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Photo 『 つづけること 』
投稿日:2015/7/23
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Life Studio Shonan
Photo by Kuroki
Codi by M.Kobayashi
「継続は力なり」
この言葉は様々なケースで耳にします。
例えばアスリートの自伝などには必ずと言ってよいほどこの様な意味の言葉が記されています。
もうそれほど若い年齢ではない私が過去の自分に戻って思い起こしてみると、私はこの言葉を好んではいなかった事を思い出します。
いや、むしろ嫌っていた言葉だったかもしれません。
なぜならその当時、私はこの言葉に「同じ事を何度も繰り返す」という印象だけを持っていてその継続のあとの「効力」を考えていませんでした。
つまり私はその頃、この「継続」という言葉の意味を「現状維持」や「続ける事であり進歩しない事」などと認識していたのでしょう。
しかし、生きていけば生きていくほど、何かひとつの事を探究していけばいくほど、この「継続は力なり」という言葉が私の身に染みてくるのが分かります。
ここ何年かでようやくこの言葉の「本来の意味」を理解できたのかもしれません。
その本来の意味を理解したと思った瞬間があります。
それは、この家族写真を撮った瞬間もそのひとつとして上げられます。
まず、私は家族を写真の中で表現するにあたって、他のカメラマン同様この「家族のカタチ」は確実なものであると核心を持っています。
そして、何度、どのご家族を撮っても確実なものであると思えるのは全て今までこのカタチの撮影を継続をしてきたからに他なりません。
継続してきたからこそ生まれる核心や自信がそこにはあります。
しかし、それでは本来の意味を理解した「瞬間」ではありません。
それではこの写真においてその瞬間とは?ということですが、その瞬間はご家族を向かい合わせシャッターを押すその一瞬手前に存在しました。
それは、母親の位置を一歩前に進ませて父親の奥に食い込ませた「最後の一工程」の瞬間です。
これによりライフスタジオ特有な空間撮影の要素にも繋がる「立体感」を作り出し「存在感」を強めます。
こうすることで、複数の被写体を納める際になりがちな平面写真にもならなくなります。
以上の過程を踏み、そこで初めて写真に納める。
この最後の一工程をした瞬間が「継続は力なり」という言葉を理解した瞬間であると感じました。
なぜなら、まだ継続の途中であればその最後の一工程の前にシャッターを押してしまっていたでしょう。
何度も継続をし続けてきたからこそ最後のこの「工夫」が力となって現れたのではないだろうかと感じます。
しかし、この継続というものは重ねれば重ねるほど苦しく壁にぶつかる事でもあります。
したがって、単に続けるのではなく続けたその先をどこかで感じなければなりません。
マラソンランナーがよく言う「ランナーズハイ」のようなものでしょうか。
私達は写真という基準の無いものと毎日闘っています。
その答えの無い写真と闘い続け、自己の基準を設ける。そうし続ける事こそがProfessional を超え、真のExpert へと到達するための過程なのだと信じています。
この子もいつの日か大人になり、そして母親となって自分の子どもを見つめる時が来るでしょう。
母親になったその子が我が子を見つめるその時とこの写真がリンクした瞬間、この継続が意味を成し、家族のカタチの核心が超越される瞬間でもあるのです。
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