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スタジオ作りが私にくれる贈り物

投稿日:2017/11/5

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スタジオ作りが私にくれる贈り物

 
2017.10.20


 
豊川のインテリア工事がそろそろ終わりに近づきました。毎日やっていることですが後悔とやり甲斐、恥ずかしさと自負心が混ざり合う時間です。一歩先を見据えることの出来ない人間の卑しさと小さい発見にも喜ぶ姿か繰り返されています。だからスタジオ作りは楽しいのかも知れません。
 
私の個人的な立場から見たとき、スタジオ作りは大きく2つの決定的な魅力があります。
 
1つ。短期間に自分の全てが外に現れます。始める時の遠大な抱負、時間がすぎるのも気づかないぐらいの集中力、肉体的疲労が精神の世界を上回るせこい人間の本能、終わりがあることに希望をかけて現在を維持する力、どんな言い訳や美辞麗句を連ねても隠すことのできない完成された結果物、依頼人の鋭い目線を感じるとどこかに隠れるかましてはむしろ声を荒げて瞬間を免れようとする惰弱さ。数千回も行ったり来たりする妥協と最善の間の葛藤で得られる仕事がなされる原理など…日常生活では中々目の当たりにできない事がスタジオ作りの過程では毎日、毎時間おきます。そうして裸のままの自分が表に出ます。生のままの純粋性、それがスタジオ作りの一番の魅力だと思います。
 
2つ。労働の結果が価値に繋がる瞬間を短い時間の間何度も経験する事ができます。スタジオ作りのインテリア工事をする時、全体的なイメージと撮影においての役割を最優先に考慮します。バランスと配慮、新鮮さと共に実用性が求められます。木を切るときも、角を柔らかくお手入れする時もこの基準が適応されます。一つ一つの作業が集まり実態が作られるその全ての過程が全体のイメージと撮影での役割に添わなければなりません。その結果出てくる一つの実態は顧客が受ける雰囲気、いい写真、撮影者たちの表現方法などで役割を果たすはずです。約2ヶ月という短い期間、自分の想像と期待が行為と繋がり、一つの実態として目の前に現れるという事自体が驚異的な事です。特にやることのない私が価値生産の土台を作っているという事はとてもやりがいを感じることでもあります。
 
人々が帰り、一人で工事現場に座っている時間が多々あります。今日自分が作業した内容に怒る時もあれば、自らよくやったと褒めたりもしながら明日作業する空間のことを想像して見ます。幸せな時間です。ここで確認、連結、拡大の循環の輪を説明するのがちょっと照れくさいですが、自分にとってその瞬間がそうです。今日やったことを確認して、全体と部分を連結しながら明日を規約する私だけの大事な時間です。余裕がないと単純な労働ですが、こうした自分の時間を持つことで規定して、自ら価値を付与する事ができます。自分をまた違った視野から客観的に見る事。そんな時間を一緒にしてくれる木材の匂い、空気中に浮遊しているホコリの粒子、水平が合わなく目にありありと浮かぶインテリア、計算ミスでできた1cmの隙間が自分の中に入ります。自分がやったことを受け入れる行為がつまり自分を空にすることではないかと思います。その空いた空間を埋めるために明日があるのかも知れません。
 
豊川での2ヶ月はもう一人の自分を発見するいい時間でした。誰かには自分だけの撮影空間になり、誰かには写真を撮った思い出の場所になり、また誰かには経済的基盤を作る空間になるでしょう。何日か前、オープン初日の予約を受付開始したその日。10時ぴったりに鳴り響く電話ベルに興奮を隠せないマリとさとみの顔がとても微笑ましかったです。その気持ちでこれから、この場所で、いい写真、いい人々と、いい思い出が続きますように…。
 
 
 

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それは、出会う全ての人が生きている証を確認できる場所になること。
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