「らしさ」という言葉に昔からいつも抵抗があった

らしさって、どういうこと
らしいって、そうらしいってこと？
醤油らしさって何
醤油らしいって醤油ではないってこと？
味噌らしさって何
味噌らしいって味噌っぽい他の何か？

身近にあるものでさえらしさが掴めないし、らしいってどこか嘘っぽさを孕んでいる

昔から、大嫌いだった

体型も
地黒も
肌質も
顔も
毛深さも
歯並びも
声も
顔も
生まれた場所も
生まれた家庭も
生まれた時代も
自分が自分でしかないことが絶望でしかなかった
朝、目が覚めたらお金持ちの家のこどもになってないかな
お金持ちでなくてもかわいければいいのに
かわいくなくてもせめて縄文時代ならよかった
憂鬱でしかなかった

あなたらしいという言葉に「は？？？」としか思えない時期もあった
何を知っとん 　好きでやってるわけじゃない 　決めつけんで 
らしいとか勝手に言わんで 　なにひとつ嬉しくない 　全部を否定していたこともあった

らしさに当てはまりたくなくて 　らしいと言われたくなかった　

多分それは

たくさんの常識
たくさんの普通
たくさんの固定概念
まとわりつく生きづらさ
自分が自分でなければしあわせなんじゃないか、そう思うしかなかった

高校生のある日、社会の先生が言った
「諦めることも大切」 四諦の話の授業 
少しずつ諦めていった　 割り切っていくようになった 
「リボ払いだけはするなよ」 たしかそうも言っていた
その言葉を胸に、今もリボ払いだけはしていない

10代から20代になり、お金でどうにかできることもあるから働くのも悪くないなと思えた。
自分のことを自分で決めることができるようになって少しずつ自由を感じた。
らしいとからしくないとか知らんがな
相変わらず華奢の正反対やけど相変わらず黒いけど、えーやん一生折れなさそうな骨、万歳！

思っていたことと全然違う人生やけど、リボ払いしてないのに自営業なので負債しまくりやけど、

自分は自分でまぁいいか、それならどんな自分でありたいか、少しずつ楽になっていった。

20代から30代　体重以外、少しずつ軽くなった

そこらじゅうにある普通とかそこらへんの偏見とか、他人は外国人くらいに思わないとしんどいことも相変わらずたくさんある。

周りからの「自分だったらこうするのに〜」なんて言葉も時には【うんうん、そっちの国はそうなんだ〜ウルルン】くらいでもいいのかもしれない。

でもそんなこんなもきっと10代の頃にはなかなか思えなかったはずだ。

気づいたら乗り越えていることもある。
いつの間にか気にしなくなることもある。
でも、それまでが一番しんどい。

全てを諦めたくなった時、生きたくても生きられない人もいるのに、病気の人だっているんだから、そんなことはそもそも考えられないように思う。
生きたくても生きられないのと死にたくても死ねない苦しさは、全く違うようで違わないのかもしれない。
命は大切だとか当たり前のことを言われる辛さもなんとなく分かる
分かっていることを言われると辛い
分かっているからこそ余計に辛い
全ては表裏一体で 答えなんてないのかもしれない

多様性って言葉に救われる人もいれば、自分が自分として生きていく上で何を目指していいのか分からずに押し潰される人だっているはずだからこそ

らしくてもいい
らしくなくてもいい

なんだっていい

 

人生は台風みたいなものかもしれない、そんなことを思う9月。
きっと来ると思って準備していても 突然現れて突然掻き乱される 何ごともなく過ぎ去るのをじっと待つ
飛ばされないように停電しても良いように、色々と心構えをしていたのに全然ダメで役に立たないことばかりのこともあれば

思っていたよりもなんともないこともある。
去ったら去ったで思いっきり傷が残ることもあればスッキリしていることもある。

訳の分からない世界に生きている
それでもたまにおもしろいこともある
自分一人で気づけること　　自分だけでは気づけないこと
自分が自分であることを 受け入れ 諦め 楽しむ
曖昧の中を生きていく中で ほんの少しだけでも確信を持てたらそれでいいような気もする 

醤油は醤油
味噌は味噌
あなたはあなたで自分は自分