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「Movie Story 6」ニュー・シネマ・パラダイス

投稿日:2017/10/18

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Movie Story 6 
 
 
ニュー・シネマ・パラダイス
(New Cinema Paradiso)
 


名作映画の話をする時に多くの人が選ぶ映画がこの「ニュー・シネマ・パラダイス」です。映画の素材自体が映画ですし、映画が好きになったある子供の話であり、人間に対する信頼というヒューマニズムが映画全般に流れているので人々の記憶から忘れられないでしょう。アルベルトとトトが一緒に自転車に乗っているポースターは見る度心の中に響く何かがあります。
 
「ニュー・シネマ・パラダイス」を見ながら自分も映画に熱狂していたトトのような時代があったことを思い出しました。今からその話をしてみようと思います。
 
時は1983年の秋。血気盛んな中学生が時間を潰す遊びはあんまりありませんでした。大人の目を忍んでビリヤードをしたり、電蓄のある友達の家で音楽を聴いたりするぐらいでした。体は分泌されるエネルギーを消費してくれと叫んでいたけど、いざ出来ることはあまりなかった中1の秋。映画が私に来ました。
 
クラスには一人や二人語り部さんがいるものです。教室で語り手の一人が昨日見た映画の話をしたんですが、全員がその話に夢中になり、その内何人かは放課後その映画を見に行こうと約束をしました。今のこの時代では映画が公開され、しばらくするとDVDやインターネットから見ることもできますが、その当時は3つのステップがありました。ソウル市内の中心にある「封切館(一番館)」という大型劇場で最初の像影をします。予約システムがまだない時代だったので人気のある映画は朝から並んで待つしかありませんでした。私も何回か朝7から2〜3時間を待ってチケットを買った記憶があります。封切館での像映が終了すると各地域の中心にある映画館に映画が流れます。そんな映画館を「二番館」と言いました。一番館よりは質が落ちる分、1000ウォンぐらい安かった気がします。ここでも像影が終わると村の出外れにいにある三流映画館に回されます。同時像影館とお言いました。映画館全体にアンモニア臭が蔓延し、見ている人はだいたい10人以内。大半はおじさん達です。こんな三流映画館では2つの映画を連続で造営します。値段は500ウォン。こんな同時像影感の招待券だけを売っているお店も東大門運動場近くにあってそこで2〜300ウォンぐらいで買った記憶があります。
 
 
ソウルの1988年代を描いたドラマ「応答しろ1988」に出て来る三流映画館
 

ソウル市道峰区三陽洞にあった三陽劇場。

人生初の三流映画館であり、同時像影館、アダルト映画だったので緊張もしたし、おじさん達の焦点の合わない目つきも記憶に残します。全てを達観しているような、だけど気の毒のような無心のような目つき。緊張と期待、訳のわからない興奮が交差されるその空気の中で見た映画の題名は「グローイングアップ」。
 
「グローイングアップ」はまだ少年だった私に思春期をプレゼントしてくれた衝撃そのものでした。
 
あんなに綺麗な女優さんの胸を平気に触る俳優、そのバックで流れる5、60年代の有名な歌。女に裏切られ泣きながら暗い道を一人で歩く主人公を見ながら一緒に涙しました。その時私が求めている全てがこの映画にありました。胸、セックス、初恋、片思い、怒り、裏切り、友情、音楽など・・・その日以来約2年間、三流映画館に出勤するように通いました。2年後からはビデオの時代が開きソウル駅の漫画喫茶に乗り換えて三流映画館に行くことはなくなりました。
 


グローイングアップの韓国版ポスター
 
「ニュー・シネマ・パラダイス」に出てくる場面場面は見覚えがあるものでした。毎日(映画館に)出勤していると同じ映画を何度も見ることになり、セリフを覚えて、主人公になりきって演技するようになります。ソル東北地域の映画館を流浪していたその時代が夢のようでした。映画館に行くために家を出る瞬間からドキドキは止まりませんでした。生まれて初めて何かに没頭していた時間でした。映画を見ながら夢を見て、その夢で退屈でつまらない中学時代を乗り越えた気がします。しかし、映画を見るのは良かったけど、2つの問題点がありました。一つ目は切符を買うお金がないということ。その当時はポケットにお金自体がありませんでした。当たり前のように何かを買うという嘘でお金をもらうのが1次的な手法で、二の手はお父さんのポッケやお母さんの財布からそっとすることでした。交通費で映画を見て帰りは歩くのもしばしば。二つ目は図書館に行く名目でお弁当を持って行くのですが、それを食べる場所がなかったこと。主に映画館で食べました。あんなに大きな映画館に人は10人もいないので食べる音があまりにも響くのが問題でした。カクテキ(大根キムチ)などを食べる時は銃撃シーンを待って合わせて噛んだりもしました。充満するキムチの匂いでモングを言われた記憶もあります。映画館でも食べれなかった時は建物のトイレで隠れて食べたりもしました。ある日は映画を見て家の近くまで来てお弁当がそのままだということに気がつきました。捨てるわけにも行けないので歩きながら食べました。人が来るか来ないかを確認しながらおかずとご飯を口に放り込みながら歩くのです。そうして口いっぱい入れては対向者が来ると遠い山を見つめて知らんプリをして・・・。その時、道に止まっている車の中で恋人のような男女二人がどうしようもない表情で私を見ていて、その人達と目が合いました。もし、一人で道を歩きながら弁当箱を開けてご飯と食べて、またカバンに入れて、また出して、おかずを食べて、また入れながら食べた経験がありますが。もしくはそうして食べている人を車の中で見かけたことはありますか。今でも鮮明に覚えている三川橋から500メートル先の直線道での記憶は、映画のためなら喜んで受け入れられる経験です。
 
同時はエロ映画の全盛時代だったので同時映画館でも一つはエロ物、もう一つはエロ物じゃないもので編成されていました。三流映画館も競争を重ねて3編同時像影館も出たり、新しい映画館もオープンしたりしました。三陽、アポロ、天地、同光、太地、現代、金庫・・・ソウルの東北地域で少年時代を過ごした同年代の男の子なら誰でも分かるような名前です。その時代に戻ることはできませんが、万が一戻れるなら・・・その劇場で、その緊張と興奮をもう一度感じて見たいです。
 
 
 

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