箱に男の冒険がたくさん詰まっているんです。

宝物は全部この箱の中に

己自身もこの中へ

私達は写真を撮っていく中で流れというものを意識します。必ずではないにしろ私は意識しています。そもそも写真は1枚完結でしか基本的には表せないものですがその写真を並べる事によって見る形が変化していくと思います。
それを私達はストーリー、もしくはストーリー性と呼んでいます。そしてそれは75cutという限られた中に物語がある事をさします。
制限された75cut。この絶妙なcut数なのかなんなのか分からない数字。ただ、1時間という撮影時間では絶妙な目標地点ではあると思います。
その数あるcut数でどんな表現をするのかはそれぞれのカメラマンにたくされた使命でもあり75cut残せよという指令でもあります。

さて今回の撮影ではこの大きな箱を使って撮影。そしてこの少年は元気で活発で大人をおちょくるのが好きな感じな子で私自身はこの撮影が終わった頃にカンチョーでもしてやろうかとさえ思いましたよ。笑
ステージからジャンプを永遠と繰り返し、アシスタントのお姉さんの持ってる熊の人形を蹴り飛ばしエネルギーを開放しまくりの少年。
静と動があるのならば、前半の写真は「動」
なので後半は「静」なるものをと思って考えていたらこの子、大きいこの黒いスーツケースをよいしょと持ち上げ歩き始めた、それがこのシーンのスタート。
それからあらゆるものを箱に入れて少年が真剣な眼差しで見る視線を「静」としてシャッターを押したかった。しかしあまり小物に執着がなく断念。
彼自身が動きたいと言うのならと思い箱の中へ誘導した。
それから訪れたシャッターチャンス。

ありがとう。

いい汗かいたよ。