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愛亜-2
投稿日:2012/3/10
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いつも整理できずにそのまま放置されていた机やコンピューターの中の文章たち、各種メールなどのごちゃごちゃ感が突然、新しく見えるときがある。ある日突然満たされた感覚をもちながら、そのごちゃごちゃした部分に秩序が生まれ、自分の人生の軌跡をたどっていく時間がある。一つ一つ確認しながら、また読んでみたり、捨てるものはゴミ箱に捨てたりしながら、私たちの人生を再設定してみる時間を持つ。自分がおかしてきたいろんな言動を目撃しながら、償いの気持ちをもってみたり、まったく新しい感動が襲ってきたりもする。その過程で感じる強い記憶で、私たちはまた明日を夢見る力を得る。
奈美は自分の人生を再設定するその時間に、いろいろな媒体を通して、私とライフスタジオを発見することになるだとう。お互いにしてきた決意や評価、計画に対して書かれた文章と共に、愛亜の写真がそれをつなげる要素になる。愛亜が生まれてから毎年、写真撮影が行われた。時々奈美が言う。整理していたらその写真がでてきて、それをみながら涙が出たり、笑えてきたり、時には物思いにふけるときがあると・・・
万感(いろいろな感情)が交差するという言葉があるが、この瞬間に合っている表現のようだ。周りで起きているできごとにうまく適応しながら、自分なりに一生懸命生きてきた奈美が私とサガナムに出会い、人生の具体性を持つようになった。構造と条件にうまく適応する人から、直接構造と条件を変化させる人へと発展していく過程で、今までの多くの文章と愛亜の写真が一種の証明書になっている。経済的自立と一人の子供の母親としての今までの7年余りの過程に対する記録は、同時に思い出を再生産している。何かが蓄積され、繋がりながら各々の出来度と記録が連合前線を形成するようになる。3年前の出来事と、今日新しく起きた出来事が重なりながらでてくる化学作用が私達の感情と人生を豊富にしてくれる。
今日愛亜の撮影があった。自分が作ったケーキを持ってきた。
消費だけしてきた生活から、自分が生産するようになった時の妙な気分を愛亜も感じただろう。
そして今日はどんな期待を持ってきただろうか?
友達に明日モデルとして撮影にいくんだと自慢してきただろうし、自分の美しさに対する何気ない誇示をどう表現しようか?
止まることのない日本語で話す愛亜とどんな精神的な共感を分かち合い、これからは体でギャグを表現するだけではだめになった愛亜の精神年齢に合った私の次の武器は何なのか?
この小さな子に無視されないように、私の持っている全てのセンサーを作動させ、過激な行動や幼稚な言葉を浴びせた。体がほぐれて来て愛亜の子供らしい笑いが出て来始め、私も自分の価値を発見したような嬉しい気持ちになった。写真を見ながら子供から女性に移動しようとしている姿も感知され、子供特有の姿や笑いのタイミングは、未だそのままであることを確認した。子供が成長し、大人になる過程を見守るということは、反対に大人が子供になっていく過程でもあると思った。大人達は良い大人というよりも悪い大人になっているということを自ら感じる。変わってはいけないその何かを守ることがそんなに簡単な問題ではないということを知ることになった。誘惑される方向に振り向いた瞬間、私達の意志とは関係なくそこに向かおうとする。子供が持っている単純さは真正性そのものである。その中に人生の要領が適用され各種妥協する過程が発生しながら方向感覚が揺らぐようになる。
今日奈美とコーヒーを飲みながら愛亜に対する話しをした。愛亜の従妹に対する嫉妬と忍耐、そして妥協の過程を聞きながら子供を育てることが自分の人生の原則を維持できるとても良い方法だという共感帯が形成された。客観的にみることのできる対象がいるということと、それが無限の愛情を同伴しているという条件ならば、その何よりも深みのある教えになるだろう。自分の子供を所有の対象ではない同等な人間として受け入れる過程はつまり人生の本質的な理由と繋がっていく。
カメラから愛亜を見ていると、私の固定観念の限界を確認するようになる。まだ子供として留まっている私の観念の中に新しいイメージが入ってくる。息をし人生を領有しようとする生命体として近づいてきて、自分の美しさを確認しようとする一人の女性になりもする。子供の純粋さと共に自分の体からでてくる変化を自ら受け入れてすぐに行動に移していく愛亜の直観力に驚きもする。この全ての過程は固く固まった私の観念の塊を確認するようになり、このような文章をかくようにした。私の中で起きている微妙な変化をこの程度の文章でしか外に整理できないことが本当に残念ではあるが、しかたがない。ただ愛亜が創造したその世界が写真で表現され、愛亜と私を結んでいるその紐が少し強くなることを願うばかりだ。
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