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boy*sei
投稿日:2012/12/16
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あの日。
こんなに長い時間はないと思った。
ただ、安心してもらえれば、それだけだった。
それでもたくさん泣かせてしまったあの泣き声は、忘れられない。
カメラを手にし、何をどう撮ればいいのか、すごく悩んでいたあの頃。
泣き続ける1歳だったこの子の前でわたしは戸惑った。
75cut撮らなければいけない。撮るなら、笑顔を残してあげたい。
それでも、何もできなかった。
結局、十分には撮れなかった、という自責の念で半年後に追加で撮影をしたけれど、
その時もたくさんたくさん泣いていて。
何を撮ればいいのだろう。何を残せばいいのだろう。
どうしようもできない、そんな時。
それでも感じた、この子の姿。この子を愛するお母さんの姿。
待つ、ということ。
なんとか、本当に、なんとか2回の撮影で75cutにまとめた写真。
それでも、ありがとう、そう言ってくださったお母さんがいた。
あの日の1枚の写真を、受け入れてくれた社長の言葉。いいと思ってくれた人たちの言葉。
どういう写真を撮ればいいかずっと悩んでいたどうしようもない毎日だったそんな時だったからこそ、
わたしはここにいて、自分自身精一杯の写真を撮ればいいのだと気づくことができた。
あの写真がなければ、わたしはずっと悩み続けていたかもしれない。
ここに、いなかったかもしれない。
あの日からもう3年が過ぎた。
泣いてばかりだった1歳がウソのような2歳の撮影、湘南店がオープンしたときにまっさきに呼んで撮影した2歳半、
一緒にギャラリーに遊びに行った3歳、入園姿の春。
出会ってから、7回目の撮影だった。
背が伸びて、泣き顔なんて1度も見なくなり、確実に成長してきた男の子も、あと1ヶ月でお兄ちゃんになる。
そんな時に。
あの日と同じように、撮影がしたいと思った。
あの日と同じように、くまの人形を置き、ブロックを並べ、お母さんと一緒にいてもらった。
ファインダーをのぞくと、同じようには納まりきらない姿があった。
必死でお母さんにしがみつく手も、すべてが敵だと思うような目も、
なにもかもがあの日とは違って。
全然、同じように撮れない。
ただ、すぐにそんなことに気がついてみんなで大笑いした。
隣に立てば、自然にわたしと手をつないでくれる。
当たり前のように、ともちゃんって言って笑ってくれる。
この子がわたしにくれたものは大きかった。
この子ほど、泣いた子に出会ったことはない。
この子ほど、たとえ、泣いていたとしても、大丈夫だって思えるようになった。
この子のように、きっと誰もが成長する。
諦めない、ということ。
この子がつないでくれた、ここにいる時間で、わたしはたくさんの人と出会うことができた。
わたしたちが残してゆくものは。
いつかまた、愛しく懐かしく感じてもらえる、幸せな時間でありたい、そう思えるようになった。
どこに行ったとしても、年をとったとしても、ずっと変わらないと思える。
そんな自信をくれた。
出会えてよかった。この場所で出会った人達、そして大切な時間。
この場所に出会えたからこそ、今の自分がある。
http://www.lifestudio.jp/gallery/best_view.php?number=20
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