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引き出された魅力と惹かれる魅力

投稿日:2016/7/3

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LifeStudio SOKA
photo by Choi Eunpyo
coordi by Yoshizawa Takumi

私たちは一所懸命被写体の魅力を引き出すために被写体に対し様々な声をかける。
面白い質問を出し、自然な笑顔を引き出したり、くだらない問題を出し困った反応からその人の自然な仕草を引き出そうとしている。
 
ただし、私たちが撮る対象はモデルではないため、魅力を引き出すことが容易なことではない。それは、普段写真を撮っている私たちでも被写体の立場になるとカメラの前では当然恥ずかしくなるぐらいなので、非日常的な空間で非日常的なポーズをさせられると誰でも緊張してしまうだろう。
だからこそ、撮影中に被写体に対して様々な声掛けをして非日常的な状況を忘れさせようとしているかもしれない。その状況を忘れ始めると被写体も徐々に自分の魅力を自ら発揮するようになる。
 
彼も撮影の最初は作られたポーズや硬い表情からスタートしたが、徐々に自ら魅力を発揮するようになった。指示されたままだけで動いていた体と表情は私たちが何かを引き出そうとしなくても彼自ら普段している自然な動きや表情になっていた。下を向いても上を見上げてもそのポーズに会う自分らしい表情が出てくるようになったからだ。これは引き出された魅力から私たちが惹かれる魅力に転換される瞬間であると感じた。引き出される魅力は私たちができるせいいっぱいの行為から生まれたことだとしたら、惹かれる魅力は私たちの行為と被写体の能動的な行為が合わさってから生まれることであると考えている。その時私たちができることは、目の前で発揮されている魅力をできるだけ美しく表現することである。
 
その表現がこの一枚の写真である。
 
恥ずかしさや周りの目を意識することがなくなり、自ら表情とポーズを作っている彼の男らしい魅力をそのまま活かし、力強いイメージで表現したかった。そのためにサイドから強い光が当たるようなポーズを指示した。上を見上げている彼に当たる強いサイドの光は彼の輪郭を強調させ、より立体感のある写真として表現される。この表現方法こそ、この時彼が見せる堂々とした力強い表情の魅力に最もふさわしいと判断した。
 
このように私たちは被写体の受動的な行為から能動的な行為への転換を待っているかもしれない。もちろん、それは撮影を主導している私たちの役割が最も重要である。ただし、私たちが主導して撮ろうとしている写真は作られたポーズや表情ではなく、被写体自ら発散する能動的な魅力である。
 
そのため、私たちの最大の課題が人を想い、人について深く考えることかもしれない。なぜならば、私たちが先にノックをしないと閉まっているドアは中々開かないからだ。だから、私は自分を被写体に投影させ、被写体自ら発揮している魅力を自分と融合させようと毎回頭を抱えている
 
引き出した相手の魅力に自分が惹かれることは撮影の最も楽しいところであり、この楽しさがあるから私は写真を撮り続けているだろう。


 
 
 

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