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月刊8月のクリスマス 4月 笑顔で賞 最優秀作品
投稿日:2019/10/30
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8歳の頃。
私が覚えている父親は地域の全てを知り尽くしている人だった。まるで、100年も前からそこにずっとたっている大きな樹木のような。無口で、揺れ動かない、町の入り口にある松の木のような存在だった。
父親との会話はいつも2行で終わっていた。
「ご飯、食べたか」
「はい」
…
「友達と遊んできていいですか」
「だめだ」
…
当時はプロレス人気が高まり、私はアントニオ猪木が大好きだった。暇さえあれば友達ともよくプロレスごっこをしたりしていた。ある日、無口な父親と何故かプロレスごっこをすることになった。プロレスごっこというものは特に決まりもなく2人で取っ組み合いになって押したり引いたり、殴ったりするものだが…
俺はあの時、人生で大きな失敗を反してしまった。俺の足がとてつもなく速い速度で父親の頭を攻撃しながら「パン!」という音と共に1分程度の沈黙が部屋の中を暗くした。父親も何も言わず、果てしなく沈黙が続いたことを今でも鮮明に覚えている。あれから、父親と一緒に遊んだり、特別な愛情を感じるような特別な記憶がない。
…
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