PhotogenicSoka

のこしたいもの

2019/7/31

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こうして自分が好きな写真を選んでいると、改めて素直じゃないなと思う。

撮影中は笑顔を多く残そうとしがちだが、
私はふとした瞬間の表情が好きだ。

撮影の間の彼女と言えば愛らしい笑顔を見せていたし、
私は彼女自身が好きな顔も気づいていた。

そしてご両親はどんな表情が好きなのかも話をしながら捉えていく。

写真館という場所柄
私達は写真が商品の一部である事は間違いないし、
お客様の望むものを無視は出来ない。

ライフスタジオの場合75cutをどう構成するかは撮影者自身に委ねられているが、
例えば目線は外しやイメージカットが好きだからとその姿だけを残すような、
自分の主観だけの75cutを構成する者はいないだろう…おそらく。

例えば着物撮影の場合ならしっかりと着物の柄や形が見えるような静態を残すし、
時間をかけて整えられた髪型にも気を遣う。

その中にひっそりと自分の望んだ一瞬も含ませる。

これは普段であればお客様自身が捉えない一瞬である事も多く、
「こんな表情もするなんて」という感情に繋がる要素だ。

望遠レンズから見た彼女は笑窪を見せて笑っていた。
背景の木の葉鮮やかさも相まって、笑顔は一層輝いて見える。

濃い色の着物と木の質量から重心の偏りを感じ、
左下へ白の前ボケを写し込む。
振り返りの笑顔を撮ろうと位置を整えた所で彼女と目が合った。

先程とは違う何とも言えない表情。
笑顔ではないし、無表情でもない、時が止まったかのようなドキリとする眼差し。
話しかければ消えてしまう一瞬だった。

その時まで見た事のない表情を前に反射的にシャッターを押す。
と、彼女はこれまでのように笑顔になった。

着物を脱いだ彼女はその後
より柔らかい表情を見せ自由に楽しそうに過ごす。

その日の撮影ではあの時の1度だけだった。

先の予想と準備は撮影において大切なこと。
しかし予想外が起きる事もある。

私にとってはとても重要な瞬間で
でもお客様にとっては予想外かもしれない瞬間が
納得してもらえる一枚へとなるように。

良いと思える感情を疎かにしないことは撮影者にとっての強みになる。


Location:Lifestudio SOKA
Photo by Ayako Kai
Coordinated by Lisa Arai

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