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「写真人文学」第1章 ベンヤミンのアウラ

投稿日:2017/5/4

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写真人文学

第1章 ベンヤミンのアウラ: 見慣れたものを不慣れに読む
 


 
ライフスタジオの写真は
事実を重視するのか、自己表現を重視するのか
 
 
写真が発明される以前の自治は「本物」という希少性が絶対的価値でした。夢否芸術家の作品は全世界に一点しか無く、口コミで伝説が伝わるだけの時期でした。そのでんセルに対する権威が「アウラ」です。近くにいるけど近づけない感じ、その作品が持つ権威によって一方的に没入し、さらに崇拝の対象になります。しかし、数千年間続いていた規則が写真と映画という複製技術の登場で混乱に落ちます。複製が可能になると言うのは希少性という協力的な武器が無用の長物なることを意味します。新しいものが出ると既得権との争いは避けられません。資本主義の商品化に適した複製技術が活用されることで写真の役割と可能性に対する議論にベンヤミンという人物が登場します。ベンヤミンの言うことは二つです。
 
1つは、複製技術の登場でアウラが崩壊されたため作品の性質まで変化したこと。この世に1つしか無いと言う権威が数百、数千年で複製され芸術作品が持つ根本属性が大衆化の道を進むようになります。つまり、誰もが楽しめるようになったことを意味します。以前までの芸術は厳粛で宗教的な価値が支配していた限られた階級の専有物でした。今思うと当たり前に思いますが、写真が登場した時代としてはかなり大きな変化であり、今までの秩序を崩壊させる出来事でした。特定の階級の専有物から、全ての人が楽しめる大衆的なものに変わることで、逆説的に芸術はより発達することが出来たと彼は主張します。
 
2つ目は芸術作品に対する主体の主観的経験が変わったこと。複製技術によって特定の空間と社会的地位が高い階級しか接することが出来なかった「原本」「真品」の概念から抜け出して、自分が所有したり身近なところでいつでも見て、触って、感じることが出来たりするようになりました。つまり、外国のある特定の空間に行ってしか見ることが出来ないものを、本物では無いけれど毎日他の媒体から見ることが出来ました。これはアウラの完全な喪失というより、写真によって新しい意味のアウラを作り出すことができることを暗示します。自分が憧れる俳優のポスターを自分の部屋に飾る時代は幕を閉じ、仮想現実を通じて俳優と目の前で話し合い、お酒を飲む日が来るかも知れません。これは俳優が持つアウラが無くなると言うより、新しい種類のアウラが出現する可能性が生まれることを意味します。
 

(ヴァルター・ベンヤミン 1892~1940)


ベンヤミンは複製技術の発達により現代の大衆が持つ芸術作品に対する直接的経験の要求を「アーケードと見物人」の概念で説明します。日本の商店街と呼ばれる所に行くとお店が並んでいて、屋根は半円のアーチの形をしています。ここが正にアーケードです。連続的に続く陳列棚
の商品と各種の広告の中で自分を一体化させますが、商店街を抜け出すと何もなってない状態。つまり、自分の手に入ってそうで入ってない錯視現象が起ります。以前は遠いところまでわざわざ行って見ることが出来た「本物」だからこそ、想像の中で憧れる日々を送っていたことが、今はショッピングモールや映画館、またインターネットを通じて手のひらでいつでも接することが出来ます。例えてみるなら、遠い昔には家門によって結婚相手が決められました。相手が誰なのか分からないまま期待をしながら生きていきます。しかい、この時代では町を歩く全ての女性が対象者になれます。電車に乗ると自分のタイプの異性がいないかキョロキョロ周りを見渡したりもします。ところが自分の相手はどこにもいません。昔より対象になる人々を自分の目で確かめることは出来たとしても、恋人にはなれません。自分の相手がどこかにいるはずと信じる心と、実際自分の隣には誰もいないという事実の間に乖離が生じます。電車の中の異性は私の恋人候補として作用しますが、実際当事者達はその作用に気がつきません。気づいてないけどその作用をしている状態がアーケードです。昔流行った「ゴースト」という映画があります。男性が事故に会って死んだけど、中々あの世に行くことが出来ず、幽霊のように愛する恋人の周りをうろうろします。危機に陥った恋人を助けたいけど見ることしか出来ない自分を責めながらついには霊媒を訪ねていきます。ベンヤミンは我々の現実もこういう乖離の前提の上にあると考えていました。実際私たちもそうです。群衆の中で密かに行動しながら生きていますが、知らないものだらけの中であちこちを見物して、寂しがり、お家に帰って寝込みます。だから一番見慣れた日常を一番不慣れな目で見つける見物人であり、散策者になります。一人で海外旅行をしてみるとこの見物人の概念がより理解しやすくなります。人々が住んでいる世の中が日常です。海外だから変わることは有りません。日常を生きていく人々がいて、その中で自分はその日常を見つめる見物人になります。この国ではどんな洋服を着ているのか、どんな食べ物があるのかを見物します。つまり見慣れた日常を一番不慣れな目線でみることになります。SNSで溢れ出る数多い情報の中で殆どの時間を費やしているけど、現実は相変わらず自分の貧乏たらしいまま。ここで乖離が生じます。我々が写真館で働いています。普通の会社はそこにじっと居ろと言います。マニュアルというレールの上で決められた仕事を繰り返し行えと言います。顧客との出会いは幸せなことだけど、なぜか顧客は自分ではなく写真館に入って写真館を出ます。顧客と会い、価値を発生させる主体は自分なのに、顧客は写真館を記憶して写真館に予約をし、人に写真館を紹介します。この過程が繰り返されると自分を顧客に会っているけど顧客と会ってないことになります。乖離が生じます。乖離(かいり)とは互いにそむき、はなれることを言います。価値を作る主体ではなく、小物になってしまう状態が乖離です。この状態をベンヤミンは「見物人」と表現しました。アーケードにいる数多い群衆に隠れて覗き込んでいる悲しい存在として我々がいます。彼が写真芸術において重要な意味を占めている理由は写真というものがアーケード前をウロチョロしている見物人のように世の中を悲しく見ているということからです。
 
ここで写真が持つ特徴や偉大さが発生します。写真家は遠いところから静かな心で観察したり、照らし合わせたりはしません。対象が持ち隠している内部の深いところまではいります。つまり、カメラをあっちこっちに持って入り込みます。入ってみると分かるものがあります。今まで見慣れていた姿はどこかに消え、全く新しい対象が現れます。このような不慣れな対象もその対象が持っている姿の一部です。見慣れたものを不慣れなものとして読む、写真の本当の役割が登場します。
 
第1章ではアッジェとザンダー、ミン・ビョンホン、ファ・ドクヒョン作家の写真を取り上げ、見慣れたものを不慣れなものとして見るについて説明しています。どこかで道に迷いながらも、新しい道を見つけ、対象に対する批判と距離を置くことを必要とします。また、因習に従わないで新しいのを求めることでアウラから抜け出し、複製時代の芸術の進むべき道が開かれると説明しています。
 
韓国の大学の写真学科の教授が書いた言葉をよく例に出しています。ある教授が生徒たちに一つの主題に対して集住して撮影するようにと宿題を出したそうです。すると、生徒の一人が自分のお母さんを主題として1か月以上カメラで母親を覗いたそうです。最初はたいしたものが無くてつまらなかったけれど、時間が経つことに今まで自分が持っていた固定観念の扉が開かれ母親の色んな姿が現れる経験をしたといいます。母親は自分の母親であるけれど、ちょっと違う角度から見ると誰かの妹であり、誰かの奥さんであり、誰かの娘でもあります。また税金を納める納税者でもあり、波乱万丈な韓国の歴史の中で生き残った証人でもあります。写真学科の生徒が最後にたどり着いた対象は「女性」です。このように見慣れたものを不慣れに見るは写真が持つ宿命とも言える話です。
 
事実性はライフスタジオで撮影が行われる情感と環境が重要な要素として作用します。供給の側面から見ると家賃30万円ほどの建物でインテリアを通して意味づけをします。この空間の中で撮影サービスをしていると世の中に知らせます。需要の側面から見ると自分たちが置かれている状態を記録し、記憶しようとする欲求を持っています。経済学でも需要が供給を生み出すと主張する集団もいればその反対を言っている経済学者もいます。とにかく、需要と供給が妥協し合った結果ライフスタジオでは毎日撮影が行われています。事実性は写真館の条件を最大限活用し、顧客が持つ欲求と欲望を実現しなければなりません。そのためには写真館が持つ条件の活用と改善、顧客という対象が持っている色んな姿を外に出させなければなります。ライフスタジオでは写真館が持つ条件の中でも人間に対する解釈と実践を一番の優先順位としています。人間はどのように存在しているのか、人間を取り囲む環境と条件は何かを把握しなければなりません。
 
自己表現とは自分のDNAを基準として事実に秩序を付与する作業です。客観的事実に撮影者という色を重ねて新しさを創造すること。自己表現の素材は自分の決定によって行われます。目の前に現れた状況を自分が選んだ人間、光、小物、状況、ポーズ、関係、色などの素材を通じて自分が表現すべきその何かについて一貫した秩序を与え実体を作る作業です。自己表現の土台が事実にあることを否認はできませんが、だからと言って必ずしも事実に従属される訳ではありません。
 
ここに赤ちゃんが一人いるとします。その子供は1から10000までの数字で構成されています。撮影者は一瞬で1から10000までの数字全てを頭に浮かばせることはできません。1、100、5000、7500など、その子を表す象徴的な数字が見えてから、それを基準として1の次に続く2、3、4を探しに行きます。これを効果的に探すために人文学を勉強したり、経験を重ねたりしてその子に潜んでいる5、6、7を引っ張り出す技術を磨きます。普通は「子供のかわいい姿を撮影すべきだ」と簡単に整理されます。「かわいい姿」はさらに天使のように、純白の、太初の平和のようになどなど色んな単語で細分化できます。この単語たちがその子供を構成します。事実性はその子供が1から10000で構成されているため無限大に近い事実が存在します。その過程の全てが子供の持つ事実であり、その事実は原因と結果、本質の現象などの形を持って私たちの目の前に現れます。だから事実の中に潜んでいる真実を見抜く目が重要です。真実を見る目を持つためには見慣れたものを不慣れなものとして、当たり前のことを新しい目線で見る能力が必要です。子供はみんな同じで、みんな違います。同じだという認識だけで撮影してしまうと盲目的でドライな写真しか撮れないでしょうし、違うとばかり思うと本質からかけ離れてしまいます。立て続く撮影で毎回同じ写真ばかり撮影していると写真は事実性を含むことが出来ません。Aという子供をただただ「かわいい子供」という一般的な枠の中に閉じ込めてしまうと、その子が持っている独特の事実性を背くことになるからです。
 
自己表現は目の前に現れた子供の事実を基盤として自分だけの分類法により秩序を付与し自分だけの(意味を持つ)子供として再誕生させることです。同じ空間で同じような技術を持っている撮影者だと言っても全く違う写真が出る理由がここにあります。自分が注目した自分だけの分類法によって与えられた事実に対する解釈をします。去年草加店で「神秘」という主題を設定し、新しくインテリア工事をしました。同じ子供だとしても依然の写真と現在の写真は違うものが出ます。神秘という主題を軸に秩序を新しく付与するため写真館の構成要素を再配置させた結果、依然の写真はもちろん、多店舗との様相が違う写真が生産されています。自己表現の基準が変わることで被写体が持っている事実は変わらないが、撮影された写真は以前とは違う意味を持ちます。つまり自己表現というものも見慣れたものを不慣れなものとして見ることから始まります。
 
事実性は「有る」ことを前提とします。それが信念でも、化学でも「有る」と仮定して写真で表現します。自己表現は「有る」ことに基づいて自分を投影します。だからと言って事実性の「有る」と自己表現の「有る」はどっちが先だと言えるものではありません。同じかも知れませんし、違うかもしれません。自己表現がそもそも「有る」ことを証明する方法の一つだからです。事実性の「有る」が自己表現の「有る」になり、これは同時に事実性の「有る」になります。どっちが先で、上位の内燃とは言えません。人によって事実性や自己表現が活用される方法はバラバラだからです。ライフスタジオが撮っている写真はまだ物理的基盤の基にあります。決まった空間と時間の中で自分が現在持っている最大限の技術を引き出す程度で撮影が行われています。自己表現と言えるほどの行為や先着的な動きはまだ現れていません。以前大宮店の鈴木が砂漠のような場所で撮影した写真が話題になったことがあります。自分の中で生まれる何かに対する自己表現が強烈な印象を残してくれました。それ以外にライフスタジオの構成員達が自己表現の領域まで到達した例を確認したことはありません。被写体の色んな姿を外に出すために撮影者はありとあらゆることをします。そうして生み出され目の前に現れた場面を誠実に映し出す水準でライフスタジオの写真が作られています。現在の条件と環境がそうです。自己表現はまだ写真分析や撮影のあとがきの程度でされています。だから「New Fly」や「美容室プロジェクト」も考えているのだと思います。事実性を超えて自己表現の段階に侵入するための条件と環境が必要です。各個人に現在の条件と環境で自己表現を要求するのは無理だと思います。ホームページで自分の全てを入れる作業もある意味自己表現の段階に入るための活動と言えます。自分の写真を語り合い、一種の傾向性を担保することが自己表現の準備運動ではないかと思います。
 

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