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この1枚の写真‐11 【彼と私達は幸せだった】

投稿日:2010/11/29

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彼と初めて会ったのは、韓国の写真スタジオのサガナムテルン支店の後ろにある食堂だった。店舗から一番近いということ以外は何の特徴もないそんな食堂で20名程度が集まり会食をしていた席だった。

日本からインチョンに帰る日、運よく会食の日に間に合うことができた。その当時はサガナムが大きくなり始めていて、新規のスタッフが多く入社し、会食をしながら新入社員達の初々しさを見ている、そんな雰囲気だった。お酒が12本増えていきながら酔いが回ってきて何人かの新入社員が私のもとへ走ってきて挨拶をした。その中の一人を見ながらこんな考えをした。「何だ!サガナムも外国人を雇用するようになったのか?」

70年代流行したおばちゃんパーマに、黒い顔から見える白い歯を見せながらにこにこ笑う彼を見ながら「英語で挨拶をしないといけないのか?」

 

友達と集まると、その中に何故か顔が田舎くさく黒い人が一人混ざっていて、間違いなくフィリピンかインドネシアの名前が入ったあだ名で呼ばれるようになった。いつもそのあだ名は私について回り、それが宿命だと受け入れて生きてきた。

しかし、彼に会ってからはそのようなあだ名からある程度自由になった。

 

韓国に行くたびに釣りに行き、写真について話し、お酒も飲み、一緒にスタジオで寝もし。あまり友達がいない私と遊んでくれる彼がありがたくもあり、彼を見ていると何故か悲しくもなった。。。彼はそのようにいなくてはならない植物のような役割もするが、韓国社会の矛盾をそのまま背負う一人の寂しいたぬきのようでもあった。。。

彼に日本で一緒に頑張ろうと提案したのもそのありがたさと惻隠さが同時にあったからかもしれない。

 

初めて社長という言葉を聞き、職員を雇用し日本語を習い、インテリア工事をしながら少しずつ発展してくる彼の姿を見ていると微笑ましくなった。韓国で釣りをしながら彼にこんな話をした。

「お前が私達を取り巻く世の中の希望の証となりなさい。」

ライフスタジオという空間で、人間変化発展のモデルを作ってほしいという頼みであり、彼はそうすると決意してくれた。

彼はゆっくりと、そして堂々と、自分を守っていた重たい殻を少しずつ脱ぎ捨てていった。ライフスタジオで彼の変化する姿が話題に上がる。

 

しかし、その変化の証拠隠滅される事件が起きた。

彼が女性と出会ったのだ。ライフスタジオの中で培ったエナジーを土台に、きれいで印象の良い落ち着いた女性を見つけたのだ。手に入れたのか、彼が彼女の手に入ったのかはわからない。証拠隠滅と逃亡の危機がある彼に逮捕状を送りたい気持ちでいっぱいだ。

しかし、重要なことは彼の成功時代が開幕しているということ。

 

紅葉を見に行った時、草むらをみて彼に話した。

「ウエディング写真の練習をしないとな?入れ。」

彼は笑みを浮かべた。30何年を生きてきながらこの瞬間をどれだけ想像しただろうか。。。

待ちに待った瞬間にカメラで彼の喜びを記録できる私がむしろありがたい。

希望の証拠なのかどうなのかはわからないが、彼は今幸せだ。そして、私を含む多くの人も彼の笑顔をみると幸せだ。これが人生と人をつなぐ写真の魔法ではないだろうか?

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美しさを表現し、思い出を記録する、楽しい遊びの空間

人生の写真館ライフスタジオという名前に込めた想い。
それは、出会う全ての人が生きている証を確認できる場所になること。
家族の絆とかけがえのない愛の形を実感できる場所として、
人を、人生を写しています。

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