Photo & Write by Kaori Kobayashi
Cordi by Miki Nishimura

in YokohamaAoba

 

「家族写真を撮る」

以前も、家族写真について写真分析を書かせていただきました。
家族写真
家族写真２

何度でも、その意味を振り返ってはカメラを持つ手に力も入りますし、いつだって、ご家族の前に立つ時は緊張しています。

家族一人一人が、家族全体を、そして家族の中にいる自分自身を客観的に見ることができる家族写真。

最高の写真を残してあげたい、それはスタッフ誰しもが思っていることです。

 

私自身、経歴が長くなってきて「教える」立場になって、改めて見えることも多くあります。

家族写真や兄弟写真など。
複数人の良い瞬間を狙ってシャッターを切ることは最初はなかなか難しく感じるものです。

ピントは合っているか？ブレている部分はないか？みんな良い表情をしているか？ポーズはどうか・・・

最初に基本的な部分からしっかり撮れるようにレクチャーしていくわけですが、「これが１００パーセント正解」というものは勿論なく、そのご家族ごとの特徴や家族の雰囲気、希望している写真のイメージ、いろんな条件が合わさって、その家族のための写真を残していけるように流れを組んでいくことが重要です。

そして、カメラマン自身が目の前の家族に対して家族写真を残す「責任」をしっかり持っていなければいけないのです。

責任というと言葉が少し重く聞こえるかもしれませんが、家族写真だけに限った話ではないのですが、目の前の家族にとって、私たちが残す一枚一枚が記憶になって、記録にもなって、いつか見返したときに思い出されるものがその家族だからこそのものであって欲しいと思うし、それを大切にできて初めて、「カメラマン」と名乗れるのではないかと思います。

 

そしてそのためには、目の前の人と全力で向き合うことと。

自分自身もその流れや時間を思いっきり楽しむ必要があります。

 

以前の写真分析でも書きましたが、自然な写真を求めてご家族がここを訪れることも多いですが、カメラマンがいて、コーディネーターがいて、スタジオにいて、いつもと違う状況下で、「いつも通りで」と言われても難しいものです。

だからこそ、家族にとって居心地が良く感じたり、素になれる瞬間が生まれるような空間を作る必要があり、そのためには自分たちも思いっきりその家族のために楽しむべきなのです。

そして、本気で楽しみ向かい合っているその時に、私はこの仕事の楽しさや魅力をものすごく感じるのです。

 

 

写真のご家族は、本当にとても仲良しなご家族でした。

最初は少し照れていたお子様たちも、ひとたび家族写真がスタートしてパパママにすっぽりおさまると嬉しそうな表情。
そんな子供たちにパパママも笑顔。

この流れを崩さずに、いろんな写真を残したい。
そう思いながらどんどん声をかけて行きました。

ポーズの綺麗さも組み方の形のバランスももちろん大事ですが。

何よりも自然体の流れの中の一瞬を逃さないようにすること。
この時カメラマンは、声をかけながら瞬間逃すまいと必死です。

流れを進めていく中でどんな瞬間が訪れるか？全員の動きを見ながら少し予測も立てながら、一瞬を狙います。

そんな時に訪れた、この写真。

立ちから始まり、どんどんポーズを変えつつ横並びで座ってもらったその一瞬。

弟くんにパパの横に座ってもらい、みんなで横並びになるシンプルなポーズなのですが、そこからのダイブ！パパにすっぽり綺麗におさまりニヤリと笑う弟くん。その様子を笑顔で見守るパパママ、そしてお兄ちゃん。
 

前に家族写真の分析で話したような、それぞれが自分や家族の表情を客観的に見ることが出来て、「家族の中にいる自分」を見る事が出来て、今ならではの体格さや、弟くんの家族の中でのムードメーカーさや、お兄ちゃんの優しさや、パパママの暖かさも感じられる一枚だなと思いました。

シンプルだけど、この瞬間を一つ一つ残していくために、技術や知識の習得をして、毎日を楽しんで、責任感を持って緊張感を持って、出会いを大切にしていく事が、全てがこの一瞬を残すことに繋がっているのだと思うのです。

 

当たり前のことだと、思うカメラマンもいるかもしれません。

当たり前に大切に出来なくてはいけない事だし、でも、当たり前だから考えなくなることだけは避けたい。

だから、日々の中で「考える事」が重要なのです。

 

写真分析を書きながら、振り返ることも本当に大事な作業の一つで。

私が写真を始めた頃はこんな風に文章で考えを書く文化はあまりなかったのですが、この文化は、心を込めて撮影をしていくために必要なことだと思います。

振り返りながら、もう一度考えること、そして実践していくこと。

 

教える立場になって、見せていくこと、伝えていくことの難しさも感じながら。

伝えながら自分自身も奮い立たされ、学んでいる事が多くあります。

私も努力をしっかり惜しまず、毎日の出会いを楽しめる自分でありたいと思います。

 

明日はどんな家族に出会えるか。楽しみにしています。

そして大切な一瞬をしっかり残せるよう、気合いを入れて行きたいと思います。