背景を抽象化することにより被写体がよりフォーカスさると同時に、特定のイメージではなく見る者の想像力をかき立てる効果をもたらしている。
また広角ではなく、望遠を使うことで背景が限定され余分な物が映り込まず、シンプルな見た目になっている。
そこにあることをそのまま撮るのであれば誰だってできるだろう。
それだけならわざわざ時間を使い、お金を使いライフスタジオで撮影をする意味はない。
私達が表現者として被写体から何を感じ、何を表現し、伝えるのか。
そこに感動が生まれ、お客様の求める期待に応えることができるのだろう。
この写真からお客様が実際に「未来への希望」を感じ感動を覚えてくださったかはわからない。
もしかしたら別のことを感じたかもしれないし、他の写真に多く感動したかもしれない。
しかし、今回この写真を通して私はこのこの中に宿る「未来への希望」を感じ、それを表現することを学ぶことができた。
確実にこの写真から何か心動かされるものを感じたのだ。
そうやって見えない何を伝え心を動かすことが表現する力なのだろう。
これからもっと表現を学び、お客様が期待してくださる何か、それに応え、価値のある物を残していきたい。
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