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下関店
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思い出す

投稿日:2012/12/29

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大掃除に黒木さんが着ていたジャンパーは、昔わたしも働いていたスタジオのユニフォームでした。

実は10年以上も大大大先輩な黒木さん。

白ペンキと、ローラーを持つ黒木さんの後ろ姿が、

あの日、でかすぎるホリの前に、ホコリにまみれ鼻の穴まっくろで疲労困憊しながら立ち向かっていた日を思い出させました。

 

初めての就職をした20歳。

女が少ないガテン系スタジオでスタジオマンとしての日々。

知らない間に筋肉つくわ、手はマメだらけになるわ、立ったまま寝てしまうほどの限界がくるわで、

女だからって手加減はそれほどなく、アタリが強すぎる毎日でした。

あー、なんでこんなとこ来たんやろ、って、就職1ヶ月で女の子たちと辞めてやる宣言。懐かしい。

 

その頃の重鎮のチーフが、それはもうこの世のものとは思えないくらいの恐さで、

学校でも家でも、こんなに怒られたことはないのに!ってくらい毎日毎日いちいち怒ってきて、

これはもう世の中すべての女が嫌いで恨みがあるんじゃないかと思うくらいでした。

理不尽な時もあれば、確かにってこともあり、それでも毎日どやされ、トイレにひとり籠っては、半べそでこんにゃろうって目をしつつ、

見とけよ、っていつも思ってました。

でも、それが全ての行動についてきて、言われる前にやってやる、言われたら3倍で完璧にして返してやってやる、というようになってきて、物をとってこいと言われれば、言われる前に用意してます、と先取りし、なければ全速力で走って一瞬で持ってきて、

とにかく文句を言わせないくらいの見返しをしていきました。

使い物にならなければ、ここでお金をもらってまで働く理由はないんだと教えてくれた人でした。

それほどに、シビアな場所で働いているということを感じさせてくれた人でした。

大変なことを乗り越えてこそ、楽に感じられることもあると実感。

おまえ、根性あるな、と言われるまでどれくらいの時間がかかったか、、、

でもそう言わせた時、すごく優しくて嬉しかったのを覚えています。

(おまえ、もう女じゃないな、とも言ってましたが。。。結局女が嫌いなのか!)

根性を見せて、しっかり仕事が出来るようになった時、はじめて認められて、別に悪い人じゃなかったんだとも思いました。

 

人生の中で根性を見せないといけない時があるんだと思います。

そういうきっかけを、試練を与えてくれたことで見えてくるもの、分かること、気づけることも多くありました。

あの罵声と鬼の形相がなければ、わたしはそこまで考えるまでもなくのうのうと生きてしまっていたような気もします。

 

今でも、黒木さんと昔話をすればそのチーフの名前がいつも出て来て笑えます。

黒木さんのモノマネがウマ過ぎます。

もう撮影現場からは退いて、口を出さなくなったようですが、

それはその人が育てたスタッフがまたチーフとなってどやしているからこそだとも思います。

でも、この世の終わりなんじゃないかってくらいの罵声をみんな一度は経験した方がいいんじゃないかと、

なにげに思います。

 

重鎮から怒られてへこんでいる時に、いつも笑いでごまかしてくれていた黒木さん。

スタジオで、重鎮使いと言わしめていた、重鎮のお気に入りだった黒木さん。それってすごいことだと思うんです。

ポイントをおさえるプロは、白ヌリの鉄人手さばきでひとりせっせと床を塗っていました。

 

明日は、そんな昔のスタジオの同期と忘年会。

きっと、チーフの名前も黒木さんの名前も出てくるのでしょう。。。

あの日、男とか女とか関係なく、ひたすら働いて、ざこ寝して、飲んで騒いだことが、

今のわたしになってしまっているのだと思い出しました。

 

 

 

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それは、出会う全ての人が生きている証を確認できる場所になること。
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