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この1枚の写真-2
投稿日:2010/2/16
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今から9年前になります。
韓国ではインターネットが大衆化しながら、ベビー写真の競争が始まりました。以前は地域を中心にしたオフラインだけの営業であり、写真の質やサービスなどの差を比較することができませんでした。一種の独占形態でありました。同じ撮影の機械とセット、衣裳を準備して、顧客が着たら写真を撮る・・・・そんな地域の写真館が多くを占めていました。
でも、韓国の社会も少しずつ核家族化が進みながら、高級化を望む雰囲気が作られてきていました。そんな社会的な条件の中で、インターネットが普及し、全く以前とは違う世の中になりました。インターネットによって誰にでも情報が公開され、差別化された写真とサービス、環境という武器が、顧客を呼び集めることになりました。
とても運がよかったのです。
スタジオもなく、5坪程度の事務所から契約をして、屋外での撮影を始めたウェディングの撮影から、写真を始めました。4年程度はどん底を必死でさまよっている中で、知り合いの助けによりインターネット上で知られていくようになりました。少しずつ口コミで広がり、スタジオもオープンすることになり、ウェディングからベビーにスタジオ自体も変更しました。たぶん、あのときインターネットが普及していなかったり、ベビー写真に切り替えていないで以前と同じようにウェディングを続けていたら、今では車の営業マンになっていたかもしれません。(車の営業マンは、私が心からやりたいと思っていた仕事)
スタジオをオープンし、ベビー写真を通して写真に対する脅迫概念は、かなり軽くなりました。ウェディングよりはベビー写真の難易度が低かったこともあり、ホームページを通して写真の質が決定付けられる状況だったからです。しかし、写真に対する理解や、私の写真の満足度には、ほとんど差がありませんでした。
「こうじゃないんだけど・・・何かぴったり合うようでも、不足なものがある」という強い不満と疑いをもっていました。
「私の前にある心の扉を開いたら、私が見ている世の中がもっと広がるような気がするけど、その扉が開くための鍵が見つからないか、その鍵が合わないのかもしれな・・・・という気分」
誰でも写真をやっている人は、最初に感じることではないでしょうか。
この写真は、私にその最初の関門を通過させてくれる、鍵になった写真です。
白い部屋でくまのぬいぐるみと子供だけで撮影をすること自体、この写真の撮影をするまでに100回以上も繰り返してきました。継続する撮影の中で「こうじゃない・・・・きれいじゃない・・・・くまと子供が白い空間でどんな関係を持っているかを、定義づけなくちゃいけないのに・・・」
この写真を撮ってみて、カメラマンたちを集め、顔が赤くなっていくのを感じながらこう説明していた記憶があります。
-. 少し傾いているくまと子供の位置は正確なバランスを保っている。
-. 子供とくまは同じものを見ている印象を受け、だから同じ笑顔にみえる。
-. 子供の衣裳と表情、ポーズが完璧だ。
-. 左から入ってくる光は、すべてのカメラマンが追求している光のバランスだ。
-. 私たちサガナムスタジオで追及する写真の見本です。
-. これからは、私たちの写真館は、この写真を基準にします。
この1枚の写真で、写真のバランスと自然な写真というものが何かを知ることになりました。
そしてスタジオの写真に対する基準と、これから進むべき方向が決定しました。それが、今まで続いてきたのです。
今まで白い部屋でくまと一緒に撮影された写真の中で、これ以上いい写真を見たことがありません。これからも、これよりもいい写真を撮影する自身はありません。
もちろん、直接撮影した人間の感情が高まりすぎているといえなくもないですが・・・・
ライフスタジオのカメラマンたちも、質的向上を経験する写真との出会いがあることを、期待します。
そして写真の世界の基準になっていくこと、そんな自分だけの写真に出会うことを、期待します。
化石燃料のエネルギーは、数万年の産物です。
そんな写真と出会う瞬間が、偶然とはいえません。
目的意識をもって、そして少しずつその瞬間が近づいてくる緊張を、楽しんでください・・・・
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