Staff Blog
下関店
scrollable
haruka*プロローグ
投稿日:2011/5/20
529 2
あなたの声を、今でもまだ覚えています。
・
自分ひとりで着替えられると、
かたくなに手助けを拒み、叫んだあの声は、今までに聞いたことのない声でした。
撮影が始まる前の時間。
「ゆっくりでいいから、ひとりでやっていいよ」
そう言って、お母さんにはただそばで見守ってもらいました。
4歳、あなたはもう、なんでもひとりでやりたがるようになった。
お母さんから離れていくその姿が、なんだか少し寂しくもあり、誇らしくもあった。
まだまだうまく着替えられなくて、
お母さんはちょっと困った顔をしたけれど、その背中はやさしく見守っていた。
彼女はとても穏やかな表情をしていた。
・
撮影は、本当によく話を聞いてくれてたくさん一緒に楽しく過ごしたね。
でも、この日の叫び声がわたしは忘れられない。
撮影前のこの時間が、彼女のこの日の始まりだった。
いつか、彼女もおとなになっていく。
何の為の75cut かと問い続ければ、少しの手がかりを残しておきたいと思う。
あなたを、
今のあなたを、
わたしはずっと覚えておきたい。
その手がかりを、わたしは探す。
そしてまた、あなたにもこの日のあなたを残しておきたい、そう願う。
生きていく、未来のために。
・
あと何度、わたしはあなたと向き合えるだろうか。
あなたの心を、写させて欲しい。
いつも、カメラにとらわれなくてもいい。
カメラに笑顔だけを見せようとしなくてもいい。
カメラで縛ってしまうことはしたくない、カメラを通して見守っていきたい。
悩んだ時には悩んだ姿でもいいし、
涙が出そうな時は、泣いてもいい。
楽しい時は一緒に笑おう。
そんな風にずっとあなたの心を、許されるのなら撮らせて欲しい。
いつかまた、一緒に写真を見よう。
あなたの、話をしよう。
それが、わたしの目標でもあるから。
この1枚があれば、わたしはこの日のことを思い出せる気がする。
大切にしたい1枚。
あなたがあなたであったことを、
受け入れて愛せるように、
あなたの大切なドキュメントでありたい。
写真を撮る上でいつも悩む。
それは永遠の悩みだと、言ってくれた人がいた。
ずっと撮り続けていくことでしか
わたしの悩みは晴れないんだと思う。
もしも彼女が母になって、
また写真を撮って欲しいと言ってくれる日が来るとしたら、
…嬉しいなぁ。。。
この記事をシェアする
サイト内投稿の検索
- トップ
- Staff Blog
- トップ
- スタジオ紹介
- 下関店
- スタッフブログ
- Kawano Tomomi
- haruka*プロローグ