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下関店
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*Photo 10月*
投稿日:2010/10/30
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二度と戻らない時間。
写真を撮る時に、いつも思っていること。
それが、わたしが写真に惹かれる理由なんだと思う。
ありのままを写すこと、それ以上に美しく写すこと、目には見えないものを写すこと、美しく創り出すこと、今はない新しい存在を焼き付けること。。。
写真にはあらゆる表現方法がある。
ずっと写真を撮ってきた。
けれど、もう一度、初心に戻ってみる。
二度と戻らない時間を、わたしは大切に撮りたい。
『人生でいちばん写真を撮った時間』
それは、高校3年生の時だった。
そして、写真を仕事にしたい、そう決めたのも高校3年生の時だ。
楽しくてしょうがなかった。辛くてそりゃもうしょうがなかったこともあった。
バカみたいに部活に打ち込んで、テスト勉強だけは負けたくなかったから朝まで必死でやって、
普段のクラスではどれだけくだらない話で盛り上がれるかで、みんな毎日話しっぱなしで笑いっぱなしだった。
色々な感情が最大だったこの頃が、わたしのターニングポイントになったのは間違いなかったんだと思う。
毎日、時間が足りん!って全力で過ごしていた高校時代。
いつかは終わりが来るのだと感じ始めた時、わたしはいつも、いつでも写真を撮るようになっていた。
ちっちゃいコンパクトカメラをジャージに忍ばせて、
廊下でも、昼ご飯中でも、体育の授業に行く姿、部活の練習中、
なんてことない時間であっても、もう戻れないと思えば思うほど、どんな時間であってもいとしく思えたものだった。
人は忘れる生き物だからこそ。
時間を切り取って行くように、時間を忘れないように。
大切な気持ちを忘れないように。。。
この写真1枚を見ただけでも、蘇ってくる時間がある。
2学期末。
自分の席は1番後ろだったこと。
古文の授業、その後のチャイムの音。
すかさず先生に質問に行く人、自習をする人、
その中で、ひたすら受験の面接の練習をひたすらする友達。
こんな風に過ごしていたこと。。。
あらゆる雑音や、会話、ストーブの匂いと教室の空気。
友達の声さえも、もう6年たったはずなのに未だに感じられる。
そこに私の姿はないけれど、私が過ごしてきた大切な時間。
この写真たちは、i podにも入れていつでも見れるようにしている。
それは、過去に依存するわけではなく、
あの時あれだけバカみたいに頑張れたならまだいけるんじゃないか、と気合いを入れてもらっている。
そして、あの頃制服を着ていたみんなが今、それぞれの道で頑張ってるのも知っているからこそ、諦めたらいかんなって思っているのもある。
写真の価値はその時々にもありますが、時間を置き、振り返ってみるとまた大切なものに気付くように思います。
写真は瞬間を永遠にする。
そんな瞬間を生きていて、
魅力を感じているからこそ写真を撮ってしまうのだと思います。
なんかくさいけど、でもこれ意外の言葉が分からない。
*余談*
自分の高校時代の写真を探したけれど、本当に何一つ、ちゃんとカメラを見てかわいく笑っているなんてものはありませんでした。
写ってても吠えてるようなのばっかり。。
さらさら自分なんて写ってないですが、自分がいなくても友達が写っているだけでよかったんです。
たくさんの写真をプリントしていた高校の下の写真屋さんのおっちゃんと仲良くなって、おこづかい貯めて1眼レフを買ったのが写真をずっとやっていくきっかけになったんだろうな〜と思い出しました。
巡り巡っての今ですね。
カメラマンとして。最近ずっと考えています。
報道カメラマン、風景カメラマン、広告カメラマン、建築カメラマン、
動物カメラマン、美術写真家など、カメラマンといってもたくさんあります。
それぞれのカメラマンがプライドを持って仕事をしています。
ここ数年、そしてこの夏で、色々なジャンルのカメラマンさんと話すことができて、さらに自分がカメラマンとしてどうありたいかを考えるきっかけにもなりました。
カメラマンだからと言って何でも撮りたいわけでもないし、撮れるわけでもないんです。
あるカメラマンと飲んでいる時に出会った、ひとりのおじさんとの話。
「仕事は何やっているの?」
と聞かれ、こどもたちや家族の写真を撮っていますと答えました。
「カメラマンか、今日はカメラ持ってないの?」
「持っていません、飲みに来ただけなので。」
「カメラマンなのになんでいつもカメラを持っていないんだ!
スクープがあるかも知れないじゃないか、事故や火事を撮って売れば3万円くらいはもらえるぞ。」
なんて、言われて、わたしは猛反撃しました。
言っている意味が全然理解できなかったんです。
ー わたしはスクープなんて撮ろうとも思いません。
残したいと思わないからです。
楽しい時間や幸せな時間を感じながらでないと、わたしには写真を撮る理由なんてないんです。
「でも、カメラマンだろう!何でも撮るくらいでいないと!」
…だーかーらー!
ずっと繰り返しでした。
コンパクトや携帯ならいつだって持っているけど、大切なカメラは大切な目的や人がいなければ持ちません。
例え、お金が底をついたとしても、わたしはカメラを持ってスクープを撮りに行こうとは考えられないです。
それなら、大事なカメラでどこかの家族を撮っておにぎりをもらうくらいでいいのにな。
なんて、考えました。
きれいごとなんだろうけど。
でも切羽つまっても、今撮っているような写真以外は撮れないだろうな、だったら何でも他の仕事するなって思います。
初対面の大人であれだけ喧嘩みたいになったのは初めてだったけど、
あの日があったからこそ、わたしは何が撮りたいのかが明確に分かりました。
わたしには、撮りたいものがある。
報道写真でもなく、 広告写真でもなく…
家族の幸せな時間、大切な気持ち、こどもたちの成長や個性、
わたしの人生の中で出会う時間の中で、大切に写真が撮れれば。
初心に戻りました。
たくさんのカメラマンがいる。
種類は様々だけど、ただひとつ言えるのは写真を撮る理由を持っている、その瞬間に懸けている、それがカメラマンなんだろうなぁ。
カメラマンなんて言葉じゃなくてもいいから、
いつか写真屋のおばちゃんになれればいいな〜と想像しつつ、
日々反省を繰り返しながら、時には昔の写真を眺めながら、
これからもゆっくり写真を撮り続けたいと思います。
最後に。。。高校時代ついでで。
高校時代にルーズソックスも紺ハイソックスもはいたことがないので、高校の同窓会を企画して、出し物でいつか履こう、そしてちゃんとカメラ目線で写真を撮ろうと、気持ち悪いことを考えています。
普通、女子高生が通る道をなぜ通っていないんだろう。。。
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