撮影者においてポーズとは実力のバロメーターです。

プロのモデルは撮影の意図や雰囲気を説明すれば、それに合うポーズをとり、

撮影者は若干の調節と全体的な方向性だけを口にします。

一般人を対象にする撮影では最も難しいコースであり、[被写体を動かす力]そのものです。

 

 

撮影者は自分だけのレシピを持っています。

特別な説明がなくても、顔、手、肩、腰、足の位置と角度が適切に交わるデータを持っています。

撮影のレシピが多ければ多いほど、その撮影者の写真は良い可能性が高くなります。

 

 

そのかが手を鼻に付けようとするポーズはそのかの個人技でした。

おそらく何かを考えながら無意識におきた行為が写真になりました。

この写真によって私の撮影レシピが一つ増えました。

手を鼻の近くに寄せる、これに合う表情と視線が連結されること、

写真を見る人に明示的な主題が浮かびはしないですが、

何かを考えさせるような装置として手を鼻に付ける、

このポーズの名前を[手を使わなくても鼻をかめる]と決めました。