軍隊にいくとＰＴ体操というものをする。体にどの程度いいのかはわからないが、体操というよりは体を虐待し、口から泡を吹く。その途中、8番目に全身運動がある。横になって手を広げ、足を上げる。そして足を左右に傾けるというものだが、これを100回くらいやると、口から泡が出てくる。

 

朱美はいつも笑っている。そして笑うとき、全身運動をする。全身で笑う彼女を見ていると私も気づかないうちに笑ってしまう。私は人を笑わせるために全身をつかって努力する。そして、相手が笑わないと怒ってしまう。だからみんな笑ってくれる。でも、朱美は笑っている姿だけでも周りの人を笑わせる。すばらしい能力だ。

 

朱美はいつも相手のことを先に考える。その相手を配慮して準備しようとする。そして最善を尽くす。それから、口数が多い。相手を配慮し、準備し、最善をつくし、口数が多いということはどれほどエネルギーを使うだろうか？それでもまだ走りたがる。

「走れ！走れ！走れ朱美・・・・」

 

最近、彼女の「よくわからなくて・・・・」という表現を集中攻撃中だ。この世の中におまえが知っていることがどれほどあるのか質問してみる。0．0000001％程度知っているし、それ以外はよくわからない。でも世の中は回っているし、私たちは食事をしてトイレにいく。良くわからないことが日常化しているのに、具体的なことになるとよくわからないという考えが彼女の行動を制約する。誰が正しいかわからなくて、地雷を自ら埋めて敵を待つが、誰も来ないでどこに地雷を埋設したのか確認できなくなり、その地は誰も接近できない死んだ地になっていく。よくわからないという地雷をまいていないで、誰も行ったことのない道を行く気持ちよさを彼女に経験させてみたい。

 

今日も成城店のインテリアの終盤、1階を掃いている朱美を見かけた。

10回はいたら2つくらいしか集まらないほうきをもって、掃くことに集中していた。そしてずっと掃いていた。朱美と一緒に10回掃いたら、少なくとも5つくらいは集まるほうきを作りたい。そして世の中を一生懸命掃いていこう。