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この1枚の写真-9 【写真が成長していく過程】

投稿日:2010/10/1

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結果的に見ると、青山がオープンしてから約2ヶ月間で撮影した写真とそのときのエネルギーが、今私が持っている写真の競争力の原点だった。 撮影は繰り返される。 1日に3人、1ヶ月だったら60人、1年で720人、1人あたり約300カットを撮影したら、1年に216,000カット、10年だったら2,160,000カットの撮影をする。 スタジオに3年勤務して、違うスタジオに移動すると、3回の条件の変化を経験する。 2,160,000カットが、3回の変化をもたらすという計算になる。 だから、一般の顧客を対象にするスタジオのカメラマンは、技術が大きく成長しない理由のポイントとして、常に同じ条件で同じ対象を、同じ光で撮影することを繰り返すためだ。 もうひとつのポイントは、 通常カメラマンがスタジオに入社して数ヶ月の研修過程を通貨すると、撮影を開始する。 入社してアシスタントの過程を通過しながら、そのスタジオの写真のパターンを学ぶ。 カメラマンになり、スタジオにおいて要求される水準まであがっていくのに、約1年程度の時間が必要であり、もう1年はそれになれ、また1年は繰り返される退屈感と、かわらずに成長できずにいるという脅迫概念が働き、ほかのスタジオに履歴書を送る。 すなわち、条件を変える能力を育てることができず、きめられた条件の適応と繰り返しだけしかないためなのだ。自分が計画して条件を変えれば、その条件の変化がどんな結果をもたらしてくれるのかということを、正確に知ることができる。 グッド・ウィル・ハンティングの映画の中にも、このような場面がでてくる。知ったかぶりをして自分の心をひらくことに対して抵抗をもっているマットデイモンにたいし、ロビンウィリアムスはおおよそこんな意味のことを言う。 ‘私が日本に対してたくさんの本を読み、日本のすしという食べ物についても、とてもくわしいというけれど、ひばりが丘にある105円のすしと、渋谷のみどりずしに使われるご飯の小さな温度差を感じることはできないだろう。本をよんで説明をすることはできても、それをたべたことのある人だけが、その小さな温度差を感じることができるだろう。’ 条件の変化を直接作り出すということは、目標を達成する能力の50%以上を確保しているという言葉と同じではないだろうか?決められたことをこなす能力と、自ら目標を設定して達成するという能力の差は、私たちがカメラマンとして存在する理由と目的がなにかということを説明することができる。 ある人はたくさん撮影をしたらわかるというが それは必ずしもそうではない。たくさんの撮影をするということは、繰り返しをいうのではない。同じものと光でも、違う条件で違う視点から、違う接近のしかたを必要とする。そんな積 み重ねが自分の競争力になり、写真に説得力が加わる。 青山をオープンし、3番目に訪問をされた顧客の写真だ。 3番目であれば、まだオープンが興奮している時期であり、後ろに蛍光灯をつけ、全身が集中していた。蛍光灯の背景は、青山で始めてやってみた撮影の条件ではありながら、それのみが唯一の撮影インテリアだった。 蛍光灯で照らされる光と、前から入ってくる自然光 そして上からてらされている室内ようの光、上下から反射される光・・・・と、いろいろ光をひとつのオーケストラのやさしい音色のようにつくりあげるのが、当時の課題だった。 写真は、光をのぞいては説明をすることができない。 でも、写真にぶつかるごとに知ることになるのは、 “いつも写真から光を除いて考えなければいけないか”という結論だった。青山のあの小さな空間で、何もない、あの真っ白な空間で、光と子供と私だけが存在するという静けさの中で、 光が踊る姿を目撃し、一緒に踊りながら決定的な瞬間を探し出すという段階が私にやってきた。 またひとつ、単純なことから写真の原理、集中の重要性をしることになった。 何かをなしとげようと大きなことを口にして日本にきたが この瞬間、以前は何もない状態だった。青山のインテリアをしながら、小さな空間で効率を最大化する方法を考えているとき、後ろから光がでていたらそれは、無限なる背景になるのではないだろうかと思った。 蛍光灯の光は、こんな風にできた。 背景と小物とこども、そして光の調節からつくられる、無限なる可能性に対する期待があった。 オープンして写真が始まった。いつもそうであるように、始まりは頭の中が白か、黒なのだ。 ひとことで、何もかんがえられない状態になる。 でも、この子供が青山のスタジオに入ってきたとき、はじめからおわりまで緊張と好奇心の表情でカメラをみていた。少しも動かず、だからといって泣きわめくわけでも、いやがるわけでもなく、 カメラマンの感情を刺激する表情をするこの子をカメラのなかに写しこんでいきながら 確信が生じた。 もう一度私に自信がよみがえり、その力でもっと遠いところを見つめるようになった。 だから、この子供に今も変わらず感謝している。そして、元気に成長してくれていることを願う。

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