ヘルマン・ヘッセの作品はいつも10代の記憶を思いださせる。そして少し時間が経って今の自分をもう一度見つめさせる。本当に重要なことはどこにあって、どこに向かうべきなのかについて考える。自分の中で響いているのは、生きていくための最善の方法をテーマにしたどんな本よりも大きい。

 

車輪の下は外面と内面、欲求と義務、観念と生成の葛藤の中で悩み、つかれていく若者に関する話だ。地元では天才といわれ、父親や校長、牧師たちの自慢であったハンスは地域を代表して試験に合格し、神学校に入る。問題は遠心力の作用によって、自分でも気がつかない間に周囲の期待にこたえるための人生を送るようになる。

 

‘それは苦痛ではなく早い脈搏と過激に興奮した力, 性急に勝ちどきをあげようとする活動, きちんとこれから進もうとする欲望だった …  夜になって軽い頭痛を感じれば眠りで覚めてこれ以上寝ることができなくなって自分も分からなくこれから進もうと思う焦燥感に捕らわれた。 また自分が友達よりいくらも先に進んだし, 先生や校長が一種の尊敬心を持ってまたは感歎をしながら自分を眺めなかったかと言うことを思って優越感に捕らわれた。‘

 

日本でも韓国でも教育熱は高く子供がよりいい学校、就職をすることのためにひとつに集中する。私もどこに向かうのかもわからない列車にのって、人生とは卵でも食べながら早く大人になればいいのにという考えだけで10代を過ごした。勉強ができようができまいが時代の被害者でありながら、加害者になっていく準備をしていた。その列車から降りることになった原因は誰にもなかったが、自分から進んで列車を止めたわけでもなかった。その列車での生活が退屈になってきたころ、何度かにわたりさまよってみたりしたし、父親とのけんかでもう一度帰ってみると、列車からは降りていた。どちらにしてもよかった。それともまだ今もその列車に乗っているのに、私が気がついていないだけかもしれないだろうか？

 

ハンスは神学校にいるいろいろな学生と一定の間隔を維持しながら自分が目標にしていた一等をめざしていたが、ちょっと変わった友達、ハイラーとである。彼を通して自分の内面から出てくる声を確認することになり、迷いだす。問題児として決め付けられているハイラーとハンスを離別させようとする学校との間に葛藤しながら、ハイラーが退学処分になりその衝撃から、ハンスはやる気がなくなっていき、田舎に帰ることになる。

 

‘人間と言うのは各各いくら違って, その人間が育った環境と場合もお互いにいくら違うのか! それを政府は生徒たちに一種の精神的な制服または法服を加えて合法的で同じにさせてしまう … … … ふたりはお互いに顔を眺めた. こんなにお互いの顔を正面から眺めることは今度が初めてだった。この少年らしい滑めらかな表情後にはお互いの特徴いる独特の人間生活と魂が込められていることを腹中で描き出そうと思った … … … 。 "私はあの時卑怯にもお前を捨てだ。お前は私がどんな考えをしているのか分かっていたんだ。神学校で一位になれと, できれば一等をするということが私の固い決意だった。 それをお前は無駄な勉強と言った。 お前にはまさしくそうだ。しかし私にはそれが唯一のものだった。 私はあの時までそれよりましなことがあるということを知らなかった。" … … … 学校や父親や何名かの教師らの残忍な名誉が、 この少年が隠さずに彼らに現わしたあざが出来やすい魂を何らの後悔もなしに踏み付けてしまうことで, この懦弱で美しい少年をこの地境にまで至るようにしたということを誰も思うことができなかった … … .. 一本の木は芽がきられれば根近くに新芽が芽生えるのが普通だ。 それと同じく青春時代に苦しんで台無しになった魂は, 切れた生命の紐付きを今更引き継ぐことができるように, 彼の始めの希望多かった幼い日の春同じ時代に帰る時が多い. ‘

 

私の場合は考えかたによれば戦える相手がいて、もう一度立ち直ることが楽だったのかどうかわからない。その時代は個人よりも組織、悩みよりも行動を要求した。若者たちを頬って置かなかったし、外に出て行くほかなかった。権力と社会を対象にして、自分自身を照らし出しながら少しずつ成長することができた。行動はすなわち、論理を必要として一人の10歩よりも10人の一歩を必要とした。人に執着して関係を形成することが宗教とも同じくら重要だったためハンスのように倒れてもそこから抜け出せる方法があった。もちろん‘疲れ果てないようにしろ。さもなければ車輪の下敷きになってしまうから。’というように、深く入っていく人もいたが、私は深く入り込むことができなかった。今もそうだし、これからもそんな気がしている。大学1年の1学期の楽典が2.0だったが、そのとおりに暮らしてきたように思う。ひとつだけ自慢することがあるとしたら、2.0を3.0のように見せられること・・・・

 

田舎に戻って恋愛をしたり、現実適応のために工場に入ったが最初の会食時に酒にやられ、自殺なのか失敗なのかわかりもしない永遠の休息を迎える。

 

‘その快感というのは若さにあふれた愛の力, 勝利と力強い脈搏が遊び回る生命の最初の予感を意味して, その苦悩というのは朝の平和が破られたということであり, 彼の魂が二度と捜してみることができない幼年時代の国を発ったということを意味していた … … … … 辛うじて最初の難破を脱した彼の切れ盃は今から新しい嵐のくぐって過ぎ去るには案内者がない。 最上のリーダーを持った若いと言っても自分の力として滑路を捜さなければならないことだ … … … 。そのように苦労しながら労力した勉強と汗, そのように心身を捧げた幾多の喜びであり, そのように威張った慢心と公明心, そして希望に一杯だった夢想, そのすべてのものが浮き雲のように消えてしまった … … .. エマとともに人生のあらゆる欲望と魅力が彼に近付いたが, またエマとともにそれが夢をつかむにも逃げることだけしてようだった … … … .. どのようにして彼が水中に抜けたのかそれは誰も分からなかった。 多分道に迷って険峻した場所で足を踏みはずしたのだろう。 または水を飲もうとしたが身の均衡を失ったかも知れない。 または美しい水を見て酔って水中に落ちて入ったかも知れない。それで平和と深い休息にいっぱいになった夜と微かな月明りが彼を眺めているから, 疲れと不安のため死の影に導かれて行ったかも知れない。’

 

荷物を移動しやすく作っておいたがむしろ、その下に引っかかってしまう状況。それは酒客が前途になった状況を作家は言っている。自分の内面から出てくる声に耳を傾けず、条件と状況に合わせて動いていく人間の無知、そして外面をあらわす登場人物が出てくる。多くの人は成功という車を引っ張ってその下に入り込んだりもするが、私の車は何だろう？そしてその下に入るためのものとは？

反対に車にひかれてしまいたいと思ったりもする。倦怠を感ずるような人が一番嫌いだが、私をもっとも良く表現した単語として、怠け者という人生があてはまる。何かに深くはまってみたいが、10年以上そうできずにいるのだから、車に引かれたのか、それとも車自体がないのか・・・・

愛は面倒で、お金は複雑で、成功は自信がなく、幸福はよくわからない・・・・

状況を嘆くのではなく、今の私の状態がそうなのだ。いろいろな計画はあるが、私の内面から出てくる声ではないことは、確実だ。