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名古屋西店
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2017写真分析9 伝える、表現

投稿日:2017/6/19

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Photo by Kaori Kobayashi
Coodi by Yuko Oikawa
in Shinyokohama
 
 
はじめまして、と出会った瞬間の彼女の瞳が今でも忘れられません。
 
生まれて3か月、まだ3か月、されど3か月。

彼女には彼女の思考があり、認識があり、判断があります。

まっすぐ目の前の光景や人を見据えながらぎゅっとパパやママに寄り沿い、
こらえてこらえて、そしてスタジオ中にとおる大きな声で泣きはじめました。

お腹がすいているのか、眠たいのか、初めての場所が不安なのか、人見知りなのか、、、
きっと、そのどれもがあてはまっていたと思います。

あの手この手で大人たちは彼女に安心してもらおうと試みます。

でもやっぱり彼女の瞳はずっと不安気で、パパママから離れようものならより一層の大きな声で泣いていました。
揺らしても、触っても、おもちゃの音も、彼女の安心にはなりませんでした。
全身を使って泣きながら、彼女は一度眠りにつきました。
穏やかな寝顔、それでも眉間のしわはとれず、20分ほど眠った後、彼女は目を覚ましました。
しかし見上げれば先ほどと同じ光景。彼女はすぐにまた泣き始めました。
全身で、全力の力を使って、おおきな声でずっとずっと泣き続けていました。
パパに抱っこしてもらったり、ママに抱っこしてもらったり、それでも体を小刻みに震えさせながら泣き続けます。
このまま泣き続ければどんどん体力はなくなっていくのはよく分かっていました。
どうしたら安心させてあげられるか?一緒に入っている及川さん、そしてパパ、ママと、あの手この手、頭をフル回転させながら撮影をすすめました。
ごまかしながら一瞬を狙って撮ってみたり、パパママにあやしてもらいながらその風景を残したり・・・。
しかし彼女は泣いています。
私はごまかすのを途中でやめました。
そのまま、そのまま撮りましょうと話しました。
彼女の写真はほとんど泣き顔です。泣き顔で、眠っている顔で、不安そうな顔で。
そして、パパやママにぎゅっと抱っこされています。

その姿を、今自分が持っているすべてを使って残していこうと決めました。

すっぽりとパパの腕やママの腕に抱っこされ、顔をうずめる姿は何とも愛おしく感じました。
全力で泣き、全力でママやパパの腕や胸に安心を求める姿。
そのまだ頼りない、頭から首、背中のライン、小さな手、足。
顔が見えなくとも、彼女の安心はそこにあるのだということを物語っています。
 
Babyの店舗として撮影文化が根強く作られてきたこの新横浜店で、沢山のbabyたちと出会ってきました。

育児の本を読めば、大体月齢で出来ること、その特徴が載っていて、私たちも多くのこどもたちと接する中で多くの知識を持っていますが、ひとりひとり違う個性を持っているのは大人もKidsもどんなちいさなBabyも一緒です。

月齢では計り知れない、その子の主張があるのです。

そのすべて受け止め、安心を与えるのがママやパパの役目。
それがきっと、生まれて初めて与えられる安心と愛なのだと感じます。
ママの腕の中でもえんえんと泣き続ける。それを大丈夫、大丈夫、と穏やかな笑みと姿勢で受け止めるママ。
私はこの場所に腰掛けること以外は、“いつも通り、声を聞かせてあげてください”と言い、その場を離れました。
望遠で、静かに、静かに、見守りながら、彼女の姿を収めていきます。

こうやって腕にすっぽり収まる体の大きさもいまだけ。
全身をつかって泣く泣き方も、今この時だけ。
ママに顔をうずめて、その頭から背中にかけての丸いラインも、いまだけ。
ぎゅっとにぎった小さな手も、すべてが今だけ。
 
写真には、記憶を記録する性質があるといいます。
小さい時の思い出は、きっとパパやママに聞いたりする以外に知り得ることはできません。
写真でみる以外に、自分の小さい時の姿を知ることは出来ません。
パパやママはこの時のエピソードを、この写真を見るたびに思い出してくれることでしょう。
たくさん泣いたよね。途中で寝ちゃったよね。なんて。
そうして写真を見ながら、彼女はその話を聞いて、何を感じるでしょうか。
それは彼女にしかわからないけれど、
この写真をみて感じることは紛れもなく自分の安心を与えてくれている、唯一無二の存在に、その偉大さに気付いてくれるのではないかと考えます。
 
私がこの写真で残したかったのは、こうして抱き締められていた自分の姿。
そしてママの全てを包み込み、受け入れる穏やかな表情。
その包み込まれた彼女とママの姿を、静かに、その時その瞬間を閉じ込めるかのように表現したくて、設定もモノクロに変えました。
少しコントラストを上げ、くっきりふたりの姿が浮かび上がるようにしました。
背景の質感も少しだけ残しつつ、空間の奥行きも感じられるように。
だけどこの瞬間シャッターを切った時は、互いに寄り沿うその姿の愛おしい瞬間、そのものに、集中していました。
 
基礎の構図や光、表現のための色味の設定、タイミング。
すべての基礎や技術は、撮りたいものを撮るために、必要なもので。
それがあるからこそ、残したいと強く思うその光景を一つの写真に収めることが出来るのだと、思います。
 
新横浜で撮られてきたBabyたちの写真は、本当にたくさんの愛の形を表現しています。
泣いてても、顔が見えなくても、その小さな手や足も、笑顔も、
全てが瞬間にシャッターを切ったカメラマンの思いです。
そこにはきっとパパやママの思いも含まれています。

特化した店舗だから、撮影枠がBaby専門だからということ以上に、
そういった写真が生まれてきたこの店舗だからこそ、Babyの写真は新横浜で、、と来てくれるお客さん多いのだと感じます。

そうした店舗に配属になり、自分もこの瞬間ならではの、愛や感情の表現の無限大さを感じています。

新横浜はいま生まれかわり、新たなスタートを切ります。
BabyでもKidsでも大人でも、今この瞬間を未来に残したいという気持ちは変わらない。
だからこそ、その時の魅力や感情を、いつか忘れてしまうかもしれない未来のあなたに伝えたい、感じてほしい。
 
ここに来てまた、写真を撮る理由を、再認識することができました。
より多くの魅力や感情を残せるように、表現を追い求めていきたいと思います。
 

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美しさを表現し、思い出を記録する、楽しい遊びの空間

人生の写真館ライフスタジオという名前に込めた想い。
それは、出会う全ての人が生きている証を確認できる場所になること。
家族の絆とかけがえのない愛の形を実感できる場所として、
人を、人生を写しています。

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